A取消訴訟
行政庁の違法な処分等の取消しを求める訴訟(行訴法3条2項)。抗告訴訟の中心類型で、出訴期間が厳格に定められ、処分の公定力を覆す唯一の通常手段です。
行政事件訴訟法上の抗告訴訟は4類型あり、対象とする処分の状態・求める救済内容が異なります。2004年改正で義務付け訴訟・差止訴訟が法定化され、救済の幅が広がりました。
| 観点 | 取消訴訟 | 無効等確認訴訟 | 義務付け訴訟 | 差止訴訟 |
|---|---|---|---|---|
| 目的・救済内容 | 違法な処分の取消 | 処分の無効・不存在等の確認 | 処分の義務付け(行政庁にすべき) | 処分の差止め(行政庁にしないよう) |
| 対象処分の状態 | 既にされた処分(取消可能な瑕疵) | 既にされた処分(重大かつ明白な瑕疵) | まだされていない処分(申請型・非申請型) | まだされていない処分(重大な損害のおそれ) |
| 出訴期間 | 処分を知った日から6か月、処分の日から1年 | なし | なし(申請型は不作為違法確認と併合等) | なし |
| 原告適格 | 法律上の利益を有する者(9条) | 無効等の確認を求める法律上の利益を有する者で、現在の法律関係に関する訴えで目的を達成できないもの(36条) | 法令に基づく申請者または重大な損害を受けるおそれのある者 | 重大な損害を生ずるおそれがあり、他に適当な方法がない者 |
行政庁の違法な処分等の取消しを求める訴訟(行訴法3条2項)。抗告訴訟の中心類型で、出訴期間が厳格に定められ、処分の公定力を覆す唯一の通常手段です。
処分等の存否または効力の有無の確認を求める訴訟(3条4項)。出訴期間の制限はないが、原告適格は補充的に認められ、現在の法律関係に関する訴えでは目的を達成できない場合に限られます(36条)。
行政庁に一定の処分をすべき旨を命ずることを求める訴訟(3条6項)。①法令に基づく申請に対する不作為等を争う申請型と、②申請を前提としない非申請型(直接型)があり、要件が異なります。
行政庁が一定の処分等をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟(3条7項)。処分がなされることにより重大な損害を生ずるおそれがあり、かつ、その損害を避けるため他に適当な方法がないことが要件です(37条の4)。
取消訴訟・無効確認は「事後救済」、義務付け・差止は「事前救済」。義務付け・差止は2004年改正で法定化され、要件が厳格(重大な損害・補充性)。
Q1. 行政事件訴訟法上の抗告訴訟に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
正解:2. 差止訴訟が認められるためには、処分がされることにより重大な損害を生ずるおそれがあり、かつ、その損害を避けるため他に適当な方法がないことが必要である。
差止訴訟の要件は重大な損害+補充性(行訴法37条の4)。無効等確認訴訟に出訴期間制限なし。義務付け訴訟には申請型と非申請型がある。取消訴訟の出訴期間は処分を知った日から6か月(14条)。
Q2. 無効等確認訴訟(行訴法36条)の原告適格に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
正解:2. 無効等確認訴訟は、当該処分に続く処分により損害を受けるおそれのある者、または現在の法律関係に関する訴えで目的を達成できない者で法律上の利益を有する者が提起できる。
行訴法36条は補充的原告適格を定め、①続行処分による損害のおそれ、または②現在の法律関係に関する訴えで目的を達成できない者で、法律上の利益を有する者に限定する。
Q3. 義務付け訴訟に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
正解:4. 義務付け訴訟は2004年の行訴法改正前から法定の訴訟類型として明記されていた。
義務付け訴訟は2004年改正で法定化された(行訴法3条6項、37条の2、37条の3)。それ以前は無名抗告訴訟として議論されていた。申請型・非申請型の区分、併合要件、非申請型の要件は正しい。
Q4. 取消訴訟の出訴期間に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
正解:1. 処分があったことを知った日の翌日から起算して6か月以内、かつ処分の日から1年以内である。
取消訴訟の出訴期間は処分を知った日の翌日から6か月、処分の日から1年(行訴法14条)。正当な理由があれば徒過しても提起可。無効等確認訴訟には出訴期間の制限がない。