📖この章で学ぶこと
1級では債権を回収可能性に応じて3区分し、区分ごとに貸倒見積高の算定方法が異なる点を学びます。3つの見積方法(実績率法・キャッシュ・フロー見積法・財務内容評価法)を確実に使い分けられるようにしましょう。
金銭債権とは、金銭の給付を目的とする債権をいい、売掛金・受取手形・貸付金などが含まれる。「金融商品に関する会計基準」では、債務者の経営状態や財政状態に応じて債権を3つに区分する。まず、経営状態に重大な問題が生じていない債務者に対する債権をという。次に、経営破綻には至っていないが債務の弁済に重大な問題が生じているか生じる可能性が高い債務者に対する債権をという。最後に、経営破綻または実質的に経営破綻に陥っている債務者に対する債権をという。📌ここがポイント
債権区分は「正常→やや危険→破綻」の3段階。区分ごとに見積方法が違うので、まず区分を判定してから方法を当てはめるのが鉄則です。
区分ごとの貸倒見積高の算定方法を整理する。経営状態に問題のない正常な債権については、債権全体または同種・同類の債権ごとに、過去の貸倒実績率等の合理的な基準により見積もる。この方法をという。これに対し、弁済に重大な問題が生じる可能性が高い債権については、2つの方法が認められている。1つは、債権額から担保の処分見込額および保証による回収見込額を減額し、その残額について債務者の財政状態および経営成績を考慮して貸倒見積高を算定する方法で、これをという。もう1つは、債権の元本および利息について、元本回収および利息受取りが見込まれる時点から当期末までの期間にわたり当初の契約上の利率で割り引いた金額の総額と、債権の帳簿価額との差額を貸倒見積高とする方法で、これをという。🔥ここが頻出
将来CFを見積もる方法では割引率に「当初の契約上の利率」を使う点が頻出。減損会計の割引率(貨幣の時間価値を反映した利率)と混同しないこと。
将来キャッシュ・フローを割り引く方法における割引率は、契約時に定めた当初の利率を用いる。例えば帳簿価額10,000円、契約上の利率5%の貸付金について翌期末に元本の一部しか回収できないと見込まれる場合、見込まれる将来キャッシュ・フローを当初ので割り引いた現在価値と帳簿価額との差を貸倒見積高とする。経営破綻または実質的に経営破綻に陥っている債務者に対する債権については、債権額から担保の処分見込額および保証による回収見込額を減額し、その残額を貸倒見積高とする。すなわち、回収不能と判断される残額をそのまま見積額に計上する。なお、危険性の高い債権や破綻先の債権は、債権の状況がそれぞれ異なるため、債務者ごとに1件ずつ見積もるの方法により貸倒見積高を算定する。これに対し、正常な債権は同種・同類のグループごとにまとめて見積もる一括評価による。貸倒引当金の表示と計上方法も重要である。貸倒引当金は、債権から控除する形式(控除科目)で貸借対照表に表示するのが原則であり、その繰入額は損益計算書上、原則としてに計上する。ただし、貸付金など営業外の債権に係る繰入額はに計上する。臨時かつ巨額の場合は特別損失に計上することもある。引当金の設定にあたり、当期繰入額と前期末残高との差額のみを計上する方法をという。これに対し、前期末残高をいったんすべて戻入れて当期末必要額を新たに繰り入れる方法をという。⚠️ひっかけ注意
担保処分見込額は「危険な債権の両方の方法」で控除します。財務内容を評価する方法でも将来CFを見積もる方法でも、まず担保・保証による回収見込額を考慮する点を見落とさないこと。
債権に関連する論点として、受取手形を満期前に銀行で割り引いた場合や裏書譲渡した場合、原則として手形債権は消滅するが、遡求義務という二次的な責任が残る。この遡求義務は時価評価して負債に計上し、その科目をという。手形が無事決済されれば、この負債は取り崩して収益とする。なお、金融資産の契約上の権利を行使したとき、権利を喪失したとき、または権利に対する支配が他に移転したときに消滅を認識する考え方をという。また、電子記録に基づいて発生・譲渡される金銭債権をといい、手形のように紛失・盗難のリスクがなく、分割譲渡も可能である。これに対応する債務は電子記録債務として処理する。さらに、外貨建ての金銭債権・債務は、決算時ので換算替えし、生じた差額は為替差損益として処理する。なお、貸付金などについて、すでに発生している利息のうち未収のものは、決算で見越計上し、貸借対照表上はとして流動資産に計上する。💡覚え方
「正常は実績率、危険はキャッシュか財務内容、破綻は財務内容で残額全額」。3区分×方法の対応を一息で言えるようにしておくと得点源になります。