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社会保険関連法令

健康保険と国民健康保険の違い

健康保険(健保)と国民健康保険(国保)は、いずれも医療給付を行う公的医療保険ですが、根拠法・保険者・対象者・保険料の算定方法・給付内容に大きな違いがあります。健保は被用者保険として事業所に使用される労働者を対象とし、国保は健保等の被用者保険の対象とならない自営業者や無職者等を市町村が被保険者とします。社労士試験では、被扶養者制度の有無、傷病手当金・出産手当金の任意給付化など、両制度の差異が頻出論点となるため、根拠条文とあわせて確実に押さえておきましょう。

比較表で見る違い

観点健康保険国民健康保険
根拠法健康保険法国民健康保険法
保険者全国健康保険協会(協会けんぽ)/健康保険組合市町村(特別区含む)/国民健康保険組合
被保険者適用事業所に使用される者(短時間労働者は週20h・賃金月8.8万円・51人超で加入)市町村区域内に住所を有し、被用者保険等の対象でない者
被扶養者制度あり(年収130万円未満等の要件)なし(世帯員それぞれが被保険者)
保険料標準報酬月額×保険料率(労使折半が原則)所得割・均等割・平等割等を組み合わせ世帯単位で賦課
傷病手当金法定給付(標準報酬日額の2/3を最長通算1年6月)任意給付(市町村国保では原則実施されていない)
出産手当金法定給付(産前42日・産後56日)任意給付(実施しない市町村国保が大半)
保険料納付義務者事業主(被保険者負担分も含めて納付)世帯主(世帯主が被保険者でなくても納付義務)

それぞれの詳しい解説

A健康保険

健康保険法に基づく被用者保険で、適用事業所に使用される労働者とその被扶養者を対象とします(健保法3条)。保険者は全国健康保険協会(協会けんぽ)と健康保険組合の2類型。保険料は標準報酬月額・標準賞与額に保険料率を乗じて算定し、原則として労使折半で事業主が一括納付します。法定給付として傷病手当金(標準報酬日額の3分の2を支給開始日から通算1年6月)、出産手当金(産前42日・産後56日)があり、被扶養者にも家族療養費等が支給されます。2024年10月から短時間労働者の適用拡大により、企業規模51人超の事業所も適用対象となりました。

  • 保険者は協会けんぽと健保組合の2類型

  • 被扶養者制度あり(年収130万円未満等)

  • 傷病手当金・出産手当金は法定給付

  • 保険料は労使折半・事業主が納付義務

B国民健康保険

国民健康保険法に基づき、市町村(特別区を含む)または国民健康保険組合が保険者となります(国保法3条・13条)。被保険者は市町村区域内に住所を有する者のうち、健保・共済等の被用者保険、後期高齢者医療制度の対象でない者で、自営業者・農業者・退職者・無職者等が中心です。被扶養者制度はなく、世帯員それぞれが被保険者となります。保険料(または保険税)は所得割・資産割・均等割・平等割を組み合わせ世帯単位で賦課され、納付義務者は世帯主です。傷病手当金・出産手当金は任意給付であり、市町村国保では原則実施されていません(条例で定めれば実施可能)。

  • 保険者は市町村・特別区・国保組合

  • 被扶養者制度なし(世帯員全員が被保険者)

  • 保険料納付義務者は世帯主

  • 傷病手当金・出産手当金は任意給付

試験対策のポイント

「健保=被用者・被扶養者あり・傷病手当金あり」「国保=地域・世帯単位・傷病手当金は任意」と対比で覚える。納付義務者は健保=事業主、国保=世帯主が頻出ポイント。

理解度チェック(3問)

Q1. 健康保険と国民健康保険の保険料納付義務者の組合せとして正しいものはどれか。

  1. 1健康保険=被保険者本人/国民健康保険=被保険者本人
  2. 2健康保険=事業主/国民健康保険=世帯主
  3. 3健康保険=事業主/国民健康保険=被保険者本人
  4. 4健康保険=世帯主/国民健康保険=事業主
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正解:2. 健康保険=事業主/国民健康保険=世帯主

健康保険の保険料は事業主が被保険者負担分も含めて納付義務を負い(健保法161条)、国民健康保険の保険料は世帯主が納付義務を負う(国保法76条)。世帯主が被保険者でなくても納付義務が課される点が頻出。

Q2. 次のうち、市町村が保険者となる国民健康保険において「任意給付」とされているものはどれか。

  1. 1療養の給付
  2. 2入院時食事療養費
  3. 3傷病手当金
  4. 4高額療養費
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正解:3. 傷病手当金

国保法58条2項により、傷病手当金・出産育児に関する手当金等は条例または規約の定めるところにより支給することができる「任意給付」とされ、市町村国保では原則実施されていない。療養の給付・高額療養費等は法定給付。

Q3. 短時間労働者に対する健康保険の適用拡大に関する記述として、2026年4月時点で正しいものはどれか。

  1. 1従業員数にかかわらず週所定労働時間20時間以上で適用される
  2. 2特定適用事業所は従業員数51人超の事業所が対象である
  3. 3賃金月額の要件は撤廃されている
  4. 4学生は要件を満たせば被保険者となる
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正解:2. 特定適用事業所は従業員数51人超の事業所が対象である

2024年10月以降、特定適用事業所の要件が「被保険者数51人以上」に拡大された。週20時間以上、月額賃金8.8万円以上、雇用見込2か月超、学生でないこと、が短時間労働者の被保険者要件。

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