📖この章で学ぶこと
法律を学ぶための前提として、法をどう分類し、どこに根拠(法源)を求めるかを整理する。公法と私法、実体法と手続法、一般法と特別法といった対立軸の意味を理解し、成文法と不文法の違い、そして法令同士が衝突したときにどちらが優先されるかの基本原則を押さえる。これは以降のすべての章を読み解く共通の土台になる。
社会の中で人々が守るべきルールにはさまざまなものがあるが、その中でも国家の強制力によって守らせることができるルールをという。これに対し、人の内面に働きかけ守らなかったとしても国家による強制を伴わないルールをという。法は、国家と国民の関係や国家機関相互の関係を定めると、私人と私人との対等な関係を定めるとに大きく分けられる。憲法・刑法・行政法などが前者の代表であり、私人間の財産関係や家族関係を定めるは後者の代表である。さらに、社会的・経済的に弱い立場の者を保護するために私的な関係に国家が一定の介入をする労働法や経済法などはと呼ばれ、公法と私法の中間的な性質を持つ。📌公法・私法・社会法の区別の意味
公法と私法を分ける実益は、適用される原理の違いにある。私法は当事者が対等であることを前提に「契約自由」「私的自治」が原則となるのに対し、公法は国家と国民という力の差を前提に国家権力を縛る発想で作られる。労働法のように、私人間の契約でありながら弱者保護のため国家が強行的に介入する分野が社会法であり、契約自由が一部制限される点がポイントである。
次に、権利義務の発生・変更・消滅といった法律関係の中身そのものを定める法をといい、その権利を裁判などで実現するための手順を定める法をという。民法や商法は前者、民事訴訟法や刑事訴訟法は後者にあたる。また、ある事項について広く一般的に適用される法を一般法、特定の人や事柄について限定して適用される法をという。両者が競合する場合、特別法は一般法に優先して適用される。これを「特別法は一般法にする」という。たとえば商取引については、一般法である民法よりも特別法であるが優先して適用される。🔥ここが頻出
「一般法と特別法」「実体法と手続法」「公法と私法」の3つの対立軸は、具体的な法律名を当てはめさせる形で繰り返し問われる。民法=一般法・私法・実体法、商法=特別法、民事訴訟法=手続法、という対応をセットで覚えておくこと。とくに「特別法は一般法に優先する」という適用ルールは結論を間違えやすいので確実に押さえる。
法の存在形式、すなわち裁判の基準として用いられる法の源をという。法源のうち、文章の形で制定されたものをといい、文章の形をとらないものを不文法という。成文法には、国の最高法規である憲法を頂点として、国会が制定する、内閣や各省が定める政令・省令などの命令、地方公共団体の議会が定めるなどがある。一方、不文法には、長年の慣行が法的なルールとして認められたや、裁判の積み重ねによって形成される判例法がある。成文法相互の間で内容が矛盾する場合には、効力の優劣を決めるルールがある。憲法は法律より、法律は命令より上位にあるという優先の原則、同じ形式の法令では新しい法が古い法に優先するという優先の原則、そして前述の特別法優先の原則の3つが基本である。憲法に違反する法律はとなり、その効力を持たない。💡法令の優先順位の覚え方
効力の優劣は「①上位法優先(憲法>法律>命令)②特別法優先(特別>一般)③後法優先(新>旧)」の3つで判断する。順番に注意が必要で、まず形式(上位か下位か)を見て、同じ形式どうしなら特別か一般か、それも同じなら新しいか古いか、という階層で考えると混乱しない。「上が勝ち、狭いが勝ち、新しいが勝つ」と覚えるとよい。