📖この章で学ぶこと
M&Aとは何かという基本と、支援者としての「仲介」と「FA(ファイナンシャル・アドバイザー)」の立場の違いを理解します。そのうえで、相手探し(ソーシング)から秘密保持契約、意向表明、基本合意、デューデリジェンス、最終契約、クロージングへと進む一連の手続きの流れを、順番と各書類の役割まで整理します。
🔥ここが頻出
仲介とFAの立場の違い(双方の間に立つか、一方の利益最大化を図るか)、ノンネームシートとネームクリアの区別、意向表明書・基本合意書・最終契約書それぞれの法的拘束力の有無、そしてプロセス全体の並び順は繰り返し問われる基本論点です。
M&Aは英語のMergers and の略で、日本語では「合併と」を意味する。近年の中小企業においては、後継者が不在の会社を第三者へ引き継ぐの手段としてM&Aが活用される場面が増えている。売り手側を、買い手側をと呼ぶ。📌仲介とFAの違い
仲介は売り手・買い手の双方の間に立ち、両者の合意形成(成約)を後押しする立場。FAは売り手か買い手の「一方」とだけ契約し、その依頼者の利益最大化のために動く立場。仲介は成約しやすい反面、双方の利益を同時に最大化するのは難しく、利益相反への配慮が求められる。
同一の支援者が売り手と買い手の双方の間に立ち、中立的な立場で成約を後押しする形態をという。これに対して、売り手または買い手の一方とだけ契約し、その依頼者の利益の最大化を図る立場を(ファイナンシャル・アドバイザー)という。仲介は双方から報酬を受け取り得るため、構造的にに注意する必要がある。中小企業のM&Aでは仲介の利用が多く、上場企業同士やクロスボーダー案件ではが使われることが多いとされる。中小企業庁は支援機関が守るべき行動指針としてを公表しており、手数料の明示や利益相反への対応などを求めている。M&Aの相手候補を探し出す活動をという。候補が見つかり検討を始める初期段階で、開示する情報の秘密保持を約束するために結ぶ契約を(NDA)という。相手を特定できない範囲で事業内容や規模の概要だけを匿名で示す資料をという。買い手が関心を示した段階で、実名や詳細資料を開示してよいか売り手に確認する手続きをという。ネームクリアの後に開示される、社名や財務内容を含む詳細な紹介資料を一般に(インフォメーション・メモランダム)という。⚠️ひっかけ注意:拘束力
意向表明書は原則として法的拘束力を持たせない(買収条件の提示が中心)。基本合意書は独占交渉権や秘密保持など「一部」に拘束力を持たせることが多い。最終契約書は「全体」が法的拘束力を持つ。「意向表明書に強い拘束力がある」と書いてあれば誤り。
買い手が買収の希望条件を売り手に提示する書面を意向表明書といい、英語の頭文字からとも呼ばれる。意向表明書の内容は、原則として法的拘束力を。交渉が進み大枠で合意ができた段階で締結する書面をという。基本合意書では、他の候補と交渉しないことを約束させるが定められることが多い。基本合意書のうち、独占交渉権や秘密保持といった一部条項には法的拘束力をのが一般的である。基本合意の後、買い手が売り手企業の実態やリスクを詳細に調査する手続きを(DD)という。DDの結果を踏まえて最終条件を確定し、法的拘束力のあるを締結する。株式譲渡であれば、この最終契約は(SPA)と呼ばれる。最後に、代金の決済と経営権の移転を実行して取引を完了させる手続きをという。ここまでの大まかな順序は、ソーシング→NDA→ノンネームシート→ネームクリア→意向表明書→基本合意書→DD→最終契約→クロージングとなる。