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管理組合の会計・実務

収納口座と保管口座と収納・保管口座の違い

マンション管理業者が管理組合の修繕積立金等を扱うときは、自己の財産と分別して管理しなければなりません(適正化法76条)。施行規則は「収納口座」「保管口座」「収納・保管口座」の3つを定義し、口座の名義・印鑑の保管・保証契約の要否が異なります。お金の通り道か、貯めておく場所か、両方を兼ねるかで区別しましょう。

比較表で見る違い

観点収納口座保管口座収納・保管口座
位置づけ修繕積立金等・管理費を一時的に受け入れる入口の口座修繕積立金等を確実に保管しておく口座収納と保管を1つの口座で兼ねる口座
口座の名義管理業者名義でもよい(管理組合等名義でも可)管理組合等を名義人としなければならない管理組合等を名義人としなければならない
管理業者の印鑑保管管理業者が印鑑等を保管してよい管理業者は管理組合等の印鑑等(印鑑・引出用カード等)を保管してはならない(原則)管理業者は管理組合等の印鑑等(印鑑・引出用カード等)を保管してはならない(原則)
保証契約の要否イ方式・ロ方式では原則として1か月分以上の保証契約が必要(直接預入等かつ印鑑等を保管しない場合は不要)保管口座にとどまる分には保証契約は不要保証契約は不要(保証契約が必要なのは収納口座を用いるイ方式・ロ方式)
資金移動原則、翌月末日までに残額を保管口座へ移し替える移し替えられた残額をそのまま保管する同一口座内で収納から保管まで完結する

それぞれの詳しい解説

A収納口座

収納口座は、区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭または管理費を一時的に預かり入金する口座です。管理業者の名義とすることも認められますが、その分だけ持ち逃げ等のリスクが高いため、毎月、その月分として徴収された修繕積立金等金銭から当該月中の管理事務に要した費用を控除した残額を、翌月末日までに保管口座へ移し替えなければなりません。管理業者は収納口座の印鑑等を保管してよい一方、収納口座を用いるイ方式・ロ方式では原則として1か月分の修繕積立金等金銭(ロ方式は管理費用に充当する金銭)の合計額以上の保証契約を締結する必要があります(管理組合等名義の収納口座に直接預け入れられ、かつ管理業者が印鑑等を保管しない場合は不要)。

  • お金の入口となる一時的な通過口座

  • 管理業者名義も認められる(その分リスク管理が必要)

  • 管理業者が印鑑等を保管してよい

  • 原則、翌月末日までに保管口座へ残額を移し替える

B保管口座

保管口座は、修繕積立金等金銭または一定の財産を預貯金として管理するための口座で、管理組合等を名義人とします。管理業者は、保管口座に係る管理組合等の印鑑、預貯金の引出用カードその他これらに類するものを管理してはならないのが原則です。すでに移し替えられて管理組合等名義で保管されている資金については、管理業者が勝手に引き出せない仕組みのため保証契約は不要です。貯めておく金庫のような役割です。

  • 修繕積立金等を確実に貯めておく出口側の口座

  • 名義人は必ず管理組合等とする

  • 管理業者は印鑑・引出用カード等を保管できないのが原則

  • 保管口座にとどまる分には保証契約は不要

C収納・保管口座

収納・保管口座は、修繕積立金等金銭を収納し、かつ保管する機能を1つの口座で兼ねる口座です。管理組合等を名義人としなければならず、管理業者はその印鑑等を保管してはならないのが原則です。収納口座のように外部へ移し替える前提ではなく同一口座で完結します。保証契約の締結義務(施行規則87条3項)は収納口座を用いるイ方式・ロ方式について定められており、収納・保管口座を用いるハ方式では保証契約は不要です。

  • 収納と保管を1つの口座で兼ねる口座

  • 名義人は必ず管理組合等とする

  • 管理業者は印鑑等を保管できないのが原則

  • 保証契約は不要(保証契約はイ方式・ロ方式の義務)

試験対策のポイント

収納口座は「入口・管理業者名義可・印鑑保管可」、保管口座は「金庫・組合名義・印鑑保管禁止・保証契約不要」、収納・保管口座は「両方を兼ねる・組合名義・印鑑保管禁止・保証契約不要」。印鑑を管理業者が持てるのは収納口座だけ、と覚えると整理しやすいです。

理解度チェック(3問)

Q1. マンション管理適正化法に基づく財産の分別管理に関する記述として正しいものはどれか。

  1. 1保管口座は管理業者名義とすることができ、管理業者が印鑑を保管してもよい
  2. 2保管口座は管理組合等を名義人とし、管理業者はその印鑑等を保管してはならないのが原則である
  3. 3収納口座は必ず管理組合名義としなければならない
  4. 4収納口座から保管口座への移し替えは、年度末までに行えばよい
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正解:2. 保管口座は管理組合等を名義人とし、管理業者はその印鑑等を保管してはならないのが原則である

財産の分別管理について、施行規則は保管口座を管理組合等の名義とし、管理業者がその印鑑、預貯金の引出用カード等を管理してはならないことを原則としています。これは管理業者が印鑑等を保管すると保管中の資金を勝手に引き出せてしまうためです。一方、収納口座は一時的な入金口座であり管理業者名義も認められ、印鑑等を管理業者が保管することも許容されます。収納口座から保管口座への残額の移し替えは原則として徴収した月の翌月末日までに行う必要があり、年度末までではありません。

Q2. 収納・保管口座に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 1収納・保管口座は管理業者名義とすることができ、印鑑も管理業者が保管できる
  2. 2収納・保管口座は管理組合等を名義人とし、管理業者は原則としてその印鑑等を保管してはならない
  3. 3収納・保管口座は保管専用であり、収納の機能は一切持たない
  4. 4収納・保管口座を用いる場合でも、管理業者は1か月分以上の保証契約を締結しなければならない
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正解:2. 収納・保管口座は管理組合等を名義人とし、管理業者は原則としてその印鑑等を保管してはならない

収納・保管口座は、修繕積立金等を収納しかつ保管する機能を1つの口座で兼ねるもので、管理組合等を名義人とし、管理業者は印鑑等を保管してはならないのが原則です。保証契約の締結義務は収納口座を用いるイ方式・ロ方式についてのものであり、収納・保管口座(ハ方式)では保証契約は不要です。管理業者名義や管理業者による印鑑保管を認める記述、収納機能を持たないとする記述、収納・保管口座でも保証契約が必要とする記述は誤りです。

Q3. 修繕積立金等の保証契約に関する記述として誤っているものはどれか。

  1. 1収納口座については、一定の方式で管理業者が保証契約を締結しなければならない場合がある
  2. 2収納・保管口座(ハ方式)で管理する場合は、保証契約の締結は不要である
  3. 3保管口座に移し替えられ管理組合等名義で保管された資金についても、別途保証契約が必要である
  4. 4保証契約は、管理業者が収納した修繕積立金等を持ち逃げした場合等に備えるためのものである
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正解:3. 保管口座に移し替えられ管理組合等名義で保管された資金についても、別途保証契約が必要である

保証契約は、管理業者が収納した修繕積立金等を持ち逃げ等した場合に備えるためのもので、収納口座を用いるイ方式・ロ方式で、原則として1か月分の修繕積立金等金銭の合計額以上について必要となります(施行規則87条3項)。すでに保管口座へ移し替えられ、管理組合等名義で管理業者が勝手に引き出せない形で保管されている資金については、保証契約は不要です。したがって、保管口座の資金についても別途保証契約が必要とする記述が誤りです。収納口座で保証契約が必要となり得ること、収納・保管口座(ハ方式)では保証契約が不要であること、保証契約の趣旨に関する記述は正しい内容です。

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