📖この章で学ぶこと
バス・タクシー事業を規律する「道路運送法」の全体像をつかむ章です。一般旅客自動車運送事業の3区分(乗合・貸切・乗用)と特定旅客自動車運送事業、事業を始めるための許可、そして事業計画を変えるときの「認可」と「届出」の使い分け、運賃・料金や運送約款の手続を、確実に区別できるようにしましょう。試験の入口かつ毎回問われる土台です。
🔥ここが頻出
貸切と乗用を分ける「乗車定員11人」の境目、「認可」が必要なものと「届出」で足りるものの区別、許可の対象となる事業、自家用自動車を有償運送に使うときの取扱いは超頻出です。言葉の意味(許可・認可・届出・登録)を取り違えないことが合否を分けます。
道路運送法は、旅客自動車運送事業をはじめとする道路運送事業の運営を適正かつ合理的なものとし、輸送のを確保するとともに、道路運送の利用者の利益の保護や利便の増進を図ることなどを目的としている。旅客自動車運送事業は大きく「一般旅客自動車運送事業」と「特定旅客自動車運送事業」に分けられ、さらに一般旅客自動車運送事業は、一般乗合旅客自動車運送事業・一般貸切旅客自動車運送事業・の3つに区分される。これらの事業が、旅客を運送する対価として収受する金銭がである。「他人の需要に応じ、有償で、自動車を使用して旅客を運送する」点が、自分や仲間内の移動のために運転する自家用(白ナンバー)との決定的な違いとなる。路線を定めて定期に運行する乗合バスのように、不特定多数の旅客を一定の運賃で運送する事業をという。これに対し、一個の契約により乗車定員11人以上の自動車を貸し切って旅客を運送する、いわゆる貸切バスの事業を一般貸切旅客自動車運送事業という。貸切バスとタクシーを分ける基準は、その自動車のであり、定員11人以上が貸切バス、11人未満が乗用(タクシー・ハイヤー)と整理される。一個の契約により乗車定員の自動車を貸し切って旅客を運送する事業を一般乗用旅客自動車運送事業という。タクシーやハイヤーがこれにあたり、運行管理者試験(旅客)が主に対象とするのも、これら一般乗合・一般貸切・一般乗用の各事業である。一方、特定の者の需要に応じ、特定の範囲の旅客を運送する事業(例:特定の企業の従業員のみを送迎するなど)をという。運送の相手方が「特定の者」に限られる点が一般旅客との違いである。特定旅客自動車運送事業も、経営しようとするときは国土交通大臣の許可がであり、この点は一般旅客と共通する。過疎地域での住民の移動手段の確保などのため、市町村やNPO法人等が自家用自動車を使用して有償で旅客を運送する場合がある。この自家用有償旅客運送は、許可ではなく、国土交通大臣(その権限の委任を受けた者を含む)へのを受けて行う制度であり、道路運送法第79条に定められている。事業用自動車には緑色のナンバープレート(緑ナンバー)、自家用自動車には白色のナンバープレート(白ナンバー)が付される点も押さえておく。一般旅客自動車運送事業を経営しようとする者は、道路運送法第4条により、国土交通大臣のを受けなければならない。この「許可」は、本来は自由に行うことができない事業活動を、一定の基準を満たした者にだけ認める行為である。許可を受けようとする者は、氏名・名称、事業の種別、路線または営業区域、営業所の名称・位置、事業用自動車の概要などを記載した申請書を提出する。国土交通大臣は、許可をしようとするときは、その事業の計画が輸送のを確保するため適切なものであること、事業を遂行するために必要な経済的基礎・能力を有することなどの基準(許可基準)に適合するかどうかを審査する。また、許可をするときには、輸送の安全の確保を図るため必要があると認めるを付し、これを変更することができる。許可は無条件に与えられるとは限らない。事業者は、許可申請の際に「事業計画」を定めなければならない。事業計画には、営業所の名称・位置、各営業所に配置する事業用自動車の数、自動車車庫の位置・収容能力、休憩・の位置・収容能力などを記載する(乗合の場合は路線や運行回数なども含む)。事業者は、その事業計画に従って業務を行わなければならない。さらに、事業者は、運送約款のほか、運行管理者の選任や事業用自動車のを適切に行う体制を整え、計画に沿って事業を運営する責任を負う。📌ここがポイント
事業計画の変更は「重要なものは認可(事前に役所のOKが必要)」「軽微なものは届出(後から知らせれば足りる)」と覚えます。営業所・車庫・休憩仮眠施設の位置や収容能力など“安全に直結する基盤”の変更は認可、各営業所の配置車両数の変更などは原則あらかじめ届出、というのが基本パターンです。
一般旅客自動車運送事業者は、事業計画の変更をしようとするときは、原則として国土交通大臣のを受けなければならない。認可とは、事業者が行おうとする行為に役所が同意を与えることで、その効力を完成させる行為である。特に、営業所・自動車車庫・休憩仮眠施設の位置および収容能力に関する事業計画の変更は、輸送の安全に直結するため認可事項とされている。一方、各営業所に配置する事業用自動車の数の変更など、比較的影響の小さい変更については、あらかじめその旨を国土交通大臣になければならない(事前届出)。また、主たる事務所の名称・位置の変更のような事項は、変更後に遅滞なく届け出れば足りる(事後届出)。このように、同じ「事業計画の変更」でも、安全への影響度に応じて手続が認可と届出に振り分けられている点に注意する。一般乗合旅客自動車運送事業者および一般乗用旅客自動車運送事業者は、旅客の運賃及び料金を定め、または変更しようとするときは、原則として国土交通大臣のを受けなければならない(上限認可・実施の届出など制度の細部はあるが、基本は国の関与を要する)。これに対し、一般貸切旅客自動車運送事業(貸切バス)の運賃・料金は、あらかじめ国土交通大臣にこととされている。乗合・乗用と貸切とで、運賃・料金の手続が異なる点を区別しておく。一般旅客自動車運送事業者は、旅客の運送に関する契約の内容を定めたを定め、または変更しようとするときは、原則として国土交通大臣の認可を受けなければならない。ただし、国土交通大臣が定めて公示した標準運送約款と同一の約款を使用する場合などは、認可を受けたものとみなされる。一般旅客自動車運送事業者は、その名義を他人に貸して、その他人に旅客自動車運送事業を経営させてはならない。これをという。許可を受けた者以外が「人の名前を借りて」事業を行うことを防ぎ、責任の所在を明確にするための規定である。同様の趣旨から、事業の貸渡し(事業の)も、原則として国土交通大臣の許可を受けなければ行うことができない。事業者が法令に違反したとき、国土交通大臣は、6か月以内において期間を定めて事業の全部もしくは一部の停止を命じ、または許可をことができる。許可は一度受ければ未来永劫安泰というものではなく、適正な運営を怠れば失われ得る点を理解しておく。💡覚え方
手続の重さは「許可 > 認可 > 届出」の順。【許可】=開業そのものの入場券(一般・特定/道路運送法第4条)。【認可】=事業計画の“重要変更”や運送約款・乗合乗用の運賃のOK(営業所・車庫・休憩仮眠施設の位置/収容能力)。【届出】=軽微な変更や貸切の運賃。「定員11人=貸切とタクシーの境目」「位置・収容能力=認可、台数=届出」とペアで暗記すると迷いません。