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民法・借地借家法

普通借家契約と定期借家契約の違い

建物賃貸借の基本形が普通借家契約、契約期間満了で確定的に終了するのが定期借家契約です。定期借家は2000年3月施行の借地借家法38条で導入され、書面契約・事前説明書面・終了通知の3点セットを欠くと普通借家として扱われます。賃貸不動産経営管理士試験の最頻出論点です。

比較表で見る違い

観点普通借家契約定期借家契約
更新あり(法定更新)なし(期間満了で確定終了)
契約期間1年以上(1年未満は期間の定めなしとみなす・借家法29条1項)制限なし(1年未満でも有効)
契約方法口頭でも有効書面または電磁的記録による契約必須(借家法38条1項)
事前説明不要契約前に書面(または電磁的方法)交付して説明必須(借家法38条3項)
終了通知更新拒絶通知(期間満了の1年前〜6ヶ月前)期間1年以上の場合、期間満了の1年前〜6ヶ月前に終了通知(借家法38条6項)
正当事由賃貸人の更新拒絶・解約申入れに必要(借家法28条)不要(期間満了で当然終了)
賃料増減特約増額特約は有効、減額不可特約は借家法32条1項により無効増額不可・減額不可いずれの特約も有効(借家法38条9項)

それぞれの詳しい解説

A普通借家契約

借地借家法26条以下が適用される一般的な建物賃貸借。期間満了時に賃貸人が更新拒絶するには、期間満了の1年前から6ヶ月前までに通知し、かつ正当事由(28条)が必要です。法定更新後は期間の定めなしとなり、賃料増減請求権(32条)は強行規定で、減額しない特約は無効と解されます。

  • 借地借家法26〜30条(期間・更新・解約申入れ)

  • 期間1年未満の合意は「期間の定めなし」扱い(29条1項)

  • 正当事由の判断要素:使用必要性・賃貸借経緯・利用状況・立退料(28条)

  • 法定更新後は期間の定めなしの賃貸借になる(26条1項ただし書)

B定期借家契約

借地借家法38条で定められた、契約期間満了で更新なく終了する建物賃貸借。書面(公正証書等)または電磁的記録による契約と、契約前の事前説明書面(電磁的方法可)の交付・説明が必須です。これらを欠くと「契約の更新がないこととする旨の定め」が無効となり、普通借家契約として扱われます(最判平24.9.13)。

  • 借地借家法38条1項:書面・電磁的記録による契約必須

  • 同条3項:契約前に書面交付して事前説明(説明書は契約書と別個)

  • 同条6項:期間1年以上は期間満了1年〜6ヶ月前に終了通知

  • 同条9項:賃料増減特約はそのまま有効(32条適用除外)

  • 居住用200㎡未満の建物は賃借人がやむを得ない事情で中途解約可(38条7項)

試験対策のポイント

定期借家=書面契約+事前説明書面+終了通知の3点セット必須。事前説明書面を欠くと普通借家扱い(最判平24.9.13)。賃料減額特約は定期借家でのみ有効。

理解度チェック(3問)

Q1. 定期借家契約に関する記述として誤っているものはどれか。

  1. 1契約は書面または電磁的記録によらなければならない。
  2. 2契約前に書面(または電磁的方法)を交付して事前説明する必要がある。
  3. 3契約期間1年以上の場合、期間満了の1年前から6ヶ月前までに終了通知をしなければならない。
  4. 4賃料を減額しない旨の特約は借地借家法32条1項により無効である。
解答・解説を見る

正解:4. 賃料を減額しない旨の特約は借地借家法32条1項により無効である。

定期借家では借地借家法38条9項により32条(賃料増減請求権)の適用が排除され、増額不可・減額不可いずれの特約も有効。書面契約(38条1項)、事前説明(38条3項)、終了通知(38条6項)はすべて正しい。

Q2. 事前説明書面を交付せずに「定期借家」として契約を締結した場合の効果として正しいものはどれか。

  1. 1契約全体が無効となる。
  2. 2定期借家として有効に成立し、期間満了で終了する。
  3. 3「契約の更新がないこととする旨の定め」が無効となり、普通借家契約として扱われる。
  4. 4賃借人は契約を取り消すことができる。
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正解:3. 「契約の更新がないこととする旨の定め」が無効となり、普通借家契約として扱われる。

借地借家法38条3項違反の場合、同条5項により「契約の更新がないこととする旨の定め」が無効となり、普通借家として法定更新が適用される(最判平24.9.13)。契約自体は有効で、賃借人保護のため更新条項のみ無効。

Q3. 普通借家契約と定期借家契約の比較として正しいものはどれか。

  1. 1普通借家は1年未満の期間も有効だが、定期借家は1年以上が必須である。
  2. 2普通借家の更新拒絶には正当事由が必要だが、定期借家は期間満了で当然終了する。
  3. 3定期借家は口頭でも有効に成立する。
  4. 4居住用200㎡未満の定期借家でも、賃借人の中途解約は一切認められない。
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正解:2. 普通借家の更新拒絶には正当事由が必要だが、定期借家は期間満了で当然終了する。

普通借家は28条の正当事由が必要、定期借家は不要。普通借家1年未満は期間の定めなし扱い(29条1項)、定期借家は1年未満も有効(38条1項)。書面必須(38条1項)。居住用200㎡未満は賃借人のやむを得ない事情で中途解約可(38条7項)。

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