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法体系・権利義務

取消しと無効の違い

取消しと無効は、いずれも法律行為(契約など)の効力を否定する制度だが、その出発点が決定的に異なる。取消しは「いったん有効に成立した行為」を後からなかったことにする制度であり、無効は「初めから効力が生じていない」状態を指す。誰が主張できるか、追認できるか、期間制限があるかも違うため、3級では両者の枠組みを正確に押さえることが頻出の得点源となる。

比較表で見る違い

観点取消し無効
効力一応有効。取り消されると遡って無効になる初めから効力が生じない
主張できる人取消権者(本人・代理人・承継人等)に限られる原則として誰でも主張できる
主な原因制限行為能力・詐欺・強迫公序良俗違反・意思無能力・心裡留保(相手悪意)等
追認追認すれば確定的に有効になる追認しても原則として効力は生じない
期間制限追認可能時から5年・行為時から20年で消滅原則として期間制限はない

それぞれの詳しい解説

A取消し

取消しは、制限行為能力者の行為や、詐欺・強迫による意思表示など、法が定めた取消事由がある場合に、取消権者の意思表示によって法律行為を遡及的に無効とする制度である(民法121条)。取り消されるまでは有効であり、取り消さなければ有効なまま確定する。

  • 取消事由は制限行為能力・詐欺・強迫が中心

  • 取消権者が取り消して初めて無効となる(遡及効)

  • 追認可能時から5年、行為時から20年で取消権は消滅する

B無効

無効は、公序良俗違反(民法90条)や意思能力を欠く者の行為など、行為自体に重大な瑕疵があり、初めから法律上の効力を生じない場合をいう。誰からでも、いつでも無効を主張でき、当事者が後から追認しても効力は生じないのが原則である。

  • 初めから効力なし。取消しのように「いったん有効」ではない

  • 原則として誰でも主張でき、期間制限もない

  • 公序良俗違反・意思無能力などが典型例

試験対策のポイント

無効は「最初から効力ゼロ」、取消しは「いったん有効→取り消すと遡ってゼロ」。主張できる人・期間制限・追認の可否がすべて異なる点で対比して覚える。

理解度チェック(3問)

Q1. 取消しと無効に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 1無効な行為は追認すれば当然に有効となる
  2. 2取り消すことができる行為は、取り消されるまでは有効である
  3. 3無効は取消権者しか主張できない
  4. 4取消権には期間制限がない
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正解:2. 取り消すことができる行為は、取り消されるまでは有効である

取り消すことができる行為は、取り消されるまでは一応有効に成立しており、取消権者が取り消して初めて遡って無効となる。無効は初めから効力がなく、追認しても原則有効にならない(選択肢1は誤り)。無効は原則として誰でも主張でき、取消権者に限られるものではない(選択肢3は誤り)。取消権は追認可能時から5年・行為時から20年で消滅するため、期間制限はないとする選択肢4も誤りである。

Q2. 次のうち、原則として「無効」となる場合はどれか。

  1. 1未成年者が法定代理人の同意なく行った契約
  2. 2詐欺によってだまされて行った意思表示
  3. 3公序良俗に反する内容の契約
  4. 4強迫されて行った意思表示
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正解:3. 公序良俗に反する内容の契約

公序良俗(社会の一般的道徳観念)に反する契約は、民法90条により初めから無効である。一方、未成年者が同意なく行った契約、詐欺による意思表示、強迫による意思表示は、いずれも「取り消すことができる行為」であって、取り消されるまでは有効である。無効と取消しの典型事由を取り違えないことが重要で、能力・詐欺・強迫は取消し、公序良俗違反は無効と整理しておくとよい。

Q3. 取消権の期間制限に関する記述として、適切なものはどれか。

  1. 1取消権はいつでも行使でき、期間制限はない
  2. 2追認をすることができる時から5年で時効消滅する
  3. 3行為の時から5年で必ず消滅する
  4. 4相手方が請求した時から1年で消滅する
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正解:2. 追認をすることができる時から5年で時効消滅する

取消権は、追認をすることができる時(取消しの原因となっていた状況が消滅した時など)から5年間行使しないとき、または行為の時から20年を経過したときに消滅する(民法126条)。したがって「期間制限はない」とする選択肢1や、「行為の時から5年」とする選択肢3、「相手方の請求から1年」とする選択肢4はいずれも誤りである。短期5年・長期20年の二本立てで覚えるのが正確である。

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