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原状回復・関係法令

賃貸住宅管理業法と宅地建物取引業法の違い

賃貸住宅管理業法(正式名称:賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律)は2021年6月15日に全面施行された比較的新しい法律で、賃貸管理業とサブリース(特定転貸事業)を規制します。一方、宅建業法は1952年制定の歴史ある法律で不動産取引(売買・交換・賃貸の媒介・代理)を規制します。両者は規制対象が異なる補完関係にあり、管理会社が仲介もする場合は両方の登録・資格が必要です。

比較表で見る違い

観点賃貸住宅管理業法(賃管業法)宅地建物取引業法(宅建業法)
規制対象業務賃貸住宅の管理(家賃徴収・建物維持保全等)/サブリース(特定転貸事業)不動産の売買・交換・賃貸の媒介・代理/自ら売買・交換
施行年2021年6月15日全面施行(サブリース規制は2020年12月先行施行)1952年(昭和27年)制定
登録対象賃貸住宅管理業者(管理戸数200戸以上は登録義務)/特定転貸事業者(サブリース業者)宅地建物取引業者(事務所ごとに免許)
必置資格・人数業務管理者(賃管士・宅建士+指定講習等):事務所ごとに1名以上/賃管業法10条・12条宅地建物取引士:事務所の業務従事者5名に1名以上/宅建業法31条の3
重要事項説明の場面管理受託契約締結前(賃管業法13条)/特定賃貸借契約(マスターリース)締結前(同30条)売買契約・賃貸借契約の成立前(宅建業法35条)/37条書面(契約書面)も交付義務
主な罰則無登録営業:1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(賃管業法41条)無免許営業:3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(宅建業法79条)
典型的な業務イメージ管理会社が大家に代わり家賃集金・クレーム対応・原状回復対応を行う/サブリース会社が一括借上げ不動産会社が売主・買主の間に入り売買契約を仲介/賃貸物件の入居者を募集して契約

それぞれの詳しい解説

A賃貸住宅管理業法(賃管業法)

正式名称は「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」で、2021年6月15日に全面施行されました。管理戸数200戸以上の賃貸住宅管理業者は国土交通大臣への登録義務があり(同法3条)、事務所ごとに業務管理者の選任(10条)、管理受託契約締結前の重要事項説明(13条)、書面交付(14条)、財産分別管理(16条)等が義務付けられます。サブリース規制(28〜30条)では、誇大広告の禁止・不当勧誘の禁止・特定賃貸借契約締結前の重要事項説明が定められ、サブリース業者と勧誘者の双方が規制対象です。

  • 対象:賃貸管理業(家賃徴収・建物維持保全)/特定転貸事業(サブリース)

  • 業務管理者の選任義務(10条)/事務所ごと1名以上

  • 管理受託契約:重説(13条)・書面交付(14条)・財産分別管理(16条)

  • サブリース規制:誇大広告禁止(28条)・不当勧誘禁止(29条)・重説(30条)・書面交付(31条)

  • 罰則:無登録営業は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(41条)

  • 管理戸数200戸未満は登録任意だが、登録すれば義務が及ぶ

B宅地建物取引業法(宅建業法)

1952年制定の歴史ある業法で、不動産取引の安全と公正を確保するため、宅地建物取引業者の免許制(宅建業法3条)、宅地建物取引士の必置(31条の3:5人に1名以上)、重要事項説明(35条)、契約書面交付(37条)、媒介契約書の交付(34条の2)等を定めます。賃貸の媒介・代理は宅建業に含まれますが、管理業務(家賃集金や建物維持)は含まれません。無免許営業の罰則は重く、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(79条)が科されます。

  • 対象:宅地建物の売買・交換・賃貸の媒介・代理/自ら売買・交換

  • 宅建士の必置:事務所5名に1名以上(31条の3)

  • 重要事項説明:契約成立前に宅建士が記名した書面で説明(35条)

  • 37条書面(契約書面):契約成立後遅滞なく交付・記名

  • 罰則:無免許営業は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(79条)

  • 賃貸の管理業務は規制対象外(管理は賃管業法)

試験対策のポイント

賃管業法=管理業(家賃徴収・建物維持)/サブリース、宅建業法=取引(売買・賃貸の仲介)。両者は補完関係で、入居者募集(仲介)と管理を両方行う会社は両方の登録が必要。重説の根拠条文は賃管業法13条・30条/宅建業法35条で覚える。

理解度チェック(3問)

Q1. 賃貸住宅管理業法と宅地建物取引業法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 1賃貸住宅管理業者が入居者募集の媒介を行う場合、宅地建物取引業の免許は不要である。
  2. 2宅地建物取引業者が賃貸住宅の管理業務(家賃徴収・建物維持)を行う場合、賃貸住宅管理業の登録は不要である。
  3. 3管理戸数200戸以上の賃貸住宅管理業者は、国土交通大臣の登録を受けなければならない。
  4. 4賃貸住宅管理業法は1952年に制定された法律である。
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正解:3. 管理戸数200戸以上の賃貸住宅管理業者は、国土交通大臣の登録を受けなければならない。

賃貸住宅管理業法3条により、管理戸数200戸以上の事業者は国土交通大臣への登録が義務付けられる。賃貸の媒介は宅建業に該当するため宅建業免許が必要(肢1誤り)。管理業務は賃管業法の規制対象であり、宅建業者が管理業を行うなら賃管業の登録も必要となる(肢2誤り)。賃管業法は2021年6月15日全面施行で、1952年制定は宅建業法(肢4誤り)。

Q2. 業務管理者および宅地建物取引士に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 1業務管理者は、すべての事務所に2名以上置かなければならない。
  2. 2宅地建物取引士は、事務所の業務従事者の3名に1名以上置かなければならない。
  3. 3業務管理者となるには、賃貸不動産経営管理士または宅地建物取引士であって指定講習を修了した者である必要がある。
  4. 4宅建士の重要事項説明は、契約成立後に行えば足りる。
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正解:3. 業務管理者となるには、賃貸不動産経営管理士または宅地建物取引士であって指定講習を修了した者である必要がある。

賃管業法12条および施行規則により、業務管理者は賃管士または宅建士+指定講習修了等の要件を満たす者から選任する。業務管理者は事務所ごと1名以上で足りる(肢1誤り)。宅建士は5名に1名以上(宅建業法31条の3、肢2誤り)。宅建業法35条の重要事項説明は契約成立前に行う必要があり(肢4誤り)、契約成立後は37条書面の交付義務となる。

Q3. サブリース(特定転貸事業)に関する次の記述のうち、賃貸住宅管理業法に照らして最も適切なものはどれか。

  1. 1サブリース業者は、家賃減額のリスクがあっても契約締結まで説明する義務はない。
  2. 2特定賃貸借契約の重要事項説明は、契約締結後に行うことが認められている。
  3. 3サブリース業者と勧誘者の双方が、誇大広告および不当勧誘の禁止規制の対象となる。
  4. 4サブリース規制は2025年から施行される予定である。
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正解:3. サブリース業者と勧誘者の双方が、誇大広告および不当勧誘の禁止規制の対象となる。

賃管業法28条(誇大広告禁止)・29条(不当勧誘禁止)はサブリース業者だけでなく勧誘者(マスターリース契約締結を勧誘する者)も対象とする。家賃減額リスク等は重要事項として契約締結前に説明義務(30条、肢1誤り)。重要事項説明は特定賃貸借契約締結前に行わなければならない(肢2誤り)。サブリース規制(28〜31条)は2020年12月15日に先行施行済みであり(肢4誤り)、本体の管理業登録部分が2021年6月15日施行。

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