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社会保険関連法令

社会保険労務士と行政書士の違い

社会保険労務士(社労士)と行政書士は、いずれも国家資格に基づく士業ですが、根拠法・業務範囲・独占業務の領域が明確に区分されています。社労士法では労働社会保険諸法令に基づく書類作成・提出代行・事務代理・労務相談指導が独占業務として規定され、行政書士法では官公署提出書類および権利義務・事実証明に関する書類の作成が独占業務とされます。社労士試験では、両者の業務範囲の重複と区分、特に労働社会保険諸法令に関する書類は社労士の独占業務である点が頻出論点です。

比較表で見る違い

観点社会保険労務士行政書士
根拠法社会保険労務士法(昭和43年法律第89号)行政書士法(昭和26年法律第4号)
所管厚生労働省総務省
登録機関都道府県社会保険労務士会/全国社会保険労務士会連合会都道府県行政書士会/日本行政書士会連合会
独占業務(書類作成)労働社会保険諸法令に基づく申請書等の作成(社労士法2条1号)官公署提出書類・権利義務・事実証明書類の作成(行書法1条の2)
提出代行・事務代理可(社労士法2条1号の2・1号の3)不可(労働社会保険諸法令分野は社労士独占)
相談・指導労務管理その他労働社会保険に関する相談指導(2条3号)相談業務は法律上の独占業務ではない
紛争解決特定社労士は個別労働関係紛争のあっせん代理可行政不服申立て・契約書作成等が中心
資格試験社会保険労務士試験(年1回・8月)行政書士試験(年1回・11月)

それぞれの詳しい解説

A社会保険労務士

社会保険労務士法(社労士法)に基づく国家資格者で、厚生労働省が所管します。業務は同法2条1号〜3号に規定され、①労働社会保険諸法令に基づく申請書・届出書・報告書等の作成(1号業務)、②これらの書類の提出代行(1号の2)、③事務代理(1号の3)、④労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成(2号業務)、⑤労務管理その他労働社会保険に関する相談・指導(3号業務)からなります。1号・2号業務は独占業務で、社労士でない者が報酬を得て業として行うことは禁止され違反は罰則の対象です(社労士法27条・32条の2)。特定社会保険労務士は個別労働関係紛争のあっせん代理が可能となります。

  • 根拠法は社会保険労務士法・所管は厚労省

  • 1号・2号業務は独占業務(罰則あり)

  • 労務管理・労働社会保険に関する相談指導

  • 特定社労士はADRあっせん代理可能

B行政書士

行政書士法に基づく国家資格者で、総務省が所管します。業務は同法1条の2・1条の3に規定され、官公署に提出する書類、権利義務に関する書類、事実証明に関する書類の作成および相談業務が中心です。ただし、他の法律で制限されている書類(例えば社労士法に規定される労働社会保険諸法令に基づく書類、税理士法に規定される税務書類等)は行政書士の業務範囲から除外されます(行書法1条の2第2項)。建設業許可申請、産業廃棄物処理業許可、外国人在留資格関連、相続関係書類、各種契約書作成等が代表的な業務領域。違反には罰則があります(行書法19条・21条)。

  • 根拠法は行政書士法・所管は総務省

  • 官公署提出書類・権利義務・事実証明書類の作成

  • 他法令で制限される書類は除外(社労士・税理士分野)

  • 建設業許可・在留資格・契約書作成等が中心

試験対策のポイント

「労働社会保険諸法令の書類=社労士の独占」「それ以外の官公署提出書類=行政書士」と境界線を引く。社労士法2条1号〜3号と行書法1条の2第2項(他法令制限)はセットで暗記。

理解度チェック(3問)

Q1. 社会保険労務士の独占業務として正しいものはどれか。

  1. 1建設業許可申請書の作成
  2. 2労働社会保険諸法令に基づく申請書等の作成・提出代行・事務代理
  3. 3不動産登記申請書の作成
  4. 4税務代理
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正解:2. 労働社会保険諸法令に基づく申請書等の作成・提出代行・事務代理

社労士法2条1号〜1号の3により、労働社会保険諸法令に基づく書類作成・提出代行・事務代理は社労士の独占業務。建設業許可は行政書士、登記は司法書士、税務代理は税理士の業務領域。

Q2. 行政書士法に関する記述として正しいものはどれか。

  1. 1労働社会保険諸法令に基づく書類も行政書士が作成できる
  2. 2他の法律で制限されている書類は行政書士の業務から除外される
  3. 3行政書士は厚生労働省が所管する
  4. 4行政書士は税務代理を業として行うことができる
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正解:2. 他の法律で制限されている書類は行政書士の業務から除外される

行政書士法1条の2第2項により、他の法律で業務として制限されている書類(社労士法・税理士法・司法書士法等の専管業務)は行政書士の業務から除外される。所管は総務省。

Q3. 特定社会保険労務士のみが行うことができる業務として正しいものはどれか。

  1. 1健康保険の被保険者資格取得届の作成
  2. 2労働社会保険諸法令に基づく事務代理
  3. 3個別労働関係紛争解決促進法に基づくあっせん手続の代理
  4. 4就業規則の作成
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正解:3. 個別労働関係紛争解決促進法に基づくあっせん手続の代理

社労士法2条1項1号の4・2条の2により、紛争解決手続代理業務(個別労働関係紛争のあっせん代理等)は紛争解決手続代理業務試験に合格し付記を受けた特定社会保険労務士のみが行うことができる。

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