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企業活動の規制と労働法

消費者契約法と特定商取引法の違い

事業者と消費者の取引を規律する代表的な法律が消費者契約法と特定商取引法である。前者は契約類型を問わずあらゆる消費者契約に適用される民事ルールの一般法であり、後者は訪問販売や通信販売など特に被害が生じやすい7類型を対象に行政規制と民事ルールを定める。適用範囲・規制手法・クーリング・オフの有無が異なり、2級では両者の守備範囲の違いが問われる。

比較表で見る違い

観点消費者契約法特定商取引法
適用範囲原則すべての消費者契約に適用される一般法訪問販売・通信販売等の特定7類型に限定
規制の手法主に民事ルール(取消し・無効)行政規制(業務規制)+民事ルールの両面
クーリング・オフ制度なし一定の類型で制度あり(訪問販売8日等)
取消しできる場面不実告知・断定的判断の提供・不利益事実の不告知等不実告知等による取消し+クーリング・オフ
不当条項規制不当条項を無効とする規定あり中心は取引類型ごとの行為規制

それぞれの詳しい解説

A消費者契約法

消費者契約法は、消費者と事業者の情報・交渉力の格差を前提に、契約類型を問わず原則としてすべての消費者契約に適用される一般法である。事業者の不実告知・断定的判断の提供・不利益事実の不告知や、不退去・退去妨害といった不当な勧誘があった場合に消費者が契約を取り消せるほか、消費者の利益を一方的に害する不当条項を無効とする。あくまで民事上の効果を定める法律でクーリング・オフ制度は持たない。

  • 原則すべての消費者契約に適用される一般法

  • 不実告知・断定的判断の提供等による取消しを認める

  • 不当な契約条項を無効とする

  • クーリング・オフ制度はない(民事ルール中心)

B特定商取引法

特定商取引法は、訪問販売・通信販売・電話勧誘販売・連鎖販売取引(マルチ商法)・特定継続的役務提供・業務提供誘引販売取引・訪問購入という、トラブルが生じやすい特定の取引類型を対象とする法律である。事業者に書面交付義務や誇大広告の禁止などの行政規制(業務規制)を課すとともに、訪問販売であれば8日間といったクーリング・オフ(無条件解除)や不実告知による取消しなどの民事ルールを定め、行政・民事の両面から消費者を保護する。

  • 訪問販売・通信販売など特定7類型を対象とする

  • 行政規制(書面交付義務・誇大広告禁止等)を課す

  • 訪問販売で8日間等のクーリング・オフ制度がある

  • 行政規制と民事ルールの両面で消費者を保護する

試験対策のポイント

消費者契約法は「全契約に及ぶ一般法・クーリングオフなし」、特定商取引法は「特定7類型限定の業法・クーリングオフあり」。守備範囲とクーリング・オフの有無で見分ける。

理解度チェック(3問)

Q1. 消費者契約法と特定商取引法の適用範囲に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

  1. 1消費者契約法は訪問販売にのみ適用される
  2. 2消費者契約法は原則すべての消費者契約に適用され、特定商取引法は特定の取引類型に適用される
  3. 3特定商取引法はすべての消費者契約に適用される一般法である
  4. 4いずれも事業者間契約に適用される
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正解:2. 消費者契約法は原則すべての消費者契約に適用され、特定商取引法は特定の取引類型に適用される

消費者契約法は契約の類型を問わず原則としてすべての消費者契約に適用される一般法であり、不当勧誘による取消しや不当条項の無効といった民事ルールを横断的に定める。これに対し特定商取引法は、訪問販売や通信販売などトラブルの多い特定の取引類型を狙い撃ちで規律する法律である。いずれも消費者保護の法律であって事業者間契約を主たる対象とはしない。よって、消費者契約法が一般法・特定商取引法が特定類型対象とする記述が適切である。

Q2. クーリング・オフ制度に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 1消費者契約法に基づき、すべての消費者契約でクーリング・オフができる
  2. 2特定商取引法上、訪問販売では原則として法定書面の受領日から8日以内であればクーリング・オフができる
  3. 3クーリング・オフは事業者側からも行使できる
  4. 4通信販売には必ずクーリング・オフが認められる
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正解:2. 特定商取引法上、訪問販売では原則として法定書面の受領日から8日以内であればクーリング・オフができる

クーリング・オフは特定商取引法などが特定の取引類型に限って認める無条件解除の制度であり、訪問販売では原則として申込書面または契約書面のうち法律で定められた事項を記載した書面を受領した日から起算して8日以内であれば行使できる。消費者契約法にはクーリング・オフ制度はなく、また消費者を保護する制度であって事業者が行使するものではない。通信販売は原則として法定のクーリング・オフの対象外で返品特約による。よって訪問販売8日とする記述が正しい。

Q3. 事業者が重要事項について事実と異なる説明をして消費者に契約させた場合に関する次の記述のうち、消費者契約法上適切なものはどれか。

  1. 1消費者は当該契約を取り消すことができる
  2. 2契約は当然に有効で消費者は救済されない
  3. 3消費者は損害賠償のみを請求できるが取消しはできない
  4. 4事業者は刑事罰を受けるが契約の効力には影響しない
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正解:1. 消費者は当該契約を取り消すことができる

消費者契約法は、事業者が重要事項について事実と異なることを告げる不実告知を行い、消費者がそれを事実と誤認して契約の意思表示をした場合、消費者はその意思表示を取り消すことができると定める。情報・交渉力の格差を背景とした不当な勧誘から消費者を救済する趣旨である。取消しが認められる以上、契約が当然に有効で救済されないとはいえない。よって、取り消すことができるとする記述が適切である。

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