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行政法

行政不服審査と行政事件訴訟の違い

行政の違法・不当な行為に対する救済手段は「行政不服審査(行政内部)」と「行政事件訴訟(裁判所)」の2本立てです。簡易迅速か厳格な手続か、不当性審査の可否などで使い分けます。

比較表で見る違い

観点行政不服審査行政事件訴訟
審理機関行政庁(原則は最上級行政庁。第三者性確保のため審理員+行政不服審査会の答申)裁判所
対象違法または不当な処分・不作為違法な処分等(不当性は審理対象外)
審査請求期間処分を知った日の翌日から3か月以内(処分から1年)取消訴訟は処分を知った日から6か月以内(処分から1年)
費用・手続無料・書面審理中心(口頭意見陳述権あり)有料・口頭弁論を経る厳格な訴訟手続
審査請求前置──原則自由選択主義(個別法で前置主義あり)

それぞれの詳しい解説

A行政不服審査

行政庁の違法または不当な処分等に対する不服を、行政庁に対して申し立て、簡易迅速な手続で救済を受ける制度(行政不服審査法)。2014年改正で公正性確保のため審理員制度・行政不服審査会への諮問が導入されました。

  • 違法性のみならず不当性も審理対象

  • 審理員+行政不服審査会の答申による公正性担保

B行政事件訴訟

行政庁の違法な処分等の取消等を裁判所に求める訴訟(行政事件訴訟法)。抗告訴訟(取消訴訟・無効等確認訴訟・不作為違法確認訴訟・義務付け訴訟・差止訴訟)、当事者訴訟、民衆訴訟、機関訴訟の4類型があります。

  • 裁判所による違法性審査(不当性は審理対象外)

  • 原則自由選択主義(個別法で審査請求前置の例外)

試験対策のポイント

「不服審査=行政庁・違法+不当・無料・3か月」「行訴=裁判所・違法のみ・有料・6か月」。2014年改正で審査請求期間が60日→3か月、自由選択主義への原則化が重要。

理解度チェック(3問)

Q1. 行政不服審査と行政事件訴訟の関係に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 1処分の取消しを求める場合、行政事件訴訟を提起する前に必ず審査請求を経なければならない。
  2. 2行政事件訴訟においては、処分の違法性のみならず不当性も審理対象となる。
  3. 3行政不服審査は、処分の違法性に加え不当性も審理対象となる。
  4. 4行政不服審査は有料であるのに対し、行政事件訴訟は無料である。
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正解:3. 行政不服審査は、処分の違法性に加え不当性も審理対象となる。

行政不服審査は違法+不当を審理対象(行審法1条)、行訴は違法性のみ。原則自由選択主義(行訴法8条1項本文)で個別法で前置主義は例外。不服審査は無料、行訴は有料。

Q2. 行政不服審査法に基づく審査請求の期間として正しいものはどれか。

  1. 1処分があったことを知った日の翌日から起算して30日以内
  2. 2処分があったことを知った日の翌日から起算して60日以内
  3. 3処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内
  4. 4処分があった日から起算して2年以内
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正解:3. 処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内

審査請求期間は処分を知った日の翌日から3か月以内、処分の日から1年以内(行政不服審査法18条)。2014年改正で60日から3か月に延長された。

Q3. 行政不服審査法における審理員制度に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 1審理員は、審査請求の対象となった処分に関与した者の中から指名される。
  2. 2審理員は、審査庁が指名し、審査請求の審理手続を行う。
  3. 3審理員の意見書は、審査庁を法的に拘束する。
  4. 4審理員は、すべての審査請求において必ず指名されなければならない。
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正解:2. 審理員は、審査庁が指名し、審査請求の審理手続を行う。

審理員は審査庁に所属する職員から指名される(行審法9条1項)。処分関与者は指名できない(同条2項)。意見書に法的拘束力なし、ただし行政不服審査会への諮問・答申を経る。一定の場合は審理員指名の例外あり(9条1項但書)。

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