A善意
善意とは、法律上問題となる一定の事実(例えば前主の契約が詐欺によるものであること)を知らないことをいう。取引の安全を守るため、善意の第三者は保護されることが多い。ただし場面によっては「善意かつ無過失」、すなわち知らないことに落ち度もないことまで要求される点に注意が必要である。
「知らない」という事実状態を指す(道徳的善人の意味ではない)
取引の安全のため保護される場面が多い
「善意無過失」が要件とされる規定もある
法律でいう善意・悪意は、日常会話の「良い人・悪い人」とは全く異なる。法律上、善意とは「ある事実を知らないこと」、悪意とは「ある事実を知っていること」を指す。心がけの良し悪しは関係ない。第三者が保護されるか、取消しや解除を対抗できるかといった結論は、この善意・悪意で大きく変わるため、3級ではこの定義のすり替えに引っかからないことが重要である。
| 観点 | 善意 | 悪意 |
|---|---|---|
| 意味 | ある事情を知らないこと | ある事情を知っていること |
| 日常語との違い | 「親切」という意味ではない | 「悪意ある人」という意味ではない |
| 保護のされ方 | 取引の安全のため保護されやすい | 原則として保護されない |
| 過失との関係 | 「善意無過失」が要件となる場面が多い | 知っている以上、保護の対象外が原則 |
| 具体例 | 詐欺を知らずに買い受けた第三者 | 虚偽表示を知って取引に入った者 |
善意とは、法律上問題となる一定の事実(例えば前主の契約が詐欺によるものであること)を知らないことをいう。取引の安全を守るため、善意の第三者は保護されることが多い。ただし場面によっては「善意かつ無過失」、すなわち知らないことに落ち度もないことまで要求される点に注意が必要である。
「知らない」という事実状態を指す(道徳的善人の意味ではない)
取引の安全のため保護される場面が多い
「善意無過失」が要件とされる規定もある
悪意とは、法律上問題となる一定の事実を知っていることをいう。事情を知りながら取引に入った者は、原則として保護に値しないため、善意の第三者に認められる保護を受けられないことが多い。たとえば虚偽表示であることを知って権利を譲り受けた者は、無効を対抗される。
「知っている」という事実状態を指す(害意の意味ではない)
原則として保護されない
詐欺・虚偽表示などを知って取引に入った者が典型
善意=知らない、悪意=知っている。道徳的な善悪は無関係。「善意の第三者は保護される」が基本線で、無過失まで要るかは条文ごとに確認する。
Q1. 法律用語としての「善意」の意味として、最も適切なものはどれか。
正解:2. ある事実を知らないこと
法律上の善意とは「ある事実を知らないこと」を意味し、日常語の「親切」「思いやり」とは無関係である。したがって選択肢1や4のような道徳的な意味づけは誤り。逆に「不正をしようとする意図」は悪意ですらなく害意に近い概念であり、選択肢3も誤りである。法律の文章で善意・悪意が出てきたら、まず「知っているか知らないか」に機械的に置き換えて読むことが理解の近道となる。
Q2. 虚偽表示(通謀虚偽表示)の無効に関する記述として、適切なものはどれか。
正解:2. 善意の第三者には無効を対抗できない
通謀虚偽表示による法律行為は無効であるが、その無効は善意の第三者に対抗できない(民法94条2項)。つまり事情を知らずに取引に入った第三者は保護される。したがって善意の第三者にも対抗できるとする選択肢1は誤り。第三者の善意・悪意で結論が変わるため選択肢3も誤りであり、悪意の第三者は原則保護されないため選択肢4も誤りである。善意者保護の典型例として押さえておきたい。
Q3. 「善意無過失」という要件に関する記述として、最も適切なものはどれか。
正解:1. 事実を知らず、かつ知らないことに落ち度もないこと
善意無過失とは、ある事実を知らず(善意)、かつそのように信じたことに過失(落ち度)もない状態をいう。表見代理や即時取得など、より厚い保護を与える場面で要求される。善意でも過失があれば保護されない規定があるため選択肢4は誤り。選択肢3はまさに「過失ある善意」で保護が否定される場合であり、選択肢2は善意と悪意を混同しているため誤りである。善意に加えて落ち度の有無まで問われる点が要点である。