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企業財産と知的財産

意匠権と商標権の違い

意匠権と商標権はいずれも産業財産権だが、保護する対象の性質がまったく異なる。意匠権は物品・建築物・画像のデザイン(美的外観)という創作を保護し、商標権は商品・役務の出所を示すマーク(識別標識)を保護する。前者は創作物の保護、後者は業務上の信用の保護という目的の違いが、存続期間や更新の可否に表れる。2級では両者の趣旨の違いが頻出する。

比較表で見る違い

観点意匠権商標権
保護対象物品・建築物・画像等のデザイン(意匠)商品・役務の出所を示す標識(文字・図形・記号等)
保護の本質創作の保護(デザインという創作物)業務上の信用・出所識別機能の保護
登録要件工業上の利用可能性・新規性・創作非容易性自他商品・役務の識別力(出所表示機能)
存続期間出願日から25年設定登録日から10年
更新更新できない(期間満了で消滅)更新登録により10年ごとに半永久的に存続可能

それぞれの詳しい解説

A意匠権

意匠権は、物品・建築物・画像の形状・模様・色彩またはこれらの結合であって視覚を通じて美感を起こさせるデザイン(意匠)を保護する権利である。創作の保護を目的とするため、工業上の利用可能性・新規性・創作非容易性が登録要件となる。存続期間は出願日から25年で、デザインの陳腐化を前提とするため更新は認められず、期間満了で消滅する。製品の外観やパッケージデザインの保護に用いられる。

  • 物品・建築物・画像等のデザインを保護する

  • 新規性・創作非容易性などが登録要件

  • 存続期間は出願日から25年

  • 更新はできず期間満了で消滅する

B商標権

商標権は、事業者が自己の商品・役務を他人のものと区別するために使用する標識(文字・図形・記号・立体的形状・色彩・音等)を保護する権利である。保護の本質は標識そのものの創作性ではなく、その標識に蓄積された業務上の信用と出所表示機能にある。登録には自他商品・役務の識別力が必要となる。存続期間は設定登録日から10年だが、更新登録を繰り返すことで半永久的に権利を維持でき、信用が続く限り保護される点が大きな特徴である。

  • 商品・役務の出所を示す標識を保護する

  • 保護の本質は業務上の信用・出所識別機能

  • 存続期間は設定登録日から10年

  • 更新登録により半永久的に存続できる

試験対策のポイント

意匠は「デザイン(創作)・25年・更新なし」、商標は「マーク(信用)・10年・更新で半永久」。創作を保護するか信用を保護するかで存続のしかたが変わる。

理解度チェック(3問)

Q1. 意匠権と商標権の存続期間・更新に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 1意匠権は更新により半永久的に存続でき、商標権は更新できない
  2. 2意匠権は出願日から25年で更新できず、商標権は設定登録日から10年で更新により半永久的に存続できる
  3. 3意匠権・商標権ともに更新できず20年で消滅する
  4. 4意匠権・商標権ともに更新により半永久的に存続できる
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正解:2. 意匠権は出願日から25年で更新できず、商標権は設定登録日から10年で更新により半永久的に存続できる

意匠権はデザインという創作の保護であり、デザインは時間とともに陳腐化することが前提のため存続期間は出願日から25年で更新は認められない。一方、商標権は標識に蓄積された業務上の信用を保護するため、信用が継続する限り保護を続ける必要があり、存続期間は登録日から10年だが更新登録を繰り返すことで半永久的に存続できる。保護対象の性質の違いが更新の可否に表れている。よって意匠25年・更新不可、商標10年・更新可とする記述が正しい。

Q2. 商標権が保護する本質に最も近いものはどれか。

  1. 1標識デザインの美的創作性そのもの
  2. 2商品・役務の出所を示す識別機能と業務上の信用
  3. 3発明の技術的思想
  4. 4物品の機能的な構造
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正解:2. 商品・役務の出所を示す識別機能と業務上の信用

商標権が保護するのは、マークそのものの芸術的・創作的価値ではなく、そのマークが特定の事業者の商品・役務であることを示す出所識別機能と、そこに蓄積された業務上の信用である。だからこそ識別力が登録要件となり、信用が続く限り更新で保護を継続できる。美的創作の保護は意匠権、技術的思想は特許権、物品の構造は実用新案権の領域である。したがって、出所識別機能と業務上の信用を保護するとする記述が最も近い。

Q3. 製品の斬新な外観デザインそのものを独占的に保護したい場合に最も適した権利はどれか。

  1. 1商標権
  2. 2意匠権
  3. 3特許権
  4. 4著作権
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正解:2. 意匠権

物品や画像等の形状・模様・色彩からなる視覚的なデザイン(美的外観)を保護するのは意匠権である。新規性・創作非容易性等を満たして登録すれば、そのデザインを独占的に実施できる。商標権は出所を示す標識の保護であってデザインの美感そのものを保護対象とはせず、特許権は技術的思想、著作権は文化的な著作物を対象とする。よって製品の外観デザインの保護には意匠権が最も適する。

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