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出題傾向分析

【簿記3級 出題傾向】過去問から見えた必出論点 TOP 5 + 予想問題

日本商工会議所公式の日商簿記検定3級 過去問題(第158回〜第165回/2021年6月〜2023年11月/計8回分)を集計・分析。 合格を左右する必出論点と、本試験形式の予想問題5問を一気に確認できます。

この分析の前提

本記事は、日本商工会議所が公開している 日商簿記検定3級 過去問題(第158回 2021年6月実施〜第165回 2023年11月実施 / 計8回分)を集計・分析したものです。

  • ※ 2021年6月(第158回)から新出題区分に改訂されたため、それ以降を分析対象としました。
  • ※ 試験は 3 大問構成 / 100点満点 / 70点以上で合格。第1問(仕訳15問・45点)、第2問(補助簿等・20点)、第3問(精算表・財務諸表・35点)。

頻出論点 TOP 5 と解説

過去 8 回の出題から、毎回または毎回近く出題されている論点を5つ選び、どんな取引パターンが繰り返し出るかを具体的に解説します。

🥇 第1位

日常取引の仕訳

8/8回・100%

第 1 問の 15 問は「ある会社で起きた取引を文章で説明する短文」が並び、それを借方・貸方の勘定科目と金額にどう分解するかを問う問題です。試験範囲は商業簿記の典型取引をほぼ網羅していて、繰り返し登場するのは次のようなパターンです。商品売買では「商品 500,000 円を仕入れ、代金は掛けとした。引取運賃 20,000 円は当方負担で現金で支払った」のように、仕入諸掛りが当方負担なら仕入原価に算入するか、相手方負担なら立替金で処理するかの判断が問われます。「クレジットカードで売り上げた」場合のクレジット売掛金、「商品を返品した」場合の取り消し方など、取引のバリエーションごとに勘定科目の使い分けが論点になります。固定資産では「取得時の付随費用(運送費・据付費・登記費用)は取得原価に含める」「売却時には減価償却累計額を相手側に振り替えて、帳簿価額と売却額の差を売却損益とする」という流れが典型問題。「期中売却」の場合は売却日までの月割り減価償却を仕訳に含める必要があり、これを忘れると正解できません。給料の支払いでは源泉所得税と社会保険料を預り金で処理、消費税では税抜方式で仮払消費税・仮受消費税に分けて処理、株式会社の増資では払込金は資本金に組み入れる(または半額まで資本準備金に)という基本パターンが出題されます。

注意点・ひっかけ

受取手形・支払手形は約束手形と為替手形で当事者が異なり、3 級では約束手形が中心ですが、たまに「自社振出の小切手を受け取った」という取引が出ます。これは「当座預金の戻り」として処理するため現金ではない点が頻出のひっかけです。

🥈 第2位

決算整理仕訳

8/8回・100%

期末に行う決算整理として、当期に発生した費用・収益を正しく把握するための調整仕訳が問われます。第 1 問でも個別に出ますし、第 3 問の精算表問題では複数題まとめて処理することが要求されます。最も頻出なのが売上原価の算定で、「期首商品 50,000 円、当期仕入 800,000 円、期末商品 80,000 円」のような数字が示されたとき、「しいくり、くりしい」(仕入勘定で算定する場合)の仕訳——つまり「(借)仕入 50,000 / (貸)繰越商品 50,000」と「(借)繰越商品 80,000 / (貸)仕入 80,000」を書かせる問題。問題文の指示によっては「売上原価勘定で算定する」場合もあり、その場合は別の仕訳パターンになります。貸倒引当金の差額補充法は「期末売掛金残高 800,000 円に対し 2% の貸倒引当金を設定する。決算整理前残高は 10,000 円」のような条件で、設定額(16,000 円)と既存残高(10,000 円)の差額(6,000 円)だけを繰入れる処理を問います。設定額そのものを繰り入れる選択肢が誤答として並びます。経過勘定は時間の経過に応じて費用・収益を当期分に修正するもので、「10/1 に 1 年分の保険料 24,000 円を支払った場合、3/31 決算では翌期分 12,000 円を前払保険料として計上」のような問題。前払・前受・未払・未収の 4 種類があり、それぞれ翌期首に再振替仕訳を行う点も問われます。現金過不足は期中に判明した不一致額を「現金過不足」勘定で仮置きし、決算で原因不明分を雑損または雑益に振り替える処理。減価償却は間接法(減価償却累計額勘定を使う)が基本で、たまに直接法も出題されます。

注意点・ひっかけ

売上原価の算定で「仕入勘定で行う」のか「売上原価勘定で行う」のかは問題文の指示に従う必要があります。前者では仕入勘定の残高が売上原価になり、後者では売上原価勘定の残高が売上原価になります。仕訳パターンが完全に変わるため、指示を見落とすと連鎖的に間違えます。

🥉 第3位

精算表または財務諸表の作成

8/8回・100%

第 3 問では、残高試算表と決算整理事項が与えられ、それを元に精算表または貸借対照表・損益計算書を完成させる問題が出ます。配点 35 点と最も大きく、合格を左右します。精算表問題では、表の上半分の「残高試算表」欄に各勘定の期末残高があり、「決算整理事項」として 6〜10 項目(売上原価算定・貸倒引当金・減価償却・経過勘定・消耗品・法人税等など)が箇条書きで示されます。これらを「修正記入」欄に仕訳ベースで記入し、最終的に費用・収益勘定は損益計算書欄、資産・負債・純資産勘定は貸借対照表欄へ振り分けて、当期純利益(または純損失)を求める流れです。財務諸表作成問題では、損益計算書・貸借対照表を直接作成します。売上総利益(売上 − 売上原価)、営業利益(売上総利益 − 販管費)、経常利益(営業利益 + 営業外収益 − 営業外費用)、当期純利益(経常利益 ± 特別損益 − 法人税等)という段階的な利益計算を理解しているかが問われます。貸借対照表では資産・負債・純資産の配列順序や、繰越利益剰余金に当期純利益を加算する処理が論点になります。

注意点・ひっかけ

精算表の修正記入欄は仕訳とまったく同じ構造なので、決算整理仕訳が正確に書けなければ精算表は完成しません。当期純利益(または純損失)は、損益計算書欄では収益と費用の差額として、貸借対照表欄では資産と「負債+純資産」の差額として計算でき、両方の差額が一致することで検算できます。

第4位

補助簿・伝票・勘定記入

7/8回・88%

第 2 問では補助簿の記入、伝票会計、勘定記入のいずれかが出題されます。補助簿で頻出なのが商品有高帳で、「先入先出法または移動平均法で払出単価を計算し、商品の受入・払出・残高を記入する」問題。先入先出法では古い在庫から払い出すため受入時の単価を保ったまま在庫管理し、移動平均法では受入のたびに残高の平均単価を再計算します。月末残高や売上原価が選択肢になることが多いです。伝票会計では「3 伝票制(入金伝票・出金伝票・振替伝票)」で取引を記入する問題が出ます。たとえば「商品 100,000 円を売り上げ、うち 30,000 円は現金、残り 70,000 円は掛けとした」という取引を、取引を分解して 2 枚の伝票(入金伝票で 30,000 円、振替伝票で掛売 70,000 円)にする方法と、いったん全額を掛売として記入し直後に入金処理する方法の 2 通りで処理する判断が問われます。勘定記入は T 字勘定の借方・貸方に転記する問題で、「再振替仕訳」「決算振替仕訳」「次期繰越」「前期繰越」といった期首・期末の特殊な処理が論点になりやすい領域です。

注意点・ひっかけ

3 伝票制で「振替取引の分解 vs 一括」のどちらを採用するかは問題文に明示されます。同じ取引でも処理方法が違えば伝票の枚数や金額配分が変わるため、指示を確認することが必須です。

第5位

銀行勘定調整表

5/8回・63%

会社の当座預金帳簿残高と、銀行から取り寄せた残高証明書の金額が一致しないときに、その不一致原因を 4 つに分類して整理する問題です。調整原因は次の 4 つで、それぞれ修正の主体が異なります。時間外預入は会社が営業時間外に夜間金庫に預け入れたが銀行は翌営業日に記帳するケースで、銀行側で調整するため会社の修正仕訳は不要。未取立小切手は会社が他社から受け取った小切手を銀行に取立依頼したがまだ取り立てられていないケースで、これも銀行側調整・会社修正不要。未取付小切手は会社が振り出した小切手を相手方がまだ銀行に持ち込んでいないケースで、これも銀行側調整・会社修正不要。これらに対し、誤記入(会社が金額を間違えて記帳していた)、未渡小切手(小切手を作成したが相手にまだ渡していない)、未通知の自動引落・振込(銀行は処理済みだが会社が把握していなかった)は、会社側で修正仕訳が必要になります。問題形式は「次の調整原因のうち、会社が修正仕訳を行うべきものはどれか」を選ばせるパターンと、「両者区分調整法または企業残高基準法で銀行勘定調整表を作成し、調整後の正しい預金残高を求めよ」という計算問題があります。

注意点・ひっかけ

4 つの「銀行側調整・会社修正不要」のものと、誤記入や未渡小切手のような「会社側修正必要」のものは見た目が似ていますが、「会社側で経理ミスや漏れがあったかどうか」が判定基準です。会社側にミスがなければ銀行側で調整、ミスがあれば会社側で修正と覚えると判断が早くなります。

予想問題 5問(解答解説つき)

上記の頻出論点から、本試験形式で5問出題します。「解答を見る」ボタンで解説が開きます。

1仕訳

商品 100,000 円を仕入れ、代金は掛けとした。仕入諸掛り 5,000 円は当方負担で現金で支払った。

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解答:(借) 仕入 105,000 / (貸) 買掛金 100,000・現金 5,000

仕入諸掛りが当方負担の場合、仕入原価に算入する。借方は「仕入 105,000」、貸方は「買掛金 100,000」と「現金 5,000」に分かれる。

2仕訳

取得原価 600,000 円、減価償却累計額 360,000 円の備品を 200,000 円で売却し、代金は現金で受け取った。

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解答:(借) 現金 200,000・減価償却累計額 360,000・固定資産売却損 40,000 / (貸) 備品 600,000

帳簿価額 = 600,000 − 360,000 = 240,000 円。売却額 200,000 < 帳簿価額 240,000 なので売却損 40,000 円が発生する。

3決算整理

売掛金期末残高 800,000 円に対し、貸倒引当金を 2% 設定する(差額補充法)。決算整理前の貸倒引当金残高は 10,000 円。

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解答:(借) 貸倒引当金繰入 6,000 / (貸) 貸倒引当金 6,000

必要設定額 = 800,000 × 2% = 16,000 円。差額 = 16,000 − 10,000 = 6,000 円。差額補充法はこの差額のみを繰り入れる。

4経過勘定

当期 10/1 に 1 年分の保険料 24,000 円を現金で支払い「保険料」で処理していた。決算日(3/31)における決算整理仕訳を示せ。

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解答:(借) 前払保険料 12,000 / (貸) 保険料 12,000

当期分(10/1〜3/31の半年分)= 24,000 × 6/12 = 12,000 円。翌期分(前払い)= 24,000 − 12,000 = 12,000 円を前払保険料として計上。

5銀行勘定調整

企業の当座預金帳簿残高 500,000 円、銀行残高証明書 540,000 円。原因は「未取付小切手 30,000 円」「決算日に営業時間外で預け入れた 10,000 円が銀行未記入」。両者区分調整法で調整した正しい残高はいくらか。

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解答:510,000 円

銀行残高 540,000 − 未取付 30,000 = 510,000、企業残高 500,000 + 時間外預入 10,000 = 510,000 → 一致。両調整原因とも銀行側で調整するため、企業帳簿の修正仕訳は不要。

5問解いてみていかがでしたか?

本サイトには 簿記3級の過去問・予想問題を分野別・難易度別に収録しています。 今回扱った頻出論点を中心に、まずは仕訳問題を 30 問解いて自分の弱点を把握するのがおすすめです。

出典:日本商工会議所 公式 過去問題(第158回〜第165回/2021年6月〜2023年11月実施分・計8回分)