司法試験予備試験とは?
法科大学院を経ずに司法試験の受験資格を得るための国家試験。受験資格は不要で、誰でも受験できます。短答式・論文式・口述式の3段階で、最終合格率は例年3〜4%台。法律系で最難関とされる試験です。
司法試験予備試験の基本データ
司法試験予備試験は国家資格です。実施機関は法務省 司法試験委員会。 合格率は最終合格率は例年3〜4%台(最終合格者は年間400〜500人前後)、受験者数は出願者は例年1万3千〜1万7千人前後。受験料は受験手数料 17,500円(収入印紙)。
- 実施機関
- 法務省 司法試験委員会
- 合格率
- 最終合格率は例年3〜4%台(最終合格者は年間400〜500人前後)
- 受験者数
- 出願者は例年1万3千〜1万7千人前後
- 受験料
- 受験手数料 17,500円(収入印紙)
出典: 法務省「司法試験予備試験」直近年度公表値
司法試験予備試験の概要
司法試験予備試験(予備試験)は、法科大学院課程を修了していない人に司法試験の受験資格を与えるための国家試験です。法務省の司法試験委員会が実施し、受験資格は一切ありません。年齢・学歴・実務経験を問わず、誰でも受験できます。予備試験に合格すると、その合格後5年間、司法試験を受験できるようになります。
試験は短答式試験・論文式試験・口述試験の3段階です。短答式試験は例年7月中旬に実施され、憲法・行政法・民法・商法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法の法律科目7科目に一般教養科目を加えた構成で、法律科目は各30点・一般教養科目60点の合計270点満点です。ここで足切りにあたる合格点を超えた人だけが、9月の論文式試験に進みます。
論文式試験は法律基本7科目に加えて、法律実務基礎科目(民事・刑事)と選択科目(労働法・倒産法・知的財産法・経済法・国際関係法(公法系・私法系)・環境法・租税法の中から1科目)が課されます。予備試験の実質的な山場であり、短答式合格者のうち論文式に合格するのはおよそ2割です。論文式合格者は翌年1月の口述試験に進み、法律実務基礎科目(民事・刑事)について試験官との問答形式で試されます。口述試験は合格率が9割を超え、ここまで来ればほとんどの人が最終合格します。
最終合格率は受験者全体の3〜4%台で、司法書士試験や税理士試験と並ぶ、あるいはそれを上回る難関とされます。一方で、予備試験ルートの合格者は司法試験本試験でも極めて高い合格率を示しており、法科大学院に通う時間的・経済的負担を避けたい学生や社会人にとって、法曹への最短ルートとして位置づけられています。
- 法科大学院を修了しなくても司法試験の受験資格を得られる唯一のルート
- 法務省の司法試験委員会が実施。受験資格は不要で、年齢・学歴・実務経験を問わず誰でも受験可
- 短答式(7月)→論文式(9月)→口述式(翌年1月)の3段階
- 最終合格率は受験者全体の3〜4%台。最大の関門は論文式で、短答合格者の約2割しか通過しない
- 合格すると合格後5年間、司法試験を受験できる
- 予備試験ルート合格者の司法試験合格率は例年9割前後と極めて高い
司法試験予備試験の合格率・難易度・試験日程
年間スケジュール
- 出願:例年2月中旬〜3月上旬
- 短答式試験:例年7月中旬(1日)
- 短答式試験の合格発表:例年8月上旬
- 論文式試験:例年9月上旬(2日間)
- 論文式試験の合格発表:例年12月下旬
- 口述試験:翌年1月下旬(2日間)
- 最終合格発表:翌年2月上旬
※受験資格は不要で、年齢・学歴・実務経験を問わず誰でも受験できます。短答式に合格しなければ論文式へ、論文式に合格しなければ口述式へ進めません。試験制度・日程・科目・手数料は変更されることがあるため、必ず法務省の公式情報で最新の受験案内をご確認ください。
出典:法務省「司法試験予備試験」直近年度公表値
司法試験予備試験の試験内容(科目・問題数・合格基準)
短答式試験は憲法・行政法・民法・商法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法の法律7科目(各30点)と一般教養科目(60点)の合計270点満点です。論文式試験は法律7科目に法律実務基礎科目(民事・刑事)と選択科目1科目を加えた構成で、口述試験は法律実務基礎科目について問答形式で行われます。本サイトでは短答式・論文式の土台となる法律基本7科目と法律実務基礎科目、選択科目として労働法を、一問一答1,000問とまとめノート178章で収録しています(論文答案の添削そのものは非収録です)。
試験形式
短答式試験(マークシート)・論文式試験(記述)・口述試験(問答)の3段階
試験時間
短答式は1日(法律科目・一般教養科目)/論文式は2日間/口述試験は2日間
解答形式
短答式:多肢択一・組合せ形式。論文式:事例問題に対する答案作成。口述:試験官2名との問答形式
合格基準
各段階で合格点を超えること(いずれも相対評価で毎年変動)。短答式に合格しなければ論文式へ進めない
出題科目
民法
短答式30点/論文式1科目短答式・論文式ともに最重要科目。総則・物権・担保物権・債権総論・契約・法定債権・親族相続の全分野が出題される。平成29年の債権法改正、平成30年の相続法改正を踏まえた学習が不可欠。
刑法
短答式30点/論文式1科目総論(因果関係・故意・正当防衛・共犯)と各論(財産犯を中心とする各罪)から出題。論文式では事実を丁寧に評価し、規範に当てはめる論述力が問われる。
商法(会社法)
短答式30点/論文式1科目会社法を中心に、商法総則・商行為、手形小切手法も含む。設立・株式・機関・計算・組織再編が中心で、条文操作の正確さが得点を左右する。
憲法・行政法
短答式各30点/論文式各1科目憲法は人権と統治の重要判例を、行政法は行政作用法・行政救済法(行政事件訴訟法・国家賠償法)を扱う。論文式では公法系として、処分性・原告適格・違憲審査基準の運用が問われる。
民事訴訟法・刑事訴訟法
短答式各30点/論文式各1科目民訴は訴訟物・弁論主義・既判力・複雑訴訟を、刑訴は捜査(強制処分・令状主義)と証拠法(伝聞法則・自白法則・違法収集証拠)を中心に出題される。手続法特有の思考の型を身につける必要がある。
法律実務基礎科目(民事・刑事)
論文式1科目(民事・刑事)/口述試験論文式・口述式で課される予備試験固有の科目。民事は要件事実論と民事保全・執行、刑事は証拠構造の分析と事実認定、いずれも法曹倫理を含む。実務の考え方に触れる科目。
選択科目
論文式1科目労働法・倒産法・知的財産法・経済法・国際関係法(公法系・私法系)・環境法・租税法から1科目を選択。令和4年から論文式に導入された。本サイトでは労働法を収録している。
一般教養科目
短答式60点短答式のみで課される60点分の科目。人文科学・社会科学・自然科学・英語などから出題され、範囲が広く対策が難しいため、法律科目で確実に得点する戦略が一般的。
問われる力
- 法律基本7科目の条文・判例を横断して正確に運用する知識
- 事例から法的な争点を抽出し、規範を立てて事実を当てはめる論文答案の構成力
- 限られた時間で答案を書き切る筆記スピードと時間配分
- 要件事実・事実認定など、実務の思考枠組みを扱う力
- 短答・論文・口述という3段階を1年以上かけて突破する持久力
司法試験予備試験取得後のキャリア
予備試験に合格すると、その合格後5年間、司法試験を受験できます。司法試験に合格し司法修習を終えれば、弁護士・検察官・裁判官という法曹三者への道が開けます。予備試験ルートは法科大学院に通わずに済むため、在学中の学生や働きながら目指す社会人にとって、時間的・経済的負担の小さいルートとして選ばれています。
主なキャリアパス
弁護士
司法試験合格・司法修習を経て就く最も一般的な進路。企業法務、一般民事、刑事弁護、渉外、インハウスローヤーなど、活動分野は幅広い。予備試験合格者は在学中合格も多く、大手法律事務所からの評価も高い。
検察官
刑事事件の捜査・公判を担う国家公務員。司法修習を経て任官する。刑事訴訟法・刑法の理解が直接活きる進路。
裁判官
民事・刑事の裁判を担う。司法修習の成績等を踏まえて任官する。手続法と事実認定の精度が問われる仕事。
企業法務・公務員(法曹資格を活かす道)
予備試験の学習内容そのものが企業法務・官公庁での法務職に直結する。司法試験に進まない場合でも、法律知識を活かしたキャリアが開ける。
関連データ
予備試験の最終合格率
例年3〜4%台
出典:法務省「司法試験予備試験の結果について」直近年度公表値
論文式試験の合格率
短答式合格者のおよそ2割
出典:法務省「司法試験予備試験」直近年度公表値
予備試験ルートの司法試験合格率
例年9割前後
出典:法務省「司法試験の結果について」直近年度公表値
出願者数
年間1万3千〜1万7千人前後
出典:法務省「司法試験予備試験」直近年度公表値
- 法科大学院に通わずに司法試験の受験資格を得られる唯一のルートで、時間と学費の負担が小さい
- 受験資格が不要なため、大学在学中の挑戦から社会人の転身まで多様なルートがある
- 予備試験ルート合格者の司法試験合格率は法科大学院修了者を大きく上回る
- 行政書士・司法書士の学習と民法・憲法・商法などが重なるため、学習資産を活かして接続できる
司法試験予備試験のよくある質問
Q. 受験資格はありますか?
A. 司法試験予備試験に受験資格はありません。年齢・学歴・実務経験を問わず、誰でも受験できます。大学在学中に挑戦する人も、社会人が働きながら目指す人も多い試験です。
Q. 試験はどのような構成ですか?
A. 短答式試験・論文式試験・口述試験の3段階です。短答式は例年7月中旬に実施され、憲法・行政法・民法・商法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法の法律7科目(各30点)と一般教養科目(60点)の合計270点満点です。短答式に合格すると9月の論文式試験に進み、法律7科目に法律実務基礎科目(民事・刑事)と選択科目1科目が加わります。論文式に合格すると翌年1月の口述試験に進み、法律実務基礎科目について問答形式で試されます。
Q. 一番の関門はどこですか?
A. 論文式試験です。短答式の合格率は例年2割前後、論文式は短答式合格者のうちおよそ2割、口述試験は9割を超えます。つまり最終合格者を絞っているのは実質的に論文式であり、答案を書き切る訓練にどれだけ時間を割けるかが合否を分けます。
Q. 予備試験に合格すると何ができますか?
A. 予備試験に合格すると、法科大学院課程を修了していなくても司法試験を受験できるようになります。受験できる期間は合格後5年間です。司法試験に合格し司法修習を修了すれば、弁護士・検察官・裁判官になる資格が得られます。
Q. 法科大学院ルートとどちらが有利ですか?
A. 一概には言えませんが、予備試験ルートは法科大学院の2〜3年と学費が不要で、合格すればすぐに司法試験に挑戦できる点が大きな利点です。実際、予備試験ルート合格者の司法試験合格率は例年9割前後と、法科大学院修了者を大きく上回ります。一方で予備試験自体の合格率は3〜4%台と非常に低いため、在学中は法科大学院進学と予備試験受験を並行する人も多くいます。
Q. 行政書士や司法書士の学習を活かせますか?
A. 活かせます。予備試験の中心である民法・憲法・商法(会社法)は、行政書士試験や司法書士試験でも学ぶ分野です。ただし予備試験では条文・判例の理解が格段に深く問われるうえ、論文式で自ら規範を立てて事実を当てはめる答案作成が求められるため、上積みの学習量は大きくなります。まずは民法を土台に、論文の型を身につけていくのが定番のルートです。