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憲法

形式的平等と実質的平等の違い

憲法14条1項の法の下の平等の意味について、形式的平等は「等しき者を等しく扱う」機会の平等、実質的平等は社会的・経済的弱者に配慮した「結果の平等に近づける」考え方です。現代では両者の調整が課題となります。

比較表で見る違い

観点形式的平等実質的平等
基本的な考え方機会の平等・取扱いの平等結果の平等に配慮・社会経済的弱者の保護
歴史的位置付け近代立憲主義の出発点(自由権との結合)20世紀的・福祉国家的要請
区別の許容性原則として一律平等。合理的区別のみ許容実質的不平等是正のためには合理的区別を要請
典型的な問題法令上の差別的取扱いアファーマティブ・アクション、社会保障
判例の立場14条は原則として相対的平等=形式的平等を保障実質的平等は立法政策に委ねられる部分が大きい

それぞれの詳しい解説

A形式的平等

同じ条件にある者を同じく取り扱うべきとする「機会の平等」。法律による差別的取扱いを禁じることが中心で、判例・通説は憲法14条1項を「合理的理由のない差別を禁止する相対的平等」と解しています。

  • 法的取扱いの平等(差別の禁止)

  • 合理的区別は許容(最大判昭39.5.27 等)

B実質的平等

社会的・経済的に不利な立場にある者に対し、その不利を是正するための積極的措置を要請する考え方。生存権(25条)等の社会権と結びつき、福祉立法やアファーマティブ・アクションの根拠となります。

  • 社会権・福祉国家原理と結合

  • 事実上の不平等是正のための合理的区別を要請

試験対策のポイント

「形式的平等=機会の平等・差別禁止」「実質的平等=結果の平等への配慮・積極的是正」。判例は14条を相対的平等と解し、合理的根拠ある区別は許容(尊属殺重罰違憲判決等)。

理解度チェック(3問)

Q1. 憲法14条1項の「法の下の平等」に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 1憲法14条1項は絶対的平等を意味し、いかなる区別も許されない。
  2. 2判例・通説は、憲法14条1項を合理的理由のない差別を禁止する相対的平等と解している。
  3. 3形式的平等は、社会的・経済的弱者に対する積極的是正措置を要請する。
  4. 4実質的平等の概念は、近代立憲主義の出発点として確立された。
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正解:2. 判例・通説は、憲法14条1項を合理的理由のない差別を禁止する相対的平等と解している。

判例・通説は14条1項を相対的平等=合理的根拠ある区別は許容と解する(最大判昭39.5.27 等)。形式的平等は近代立憲主義、実質的平等は20世紀の福祉国家的要請。積極的是正措置は実質的平等の要請。

Q2. 法の下の平等に関する判例の立場として、最も適切なものはどれか。

  1. 1尊属殺重罰規定(旧刑法200条)は、立法目的・手段の双方ともに合理性を欠かないとして合憲とされた。
  2. 2非嫡出子の法定相続分を嫡出子の2分の1とした旧民法の規定は、最終的に違憲と判断された。
  3. 3議員定数不均衡訴訟において、最高裁は一貫して合憲としている。
  4. 4租税法上の合理的な区別は、憲法14条違反の問題を生じない。
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正解:2. 非嫡出子の法定相続分を嫡出子の2分の1とした旧民法の規定は、最終的に違憲と判断された。

最大決平25.9.4は非嫡出子相続分差別規定を違憲と判断(旧民法900条4号但書)。尊属殺重罰規定は手段の合理性を欠き違憲(最大判昭48.4.4)。議員定数不均衡では違憲・違憲状態判決もある。租税法も14条審査の対象。

Q3. 次の記述のうち、実質的平等の考え方に最も親和的なものはどれか。

  1. 1法律の文言上、すべての国民を一律に取り扱うべきである。
  2. 2社会的・経済的に不利な立場にある者に対する積極的是正措置(アファーマティブ・アクション)を許容ないし要請する。
  3. 3区別取扱いは合理的な理由があるか否かで判断する。
  4. 4私人間における差別には憲法は直接適用されない。
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正解:2. 社会的・経済的に不利な立場にある者に対する積極的是正措置(アファーマティブ・アクション)を許容ないし要請する。

アファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)は実質的平等の典型的な現れ。文言上の一律取扱いは形式的平等。合理的区別論は形式的平等の枠内での議論。私人間効力は別論点。

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