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民法

委任と請負の違い

委任は法律行為(または事実行為=準委任)の遂行を委託する契約、請負は仕事の完成を約する契約です。「過程」を重視するか「結果」を重視するかで義務の内容が大きく異なります。

比較表で見る違い

観点委任請負
義務の内容善管注意義務をもって事務を処理する義務(手段債務)仕事を完成させる義務(結果債務)
報酬原則無償(特約あれば有償)原則有償
解除各当事者がいつでも解除可(651条)注文者は仕事完成までいつでも損害賠償して解除可(641条)
担保責任債務不履行責任(善管注意義務違反)契約不適合責任(562条以下準用、636条等)
典型例弁護士・税理士への依頼、医療契約建築工事、システム開発

それぞれの詳しい解説

A委任

当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾する契約(民法643条)。法律行為以外の事務を委託する場合は準委任(656条)。受任者は善管注意義務を負いますが、結果の達成までは保証しません。

  • 原則無償だが、特約により有償化可能

  • 当事者双方からいつでも解除可(信頼関係が基礎)

B請負

当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約する契約(民法632条)。仕事の完成が義務の中心で、完成しない限り原則として報酬請求できません。

  • 注文者は仕事完成までは損害賠償して解除可(641条)

  • 契約不適合責任を負う(636条)

試験対策のポイント

「委任=過程・善管注意・無償原則」「請負=結果・仕事完成・有償」。委任の任意解除権、請負の注文者解除権の違いも頻出。

理解度チェック(3問)

Q1. 委任と請負に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 1委任契約においては、受任者は仕事の完成義務を負う。
  2. 2請負契約は原則として無償である。
  3. 3委任契約は、各当事者がいつでも解除することができる。
  4. 4請負契約においては、注文者は仕事の完成後でも損害賠償して契約を解除できる。
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正解:3. 委任契約は、各当事者がいつでも解除することができる。

委任は各当事者がいつでも解除可(民法651条1項)。委任は手段債務、請負は有償契約が原則。請負の注文者の任意解除権は仕事完成前のみ(641条)。

Q2. 請負契約に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 1請負人は仕事を完成する義務を負う。
  2. 2注文者は、仕事の完成前であれば損害を賠償していつでも契約を解除できる。
  3. 3請負人が仕事を完成できない場合でも、自己の責めに帰すべき事由がなければ報酬請求権は失われない。
  4. 4引き渡された仕事の目的物が契約不適合のときは、注文者は履行追完請求をすることができる。
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正解:3. 請負人が仕事を完成できない場合でも、自己の責めに帰すべき事由がなければ報酬請求権は失われない。

請負人の仕事完成義務不履行で報酬請求権は原則発生しない。ただし注文者の責めに帰すべき事由による不能の場合は報酬請求可(民法536条2項)。完成義務、注文者解除権、契約不適合責任は正しい。

Q3. 委任契約における受任者の義務に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 1受任者は無償の場合、注意義務を負わない。
  2. 2受任者は有償・無償を問わず、善良な管理者の注意をもって事務を処理する義務を負う。
  3. 3受任者は委任者の指示に従う必要はない。
  4. 4受任者は復受任者を選任する義務を負う。
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正解:2. 受任者は有償・無償を問わず、善良な管理者の注意をもって事務を処理する義務を負う。

受任者は有償・無償を問わず善管注意義務を負う(民法644条)。指示に従う義務はあるが復受任者選任は原則禁止(644条の2)で例外的に可能。

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