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横断・総合

労災保険と雇用保険の違い

労災保険と雇用保険はいずれも労働保険として徴収法によって保険料が一括して徴収されますが、その目的・給付内容・保険料負担は大きく異なります。労災保険は業務上または通勤による傷病・障害・死亡を補償する制度で、保険料は事業主が全額負担します。一方、雇用保険は失業時の所得保障や雇用の安定・能力開発を目的とし、労使折半(一部事業主負担)です。本稿では給付・適用・保険料の3軸で違いを押さえ、横断学習で混同しやすい論点を整理します。

比較表で見る違い

観点労災保険雇用保険
根拠法労働者災害補償保険法雇用保険法
保険事故業務災害・通勤災害・複数業務要因災害失業・育児休業・教育訓練・雇用継続
保険料負担事業主全額負担失業等給付・育児休業給付分は労使が同率負担、雇用保険二事業分は事業主のみ負担
適用労働者原則すべての労働者(パート・日雇含む)週20時間以上かつ31日以上雇用見込み
特別加入制度あり(中小事業主・一人親方・海外派遣の3種)なし
主な給付療養・休業(給付基礎日額の60%)・障害・遺族基本手当・育児休業給付・教育訓練給付
事業主の付帯事業社会復帰促進等事業雇用安定事業・能力開発事業(二事業)
時効療養・休業・葬祭は2年、障害・遺族は5年基本手当等は2年、育児休業給付は2年

それぞれの詳しい解説

A労災保険(労働者災害補償保険)

労災保険は労災法に基づき、業務上の事由・複数業務要因・通勤による労働者の負傷・疾病・障害・死亡に対し迅速かつ公正な保護を行う制度(労災法1条)。保険料は徴収法により事業主が全額負担し、労働者負担はゼロ。原則として労働者を1人でも使用する事業に強制適用される。給付は療養補償給付(現物給付)、休業補償給付(給付基礎日額の60%+特別支給金20%)、障害・遺族・葬祭・傷病・介護の各給付。中小事業主・一人親方・海外派遣者は特別加入(1〜3種)が可能。社会復帰促進等事業も併せて実施される。

  • 保険料は事業主全額負担

  • 給付基礎日額の60%(特別支給金20%)

  • 特別加入は1種(中小)・2種(一人親方)・3種(海外派遣)

B雇用保険

雇用保険は雇保法に基づき、労働者の失業・雇用継続・能力開発を支援する制度(雇保法1条)。週所定労働時間20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがある労働者が被保険者となる。保険料は失業等給付・育児休業給付分は労使が同率で負担し、雇用保険二事業(雇用安定事業・能力開発事業)部分は事業主のみが負担する(労使折半ではない点に注意)。2025年度の一般事業の料率は労働者0.55%・事業主0.90%(合計1.45%)。給付は失業等給付(求職者給付=基本手当、就職促進給付、教育訓練給付、雇用継続給付)と育児休業給付に大別される。基本手当は離職前賃金日額の45〜80%相当を所定給付日数の範囲で支給。一般・高年齢・短期雇用特例・日雇の4種の被保険者区分がある。

  • 失業等・育児休業給付分は労使同率、雇用保険二事業は事業主のみ

  • 週20時間以上+31日以上雇用見込みで被保険者

  • 基本手当・育児休業給付・教育訓練給付の3本柱

試験対策のポイント

「労災は事業主全額・通勤も補償・特別加入あり」「雇用は労使折半・失業と育児・二事業」と覚える。労災は"ケガ"、雇用は"クビ"と語呂で区別。

理解度チェック(3問)

Q1. 労災保険と雇用保険の保険料負担に関する記述として正しいものはどれか。

  1. 1労災・雇用とも労使折半である
  2. 2労災は事業主全額、雇用は失業等給付・育児休業給付分が労使同率負担で雇用保険二事業分は事業主のみ負担である
  3. 3労災は労使折半、雇用は事業主全額である
  4. 4労災・雇用とも事業主全額負担である
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正解:2. 労災は事業主全額、雇用は失業等給付・育児休業給付分が労使同率負担で雇用保険二事業分は事業主のみ負担である

労災保険は事業主が全額負担、雇用保険は失業等給付・育児休業給付は労使が同率負担、雇用保険二事業(雇用安定事業・能力開発事業)は事業主のみが負担する。結果として雇用保険全体では労働者と事業主の負担率は異なる。

Q2. 特別加入制度に関する記述として正しいものはどれか。

  1. 1雇用保険にも特別加入制度がある
  2. 2労災保険の特別加入は中小事業主のみが対象である
  3. 3労災保険の特別加入には1種〜3種の3種類がある
  4. 4海外派遣者は労災保険の特別加入の対象外である
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正解:3. 労災保険の特別加入には1種〜3種の3種類がある

労災保険の特別加入は第1種(中小事業主等)・第2種(一人親方等)・第3種(海外派遣者)の3種類。雇用保険には特別加入制度はない。

Q3. 労災保険の休業補償給付の額として正しいものはどれか。

  1. 1給付基礎日額の100%
  2. 2給付基礎日額の80%
  3. 3給付基礎日額の60%(休業特別支給金20%別途)
  4. 4給付基礎日額の50%
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正解:3. 給付基礎日額の60%(休業特別支給金20%別途)

休業補償給付は給付基礎日額の60%、これに加えて社会復帰促進等事業から休業特別支給金20%が支給され、合計80%相当となる。

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