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技能

稟議書と起案書の違い

上司や関係者の承認を得るために回す社内文書として「稟議書」と「起案書」がある。どちらも決裁を求める文書だが、回し方や使われる場面が異なる。秘書は会議にかけずに済ませたい案件と、会議で決める案件を区別して扱えると役立つため、両者の性格を押さえておきたい。

比較表で見る違い

観点稟議書起案書
目的会議を開かず関係者の承認を順に得る一つの案を作成して上位者の決裁を求める
回付の仕方関係者へ順番に回して押印・承認を集める作成者から決裁権者へ上げる
決裁の形複数の関係者・役職者が合議で承認決裁権者が可否を判断
使われる場面備品購入・出張・契約など日常の承認事項新規の企画・方針など案の提示

それぞれの詳しい解説

A稟議書

会議を開くほどではない案件について、関係者へ書面を順に回し、押印(承認印)を集めて決裁を得るための社内文書である。会議を開けば日程調整や時間がかかるが、稟議書なら書面を回すだけで合意形成できるため、備品購入や出張申請のような日常の承認事項を効率よく処理できる。秘書は回付が滞っていないかを把握し、必要なら経過を上司へ報告する役割を担う。

  • 関係者を順に回す「回議」が基本

  • 押印欄に承認印を集める

  • 備品購入・出張申請など日常案件に多い

B起案書

担当者がある案(企画・処理方針など)を文書にまとめ、上位者の決裁を仰ぐための文書である。「起案」とは案を起こすこと、すなわち最初に案を作成する行為を指す。新しい企画や対応方針を提示し、決裁を経て初めて正式な行動や文書につながる点に特徴がある。回付して合議を集める稟議書も、案を起こすという意味では起案書の一形態と捉える考え方もあり、両者は近い関係にある。

  • 担当者が案を起こして提出する

  • 決裁を経て正式な文書や行動につながる

  • 稟議書は起案書の一形態と捉える考え方もある

試験対策のポイント

稟議書=会議を開かず関係者へ順に回して承認を集める文書。起案書=案を起こして決裁を仰ぐ文書。「稟議=回して合議」「起案=案を起こす」で押さえる。

理解度チェック(3問)

Q1. 会議を開かずに、関係者へ順に書面を回して承認印を集め、決裁を得る社内文書はどれか。

  1. 1起案書
  2. 2稟議書
  3. 3回覧文書
  4. 4通知文
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正解:2. 稟議書

関係者へ順に回して承認を集め、会議を省略して合意形成するのは稟議書である。起案書は担当者が案を起こして決裁を仰ぐ文書で、回付を必須としない点で異なる。回覧文書は周知のために回すだけで承認を求めず、通知文は決定事項を知らせる文書なので、どちらも承認印を集める稟議書とは役割が違う。承認を集めるか否かが見分ける手がかりになる。

Q2. 「起案」の意味として最も適当なものはどれか。

  1. 1案を関係者全員へ配布すること
  2. 2案を起こして(作成して)提出すること
  3. 3会議で案を採決すること
  4. 4提出された案を破棄すること
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正解:2. 案を起こして(作成して)提出すること

起案とは案を起こす、すなわち最初に案を作成して提出することを指す。担当者が起案し、上位者の決裁を経て正式なものとなる。配布は出来上がった案を渡す行為、採決は会議で可否を決める行為、破棄は案を捨てる行為であり、いずれも案を作り出す起案とは別の段階を表すため不適当である。起=起こす、と字の意味から押さえるとよい。

Q3. 稟議書の取り扱いとして不適当なものはどれか。

  1. 1関係者を順に回して承認印をもらう
  2. 2決裁が下りるまで原則として内容を勝手に書き換えない
  3. 3承認が滞っている場合は経過を上司に報告する
  4. 4関係者を飛ばして決裁権者へ直接渡すのが正式な手順である
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正解:4. 関係者を飛ばして決裁権者へ直接渡すのが正式な手順である

稟議書は定められた関係者を順に回して合意を集めるのが正式な手順であり、関係者を飛ばして決裁権者へ直接渡すのは合議の意義を損なうため不適当である。途中で内容を勝手に変えない、滞れば経過を報告するという対応は、決裁の正確さと進行管理の両面で適切な秘書の扱いといえる。順序を守ることが合意形成の前提となる。

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