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実践分野

当たり前品質と魅力的品質の違い

狩野モデル(Kano model)は、品質要素の物理的な充足度と顧客が感じる満足度との関係を二次元で整理した考え方です。当たり前品質は、充足されても満足はほとんど増えないのに、不充足だと強い不満を招く要素。魅力的品質は、不充足でも不満は生じにくいのに、充足されると満足が大きく高まる要素です。この2つに、充足度に比例して満足度が上下する一元的品質、どちらでも満足度が動かない無関心品質、充足されるとかえって不満になる逆品質を加えた5分類で品質要素を捉えます。分類は、ある要素が備わっているときの感じ方(充足質問)と備わっていないときの感じ方(不充足質問)を一対で尋ね、その回答の組み合わせから判定します。得られた分類は製品企画での機能の取捨選択や、品質表(QFD)における要求品質の重みづけに生かします。

比較表で見る違い

観点当たり前品質魅力的品質
充足されたとき満足はほとんど増えない満足が大きく高まる
不充足のとき強い不満につながる大きな不満にはなりにくい
満足度曲線の形不充足側で急に下がる片側の曲線充足側で急に上がる片側の曲線
顧客の意識言うまでもない暗黙の前提本人も言葉にできていない潜在ニーズ
アンケートの回答充足=当然である/不充足=気に入らない充足=気に入る/不充足=仕方ない
時間による推移推移の行きつく先(新鮮さは残らない)一元的品質を経て当たり前品質へ移る
企画での扱い取りこぼしなく確実に満たす(守り)差別化の源として選び込む(攻め)

それぞれの詳しい解説

A当たり前品質(must-be quality)

当たり前品質は、充足されていても「あって当然」と受け取られて満足はほとんど増えない一方、不充足だと強い不満を生む品質要素です。安全に使えること、注文どおりの数量が届くこと、故障しないことなどが典型で、顧客が言葉にしないまま前提としているため、要望をたずねる形の調査では出てきにくいという難しさがあります。狩野モデルの評価では、備わっているときに「当然である」、備わっていないときに「気に入らない」と答えられる要素が当たり前品質に分類されます。満足の上積みにはつながりませんが、ひとつでも欠ければ他の魅力をまとめて打ち消してしまうため、製品企画ではまず取りこぼしなく満たすことが前提になります。なお、充足度に比例して満足度が上下する要素は一元的品質、どちらでも満足度が動かない要素は無関心品質として区別します。

  • 充足しても満足は増えず、不充足で強い不満

  • 当然である/気に入らない、の回答で分類される

  • 暗黙の前提のため要望として聞き出しにくい

  • 欠けると他の魅力を打ち消す。まず確実に満たす

B魅力的品質(attractive quality)

魅力的品質は、不充足でも「仕方ない」と受け取られて不満は生じにくい一方、充足されると満足が大きく高まる品質要素です。狩野モデルの評価では、備わっているときに「気に入る」、備わっていないときに「仕方ない」または「なんとも感じない」と答えられる要素が該当します。顧客自身も言葉にできていない潜在ニーズであることが多く、要望を聞く調査よりも、使用場面の観察やクレーム以外の声の分析から見つけるほうが有効です。差別化の源になりますが、他社が追随して普及し顧客が慣れるにつれ、一元的品質を経て当たり前品質へ移っていく(陳腐化する)ため、分類は定期的に調べ直し、次の魅力的品質を探し続ける必要があります。企画では、こうした分類を品質表(QFD)の要求品質の重みづけに反映させ、限られた資源を配分します。

  • 不充足でも不満は少なく、充足で満足が大きく伸びる

  • 気に入る/仕方ない、の回答で分類される

  • 潜在ニーズのため観察や使用場面の分析で探る

  • 時間とともに一元的品質を経て当たり前品質へ

試験対策のポイント

当たり前品質は「ないと不満(あって当然)」、魅力的品質は「あると感動(なくても許容)」。中間に充足度と満足度が比例する一元的品質があり、無関心品質・逆品質を加えて5分類。魅力的品質は時間とともに一元的品質を経て当たり前品質へ陳腐化します。

理解度チェック(4問)

Q1. 狩野モデルにおいて、品質要素の充足度が高いほど満足度が高まり、充足度が低いほど不満が大きくなるという、両者がほぼ比例して動く分類として、もっとも適切なものをひとつ選べ。

  1. 1当たり前品質
  2. 2一元的品質
  3. 3魅力的品質
  4. 4無関心品質
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正解:2. 一元的品質

充足度と満足度がほぼ比例して動くのが一元的品質で、燃費や処理速度のように、良ければ良いほど満足が高まり、悪ければ不満が増す要素が該当します。当たり前品質は不充足側でだけ不満が急に増え、魅力的品質は充足側でだけ満足が急に伸びる片側の動きをします。無関心品質は充足でも不充足でも満足度が動かない要素なので、いずれも比例関係の説明にはあたりません。

Q2. ある品質要素について、それが備わっているときの質問に「気に入らない」、備わっていないときの質問に「気に入る」という回答が得られた。狩野モデルにおける分類として、もっとも適切なものをひとつ選べ。

  1. 1当たり前品質
  2. 2魅力的品質
  3. 3無関心品質
  4. 4逆品質
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正解:4. 逆品質

充足されているとかえって不満になり、充足されていないほうが好まれる品質要素を逆品質といいます。機能を盛り込みすぎて操作が煩わしくなる場合などが該当します。当たり前品質は充足で「当然である」・不充足で「気に入らない」、魅力的品質は充足で「気に入る」・不充足で「仕方ない」、無関心品質はどちらでも「なんとも感じない」となるため、いずれもこの回答の組み合わせにはあてはまりません。

Q3. 狩野モデルで品質要素を分類するためのアンケートの設計として、もっとも適切なものをひとつ選べ。

  1. 1同じ品質要素について、それが充足されている場合と充足されていない場合の2つの質問を対にして尋ね、回答の組み合わせから分類する
  2. 2充足されている場合の質問だけを行い、満足度の平均点の高さで分類する
  3. 3希望する購入価格だけを尋ね、その高低で分類する
  4. 4不満をもった顧客だけを対象に、苦情の件数を数えて分類する
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正解:1. 同じ品質要素について、それが充足されている場合と充足されていない場合の2つの質問を対にして尋ね、回答の組み合わせから分類する

狩野モデルでは、ある品質要素が備わっているときにどう感じるか(充足質問)と、備わっていないときにどう感じるか(不充足質問)を一対で尋ね、その回答の組み合わせから、魅力的・一元的・当たり前・無関心・逆の5つに分類します。片方の質問だけでは、たとえば充足で「気に入る」と答えた要素が魅力的品質か一元的品質かを区別できません。希望価格や苦情件数は、この分類の判定に用いる情報ではありません。

Q4. 新製品の企画に狩野モデルを活用するときの考え方として、もっとも適切なものをひとつ選べ。

  1. 1魅力的品質さえ盛り込めば、当たり前品質は満たさなくてもよい
  2. 2一度魅力的品質と分類された要素はいつまでも魅力的品質のままなので、調査し直す必要はない
  3. 3当たり前品質を取りこぼしなく満たしたうえで魅力的品質を選び込み、時間とともに陳腐化することを踏まえて分類を定期的に見直す
  4. 4無関心品質と分類された要素にこそ、優先して資源を集中すべきである
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正解:3. 当たり前品質を取りこぼしなく満たしたうえで魅力的品質を選び込み、時間とともに陳腐化することを踏まえて分類を定期的に見直す

当たり前品質はひとつでも欠けると強い不満を招き、他の魅力を打ち消してしまうため、まず確実に満たすことが前提です。そのうえで差別化につながる魅力的品質を選び込み、品質表(QFD)で要求品質の重みづけに反映させます。魅力的品質は他社の追随と顧客の慣れによって一元的品質を経て当たり前品質へ移るため、定期的な調査で分類を見直す必要があります。無関心品質は充足しても満足度が動かないため、優先して資源を集中する対象にはなりません。

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