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企業活動の規制

私的独占と不当な取引制限の違い

独占禁止法は公正で自由な競争を守るため、私的独占・不当な取引制限・不公正な取引方法を禁じている。このうち私的独占は他の事業者を排除・支配して市場を支配する行為、不当な取引制限は事業者どうしが共同して競争を制限する行為であり、いずれも競争を損なう点で共通するが、単独でなされるか複数の事業者の合意によるかという行為態様が異なる。

比較表で見る違い

観点私的独占不当な取引制限
行為の主体主に単独の事業者(有力な事業者)複数の事業者が共同して行う
行為の態様他の事業者を排除・支配する相互に競争を制限する合意をする
典型例不当廉売の継続による競争者排除などカルテル・入札談合
競争への影響一定の取引分野の競争を実質的に制限一定の取引分野の競争を実質的に制限
合意の要否合意は不要(単独でも成立しうる)事業者間の合意(意思の連絡)が必要

それぞれの詳しい解説

A私的独占

私的独占とは、事業者が単独でまたは他の事業者と結合・通謀するなどして、他の事業者の事業活動を排除しまたは支配することにより、公共の利益に反して一定の取引分野における競争を実質的に制限する行為をいう(独占禁止法)。典型的には、有力な事業者が採算を度外視した不当廉売を続けて競争相手を市場から追い出す「排除型」や、株式取得や役員派遣等により他社の事業活動を意のままにする「支配型」がある。複数事業者の合意を必ずしも要さず、一つの事業者の行為によっても成立しうる点が、合意を前提とする不当な取引制限との大きな違いである。

  • 他の事業者を排除または支配する行為

  • 排除型と支配型がある

  • 合意を要さず単独でも成立しうる

B不当な取引制限

不当な取引制限とは、複数の事業者が共同して、価格・数量・取引先などを制限し合うことにより、公共の利益に反して一定の取引分野における競争を実質的に制限する行為をいう(独占禁止法)。本来は互いに競争すべき事業者どうしが意思を通じ合う点に本質があり、価格を一斉に引き上げるカルテルや、公共工事などの入札であらかじめ受注予定者や価格を取り決める入札談合がその典型である。成立には事業者間の合意(意思の連絡)が不可欠で、この点が単独でも成立しうる私的独占と決定的に異なる。競争の根幹である自由な値決め・受注競争を当事者の取り決めで骨抜きにするため、厳しく禁止されている。

  • 複数事業者が共同して競争を制限する合意

  • カルテルや入札談合が典型例

  • 事業者間の合意(意思の連絡)が必要

試験対策のポイント

私的独占=主に単独で他社を排除・支配(合意不要)。不当な取引制限=複数事業者の合意で競争制限(カルテル・入札談合)。「一社が排除支配か、複数が談合か」で区別する。

理解度チェック(3問)

Q1. カルテルや入札談合が該当する独占禁止法上の行為類型はどれか。

  1. 1私的独占
  2. 2不当な取引制限
  3. 3不当表示
  4. 4優越的地位の濫用
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正解:2. 不当な取引制限

カルテルや入札談合は、複数の事業者が共同して価格や受注を取り決め競争を制限する行為であり、不当な取引制限に該当するため2が正しい。私的独占は主に単独の事業者が他社を排除・支配する行為であり、合意を本質とするこれらとは態様が異なるため1は誤り。不当表示は景品表示法が規律する別の問題であり3も誤り。優越的地位の濫用は不公正な取引方法の一類型であって、共同行為であるカルテル等とは異なるため4も誤りである。

Q2. 私的独占に関する記述として最も適切なものはどれか。

  1. 1必ず複数の事業者の合意によって成立する
  2. 2他の事業者を排除または支配して競争を実質的に制限する行為である
  3. 3入札談合がその典型例である
  4. 4事業者間の意思の連絡が成立の不可欠な要件である
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正解:2. 他の事業者を排除または支配して競争を実質的に制限する行為である

私的独占は、他の事業者の事業活動を排除しまたは支配することにより一定の取引分野の競争を実質的に制限する行為であるため2が正しい。私的独占は単独の事業者によっても成立しうるので、必ず複数の合意を要するとする1は誤り。入札談合は不当な取引制限の典型であって私的独占ではないため3も誤り。事業者間の意思の連絡を不可欠とするのは不当な取引制限であり、私的独占の成立要件ではないので4も誤りである。

Q3. 私的独占と不当な取引制限の違いとして、適切でないものはどれか。

  1. 1私的独占は主に単独でなされ、不当な取引制限は複数事業者の合意による
  2. 2私的独占は排除・支配が態様であり、不当な取引制限は相互の競争制限が態様である
  3. 3不当な取引制限の典型はカルテルや入札談合である
  4. 4不当な取引制限は単独の事業者だけでも合意なく成立する
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正解:4. 不当な取引制限は単独の事業者だけでも合意なく成立する

不当な取引制限は複数の事業者が共同して行う行為であり、事業者間の合意(意思の連絡)が成立に不可欠である。したがって単独で合意なく成立するとした4が誤りで正解である。主体が単独か複数かという1の対比は正しく、排除・支配と相互の競争制限という態様の違いも2のとおり正しい。カルテルや入札談合が不当な取引制限の典型である点も3のとおりである。合意の要否が両者を分ける決定的なポイントになる。

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