📖この章で学ぶこと
労働基準法は労働条件の最低基準を定めた法律で、第1条で「労働条件は人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきもの」と規定します。本章では、労基法の総則、労働契約の締結・労働条件明示義務、解雇予告(30日前予告または30日分以上の平均賃金支払)、解雇制限、賃金支払の5原則、就業規則の作成義務(常時10人以上)を整理します。労働者・使用者の定義、適用除外(同居の親族のみの事業・家事使用人)も頻出です。
労働基準法第1条では、労働条件は労働者がを営むための必要を充たすべきものでなければならないと定めている。同法に定める労働条件の基準はのものであり、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならず、その向上を図るように努めなければならない(1条2項)。労基法上の「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業に使用される者でを支払われる者をいう(9条)。「使用者」とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のためにをいう(10条)。なお、労基法はを使用する事業及び家事使用人には適用されない(116条2項)。📌ここがポイント
使用者は労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金・労働時間その他の労働条件を明示しなければならない(15条1項)。明示事項のうち「①労働契約の期間 ②就業場所・従事業務 ③始業終業・休憩・休日・休暇 ④賃金 ⑤退職」は書面交付が義務(労基則5条)。明示された労働条件が事実と相違する場合、労働者は即時に労働契約を解除できる(15条2項)。
使用者が労働者を解雇する場合、少なくとも前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の(解雇予告手当)を支払わなければならない(20条1項)。ただし、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合、または労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合は、を受けてこの予告を要しない(20条1項但書)。解雇予告制度の適用除外として、①日々雇い入れられる者(1ヶ月を超えて引き続き使用された場合を除く)、②2ヶ月以内の期間を定めて使用される者、③季節的業務に4ヶ月以内の期間を定めて使用される者、④試の使用期間中の者でを超えない者は除かれる(21条)。また、業務上の負傷・疾病による療養のために休業する期間及びその後、産前産後休業期間及びその後30日間は解雇してはならない(19条1項)。🔥本試験頻出
賃金支払の5原則「通貨払い・直接払い・全額払い・毎月1回以上・一定期日払い」(24条)は必出。「賃金は労働者に直接支払う」が正、「家族に支払う」は不可。労働者の同意があれば本人名義口座への振込は可能(労基則7条の2)。
賃金は、①通貨で、②直接労働者に、③全額を、④毎月1回以上、⑤一定の期日を定めて支払わなければならない(24条)。これを賃金支払のという。労基法上の「賃金」とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう(11条)。「平均賃金」は、これを算定すべき事由の発生した日以前にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう(12条)。使用者は、常時の労働者を使用する場合、就業規則を作成し、行政官庁(所轄労働基準監督署長)に届け出なければならない(89条)。就業規則の作成・変更については、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合(ない場合は労働者の過半数を代表する者)のを聴かなければならない(90条)。労働契約で就業規則に達しない労働条件を定めた場合、その部分は無効となり、就業規則の基準による(93条、労契法12条)。労働契約の期間は、原則としてを超えてはならない(14条)。ただし、専門的知識を有する者や満60歳以上の者との労働契約は5年まで可能。労働者は損害賠償額の予定を理由として労働を強制されることはなく、使用者は労働契約の不履行についてを定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない(16条)。労働者が退職した場合、使用者は、権利者の請求があった日からに賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず労働者の権利に属する金品を返還しなければならない(23条)。退職時の証明書の請求があったときも、遅滞なく交付しなければならない(22条)。