違いシリーズ一覧に戻る
実践分野

方針管理と日常管理の違い

方針管理は、中長期経営計画と前期の反省を踏まえた年度経営方針を出発点に、重点課題・目標・方策の三点セットを上位から下位の部門へ展開し、PDCAを回して現状を打破する活動です。展開は一方的な割り付けではなく、上位と下位が目標値や方策の実現性を話し合うすり合わせ(キャッチボール)で納得性を高め、期中は進捗を確認して処置し、期末にはトップ診断で実施状況とプロセスを評価して次期へ引き継ぎます。日常管理は、各部門が業務分掌で受け持つ本来の役割を安定して果たすため、標準を定めて守り、管理項目と点検項目で結果と要因を確かめ、異常があれば応急処置と再発防止を行うSDCA中心の維持の活動です。両者は無関係ではなく、日常管理で維持した水準を土台に方針管理で飛躍し、達成した水準を標準化して再び日常管理へ引き渡す循環で結ばれます。部門をまたぐテーマは、品質保証や原価などの機能別管理の仕組みと組み合わせて進めます。

比較表で見る違い

観点方針管理日常管理
出発点中長期計画・年度経営方針業務分掌で定めた部門本来の役割
中心のサイクルPDCA(現状打破・改善)SDCA(維持・標準化)
目標の性格水準を新たに引き上げる(重点指向)定めた水準を安定して保つ
展開のしかた重点課題・目標・方策を上位から下位へ展開部門内で管理項目と点検項目を定め日々確認
上下の調整すり合わせ(キャッチボール)で目標と方策を詰める標準の改訂を通じて仕事のやり方をそろえる
未達・異常への対応未達要因を解析し方策を見直して次期へ引き継ぐ応急処置で元へ戻し、原因を除いて再発防止する
評価のしかた期中の進捗確認と期末のトップ診断管理項目の推移確認と異常報告

それぞれの詳しい解説

A方針管理

方針管理は、中長期経営計画と前期の反省をもとに年度方針を定め、達成すべき重点課題と、その目標(何をどこまで、いつまでに)と方策(どうやって)の三点セットを、上位方針から下位部門の方針へ順に展開していく活動です。上位の方策が下位の目標になるという入れ子の関係で落ちていくため、目標と方策の対応づけを崩さないことが要点になります。展開のたびに上位と下位が目標値の妥当性や方策の実現性を話し合うすり合わせ(キャッチボール)を行い、押しつけではない納得性のある方針に仕上げます。期中は方針の管理項目で進捗を確認し、遅れがあれば要因を解析して方策を追加します。期末にはトップ診断(社長診断)で達成度だけでなく進め方そのものを評価し、残った課題を次期方針へ引き継ぎます。

  • 重点課題・目標・方策の三点セットで展開する

  • 上位の方策が下位の目標になる入れ子構造

  • すり合わせ(キャッチボール)で納得性を高める

  • 期末のトップ診断で評価し次期へ引き継ぐ

B日常管理

日常管理は、各部門が業務分掌で受け持つ本来の役割を確実に果たすための維持の活動です。まず仕事のやり方を標準として定め(S)、そのとおりに実施し(D)、結果と要因を確認し(C)、ずれがあれば処置する(A)というSDCAを回します。確認には、不適合率や納期遵守率のような結果系の管理項目と、設備条件や作業手順の順守状況のような要因系の点検項目を対応づけて用い、結果が崩れる前に要因側で気づけるようにします。異常が出たときは、まず応急処置で製品と工程を元の状態へ戻し、続いて原因を取り除く再発防止を行い、必要なら標準そのものを改訂します。方針管理で達成した新しい水準は標準化されて日常管理へ引き渡され、そこが次の改善の出発点になります。

  • 業務分掌で決めた本来の役割を果たす活動

  • 管理項目(結果系)と点検項目(要因系)を対応づける

  • 異常は応急処置のあと再発防止と標準改訂まで

  • 改善で得た水準を標準化して受け取り維持する

試験対策のポイント

方針管理は「重点課題・目標・方策を展開しPDCAで現状打破(すり合わせとトップ診断)」、日常管理は「業務分掌の役割を管理項目・点検項目で維持しSDCAを回す」。方針管理で上げた水準を標準化して日常管理へ引き渡す循環で結ばれます。

理解度チェック(4問)

Q1. 方針管理における方針の展開の進め方として、もっとも適切なものをひとつ選べ。

  1. 1上位方針をそのまま下位部門へ割り付け、下位からの意見は受け付けない
  2. 2各部門が独自に目標を決め、上位方針とは切り離して運用する
  3. 3重点課題・目標・方策を上位から下位へ展開しつつ、上下ですり合わせ(キャッチボール)を行い、目標値の妥当性と方策の実現性を詰める
  4. 4方策は示さず目標値だけを与え、達成手段は各人の裁量に任せる
解答・解説を見る

正解:3. 重点課題・目標・方策を上位から下位へ展開しつつ、上下ですり合わせ(キャッチボール)を行い、目標値の妥当性と方策の実現性を詰める

方針の展開では、重点課題とその目標・方策の三点セットを上位から下位へ落とし込みながら、上位と下位が目標値の妥当性や方策の実現性を話し合うすり合わせ(キャッチボール)を行い、納得性と実行力を高めます。一方的な割り付けや下位の意見を受け付けない進め方は納得性を欠き、各部門が上位方針と切り離して独自に決めるのでは全社の重点指向になりません。目標だけを示して方策を示さないのも三点セットを欠いた運用で適切ではありません。

Q2. 方針管理におけるトップ診断(社長診断)の目的として、もっとも適切なものをひとつ選べ。

  1. 1方針の達成状況と、その達成に至る進め方(プロセス)をトップ自らが確かめ、良い点と残る課題を次期方針へ反映すること
  2. 2個々の製品が規格に適合しているかを全数で確認すること
  3. 3作業者の勤務態度を評価して人事考課の資料にすること
  4. 4作業標準どおりに作業できているかだけを日々点検すること
解答・解説を見る

正解:1. 方針の達成状況と、その達成に至る進め方(プロセス)をトップ自らが確かめ、良い点と残る課題を次期方針へ反映すること

トップ診断は、経営者自らが現場に出向いて方針の達成度合いと、それをどう進めてきたかというプロセスの両面を確かめ、次期方針の策定へ反映するための方針管理のしくみです。製品が規格に適合しているかの確認は検査、勤務態度の評価は人事の領域で、方針管理の診断の目的ではありません。標準どおり作業できているかの点検は日常管理側の活動であり、トップ診断の主目的とは異なります。

Q3. 日常管理において異常が発生したときの対応として、もっとも適切なものをひとつ選べ。

  1. 1原因が判明するまでは何も手を打たず、そのまま生産を続ける
  2. 2応急処置だけを行い、原因の追究までは行わない
  3. 3次期の方針管理の重点課題に取り上げられるまで対応を保留する
  4. 4まず応急処置で元の状態に戻し、続いて原因を取り除く再発防止を行い、必要に応じて標準を改訂する
解答・解説を見る

正解:4. まず応急処置で元の状態に戻し、続いて原因を取り除く再発防止を行い、必要に応じて標準を改訂する

日常管理では、異常を見つけたらまず応急処置で製品と工程を元の状態へ戻し、そのうえで原因を突き止めて取り除く再発防止を行い、同じ異常が繰り返されないよう必要に応じて標準を改訂します。原因が分かるまで放置したり、応急処置だけで終わらせたりすると再発を防げません。日常管理の異常は日常管理の中で処置するのが原則で、方針管理の重点課題に上がるまで保留するのも適切ではありません。

Q4. 方針管理と日常管理の関係として、もっとも適切なものをひとつ選べ。

  1. 1日常管理が十分にできていない部門ほど、日常管理を後回しにして方針管理を優先すべきである
  2. 2日常管理のSDCAで維持した水準を土台に、方針管理のPDCAで水準を引き上げ、達成した水準を標準化して再び日常管理へ引き渡す
  3. 3方針管理はSDCA、日常管理はPDCAを中心に回す
  4. 4両者は完全に独立しており、管理項目を対応づけて運用することはない
解答・解説を見る

正解:2. 日常管理のSDCAで維持した水準を土台に、方針管理のPDCAで水準を引き上げ、達成した水準を標準化して再び日常管理へ引き渡す

日常管理で標準を守って水準を維持したうえで、方針管理により重点課題へ資源を集中して水準を引き上げ、達成した新しい水準を標準化して日常管理へ引き渡す、という循環が両者の関係です。土台となる日常管理が不安定なままでは成果が定着しないため、日常管理を後回しにするのは適切ではありません。回すサイクルを逆にした選択肢は誤りで、方針の管理項目は日常管理の管理項目と対応づけて運用されるため、独立しているとする選択肢も誤りです。

同じ分野の「違い」記事

QC検定2級 一問一答で演習する