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民法

留置権・質権・抵当権の違い

担保物権は債権者の弁済を確保する物権です。留置権は法定担保物権で優先弁済権がなく、質権・抵当権は約定担保物権で優先弁済権があります。占有の要否で質権と抵当権が区別されます。

比較表で見る違い

観点留置権質権抵当権
発生原因法定(要件を満たせば当然成立)当事者の合意+目的物の引渡し(要物契約)当事者の合意(諾成契約)+登記で対抗
目的物他人の物(動産・不動産・有価証券)動産・不動産・権利不動産・地上権・永小作権
占有必要(占有を失うと消滅)必要(質権者が占有)不要(設定者が使用収益)
優先弁済権なし(事実上の優先弁済機能のみ)ありあり
被担保債権との関係物と債権の牽連性が必要牽連性不要牽連性不要

それぞれの詳しい解説

A留置権

他人の物の占有者が、その物に関して生じた債権を有する場合に、債権の弁済を受けるまで占有を継続できる法定担保物権(民法295条)。優先弁済権はなく、占有を失うと消滅します。

  • 不動産にも成立するが登記なしに第三者に対抗可

  • 債務者・債権者の合意では発生しない(法定担保物権)

B質権

債権者が債権の担保として債務者から受け取った物を占有し、その物について他の債権者に先立って弁済を受けることができる約定担保物権(民法342条)。動産質・不動産質・権利質の3種類があります。

  • 質権設定は要物契約(物の引渡しが効力要件)

  • 質権者は留置的効力+優先弁済権を有する

C抵当権

債務者または第三者が占有を移さずに債務の担保として提供した不動産等につき、優先弁済を受ける約定担保物権(民法369条)。設定者が引き続き使用収益でき、登記によって対抗要件を備えます。

  • 対象は不動産・地上権・永小作権(動産は不可)

  • 同一不動産に複数の抵当権を設定可(順位は登記順)

試験対策のポイント

「留置権=法定・占有要・優先弁済なし」「質権=約定・占有要・優先弁済あり」「抵当権=約定・占有不要・優先弁済あり」の3点で整理。

理解度チェック(3問)

Q1. 担保物権に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 1留置権は当事者の合意によってのみ成立する約定担保物権である。
  2. 2抵当権は動産にも設定することができる。
  3. 3質権の設定は当事者の合意のみで効力を生じる諾成契約である。
  4. 4抵当権は目的物の占有を抵当権者に移転させない非占有担保物権である。
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正解:4. 抵当権は目的物の占有を抵当権者に移転させない非占有担保物権である。

抵当権は占有移転を伴わない非占有担保物権(民法369条)。留置権は法定担保物権(295条)。抵当権の目的物は不動産等に限られ動産は不可。質権は要物契約(344条)で物の引渡しが効力発生要件。

Q2. 留置権に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 1留置権者が目的物の占有を失っても、留置権は消滅しない。
  2. 2留置権には優先弁済権がない。
  3. 3不動産についての留置権は、登記なくして第三者に対抗できる。
  4. 4被担保債権が物に関して生じたものでなければならない(牽連性)。
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正解:1. 留置権者が目的物の占有を失っても、留置権は消滅しない。

留置権は占有が成立要件であり、占有を失うと留置権は消滅する(民法302条)。優先弁済権がないこと、登記不要、牽連性必要は正しい。

Q3. 抵当権に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 1同一の不動産に複数の抵当権を設定することはできない。
  2. 2抵当権設定登記がなくても、第三者に対抗することができる。
  3. 3抵当権の効力は、抵当不動産の付加一体物にも及ぶ。
  4. 4抵当権者は被担保債権の弁済期到来前であっても、抵当不動産の競売を申立てることができる。
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正解:3. 抵当権の効力は、抵当不動産の付加一体物にも及ぶ。

抵当権の効力は抵当不動産の付加一体物に及ぶ(民法370条)。複数の抵当権設定は可(順位は登記順)。対抗要件は登記。競売申立ては被担保債権の弁済期到来後。

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