📖この章で学ぶこと
簿記の1年間の流れ(簿記一巡)と、決算で計上した経過勘定を翌期首に戻す再振替仕訳を確認します。そのうえで、現金の範囲(通貨代用証券)・現金過不足・小口現金・当座借越、そして頻出論点である銀行勘定調整表を学び、企業側の修正仕訳が必要な項目と不要な項目を区別できるようにします。
🔥ここが頻出
銀行勘定調整表は簿記論で頻出です。とくに「企業側の修正仕訳が必要な項目(連絡未達・誤記入・未渡小切手)」と「不要な項目(時間外預入・未取付小切手・未取立小切手)」の区別が繰り返し問われます。両者区分調整法・企業残高基準法・銀行残高基準法の作り方もあわせて押さえましょう。
簿記一巡とは、一会計期間に行われる簿記手続の一連の流れをいう。期首の開始手続に始まり、期中取引の仕訳と総勘定元帳への転記を行う。転記が正確に行われたかを検証するため、決算予備手続として各勘定の残高を集計したを作成する。英米式決算法では、収益・費用の各勘定を勘定に振り替えて当期純損益を算定し、その後、資産・負債・純資産の各勘定の次期繰越高が正しいかを検証するためにを作成する。決算整理後の各勘定残高にもとづき、損益計算書と貸借対照表からなるを作成して一巡が完了する。収益総額から費用総額を差し引いた差額がプラスであればとなる。なお英米式決算法では、期首に前期繰越高を各勘定へ記入するから手続が始まる。決算において計上した経過勘定項目(前払費用・前受収益・未払費用・未収収益)は、翌期首に元の費用・収益の勘定へ戻す。この仕訳をといい、決算整理仕訳の仕訳を翌期首の日付で行うものである。📌現金の範囲を押さえる
通貨代用証券(他人振出小切手・送金小切手・郵便為替証書・配当金領収証・期限到来後の公社債利札)は、受け取った時点で「現金」で処理します。ただし、自己振出小切手を回収したときは「当座預金」の増加、他人振出の約束手形は「受取手形」で処理する点に注意しましょう。
簿記上の現金には、通貨のほか、ただちに通貨と引き換えられるが含まれる。他人振出の小切手、送金小切手、郵便為替証書、期限到来後の公社債の利札、株式のなどは、受け取った時点で現金として処理する。ただし、自己振出の小切手を回収したときは、振り出した際に減少させたの増加として処理する。また、他人が振り出した約束手形は現金ではなくとして処理し、収入印紙や郵便切手の未使用分は決算でに振り替える。現金の帳簿残高と実際有高が一致しない場合、その差額を一時的に勘定で処理する。決算日までに原因が判明しなかった不足額(実際有高が帳簿残高より少ない)はとして営業外費用に、原因不明の過剰額はとして営業外収益に計上する。小口現金制度では、用度係にあらかじめ一定額を前渡しし、期末や週末に使用額の報告を受けて同額を補給する。この方法をといい、英語ではとも呼ばれる。補給後の残高が常に一定額に保たれるのが特徴である。⚠️ひっかけ注意:当座借越と未渡小切手
決算で当座預金が貸方残高(マイナス)になったら、そのまま放置せず「当座借越(または短期借入金)」へ振り替えます。未渡小切手は、仕入・買掛金の支払用に振り出したものなら買掛金を、費用の支払用なら未払金を復活させ、当座預金を元に戻します(費用そのものを取り消すのではありません)。
当座預金の残高を超えて小切手を振り出しても、銀行とを結んでいれば、限度額まで支払いに応じてもらえる。決算日に当座預金が貸方残高となっている場合は、その金額をまたは短期借入金として負債に振り替える。決算日に企業の当座預金勘定残高と銀行の残高証明書残高が一致しないとき、両者の差異原因を明らかにするためにを作成する。企業残高と銀行残高の両方をそれぞれ加減して正しい残高に一致させる方法を、企業の帳簿残高を出発点として銀行残高に一致させる方法を、逆に銀行の残高証明書残高を出発点として企業残高に一致させる方法をという。差異項目のうち、企業側の記帳に修正が必要となるのは、企業が誤記入・未記帳をしている場合である。得意先からの振込入金が銀行から知らされていないは、企業側で入金の仕訳を追加する。金額を書き間違えたは正しい金額との差額を修正する。作成済みで相手にまだ渡していないは、当座預金を減らす仕訳を取り消し、買掛金や未払金を復活させる。これらの修正はすべて側の帳簿に対して行うものである。一方、企業側の修正が不要な項目もある。営業時間外に預け入れた、企業が振り出した小切手を受取人がまだ銀行に呈示していない、取立てを依頼した手形・小切手を銀行がまだ取り立てていないは、いずれも企業の記帳は正しく、銀行側の時間的なズレにすぎないため修正仕訳は不要である。決算手続の全体像を一覧するために、試算表・修正記入・損益計算書・貸借対照表の各欄をまとめたを作成することもある。💡覚え方:修正不要は3つだけ
銀行勘定調整表で「企業側の修正が不要(=銀行側の時間的ズレ)」なのは、時間外預入・未取付小切手・未取立小切手の3つだけ。「取付・取立・時間外は放っておく」と覚え、それ以外(連絡未達・誤記入・未渡小切手など)は企業側で修正、と割り切ると迷いません。