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債権の管理と回収

抵当権と根抵当権の違い

不動産を担保にとる代表的な約定担保物権が抵当権と根抵当権である。抵当権が特定の債権を担保するのに対し、根抵当権は一定範囲の不特定多数の債権を極度額まで担保する。継続的取引の与信管理では根抵当権が用いられる。事例問題では付従性の有無、元本確定、極度額の意味が問われる。

比較表で見る違い

観点抵当権根抵当権
被担保債権特定の債権を担保する一定の範囲に属する不特定の債権を担保する(民法398条の2)
付従性成立・消滅に付従性あり(債権が消えれば抵当権も消滅)元本確定前は付従性が緩和され、個々の債権が消えても根抵当権は存続
担保の範囲元本+最後の2年分の利息等極度額の範囲内で元本・利息・損害金の全額
随伴性/元本確定債権譲渡に随伴して移転する元本確定前は随伴性なし。元本確定により被担保債権が特定される

それぞれの詳しい解説

A抵当権

抵当権とは、債務者または第三者(物上保証人)が占有を移さずに不動産等を債務の担保に供し、債務不履行の場合に他の債権者に優先して弁済を受ける約定担保物権である。特定の債権を担保するため、被担保債権が成立しなければ抵当権も成立せず、被担保債権が弁済等で消滅すれば抵当権も消滅する(付従性)。また被担保債権が譲渡されれば抵当権もこれに随伴する(随伴性)。担保される利息等は原則として最後の2年分に制限される(民法375条)。

  • 特定の債権を担保し、付従性・随伴性を持つ

  • 占有を移転しない(非占有担保)

  • 利息等は原則として満期となった最後の2年分に限られる

B根抵当権

根抵当権とは、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度で担保する抵当権である(民法398条の2)。継続的な売買取引や融資取引で生じる債権をまとめて担保するのに適する。元本確定前は付従性・随伴性が緩和され、個々の被担保債権が弁済で消滅しても根抵当権自体は存続し、新たに発生する債権を担保し続ける。元本確定によって被担保債権の範囲が確定し、以後は通常の抵当権に近い扱いとなる。担保されるのは極度額の範囲内であれば元本・利息・損害金の全額に及ぶ。

  • 一定範囲の不特定債権を極度額まで担保する

  • 元本確定前は付従性・随伴性が緩和される

  • 極度額の枠内なら利息・損害金も2年分の制限なく担保される

試験対策のポイント

抵当権は「特定債権・付従性あり」、根抵当権は「不特定債権・極度額・元本確定前は付従性なし」。継続的取引の与信管理は根抵当権と覚える。

理解度チェック(3問)

Q1. 抵当権に関する記述のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 1被担保債権が弁済により消滅しても、抵当権は独立して存続する
  2. 2抵当権は付従性を有し、被担保債権が消滅すれば抵当権も消滅する
  3. 3抵当権の実行には、債務者から不動産の占有を移転しておく必要がある
  4. 4抵当権で担保される利息は、期間の制限なく全額が常に優先弁済される
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正解:2. 抵当権は付従性を有し、被担保債権が消滅すれば抵当権も消滅する

抵当権は特定の債権を担保するため付従性を有し、被担保債権が弁済等で消滅すれば抵当権も消滅する。よって独立して存続するとする肢1は誤り。抵当権は占有を移転しない非占有担保であり、実行のために占有移転は不要なため肢3も誤り。担保される利息等は民法375条により原則として満期となった最後の2年分に制限されるため肢4も誤り。よって肢2が正しい。

Q2. 根抵当権に関する記述のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 1根抵当権は特定の一個の債権のみを担保する点で抵当権と同じである
  2. 2元本確定前は、個々の被担保債権が消滅しても根抵当権は存続する
  3. 3根抵当権では極度額の定めは不要であり、無制限に債権を担保できる
  4. 4根抵当権は元本確定の前後を問わず、常に強い随伴性を有する
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正解:2. 元本確定前は、個々の被担保債権が消滅しても根抵当権は存続する

根抵当権は一定範囲の不特定の債権を極度額まで担保するもので、元本確定前は付従性・随伴性が緩和される。そのため個々の被担保債権が弁済で消滅しても根抵当権自体は存続し、新たな債権を担保し続ける。特定の一個の債権のみを担保するわけではないため肢1は誤り。極度額の定めは必須であり無制限ではないため肢3も誤り。元本確定前は随伴性がないため肢4も誤り。よって肢2が正しい。

Q3. 継続的な商品供給取引から生じる代金債権を一括して担保したい場合の担保設定として、最も適切なものはどれか。

  1. 1取引のたびに個別の債権を特定して抵当権を設定し直すのが最も合理的である
  2. 2一定範囲の不特定債権を極度額まで担保する根抵当権を設定するのが適している
  3. 3根抵当権は一回限りの取引にしか利用できないため抵当権を用いるべきである
  4. 4継続的取引では担保物権の設定自体が法律上認められていない
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正解:2. 一定範囲の不特定債権を極度額まで担保する根抵当権を設定するのが適している

継続的取引から反復して生じる債権をまとめて担保するには、一定範囲の不特定債権を極度額の限度で担保する根抵当権が適している。取引ごとに抵当権を設定し直すのは煩雑で、抵当権は特定債権の担保に向くため肢1は不適切。根抵当権はむしろ継続的取引のための制度であり一回限りではないため肢3は誤り。継続的取引でも担保設定は当然認められるため肢4も誤り。よって肢2が正しい。

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