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建物・設備と維持保全

長期修繕計画と大規模修繕の違い

マンションを長く良好に維持するには、将来の修繕を計画する「長期修繕計画」と、その計画に沿って実際に行う「大規模修繕工事」の両輪が必要です。前者は概ね30年以上を見通す計画書、後者は外壁や屋上防水などを一斉に直す具体的工事です。「紙の上の計画か、実際の工事か」で区別しましょう。

比較表で見る違い

観点長期修繕計画大規模修繕
性格将来の修繕時期・費用を見通す計画(書面)計画に基づき実際に行う大がかりな修繕工事
対象期間・周期新築は30年以上、既存は25年以上を計画期間とするのが目安一般に12〜15年程度の周期で実施されることが多い
見直し概ね5年程度ごとに調査・診断を踏まえて見直すのが望ましい工事ごとに劣化診断・設計・施工を個別に実施
主な内容推定修繕工事項目・周期・概算費用・積立金額の設定外壁補修・屋上防水・鉄部塗装・給排水管更生など
総会の決議計画の作成・変更は普通決議で足りることが多い通常の修繕は普通決議、形状等を著しく変える場合は特別決議

それぞれの詳しい解説

A長期修繕計画

長期修繕計画は、推定される修繕工事の項目・時期・概算費用を見通し、これに対応する修繕積立金の額を設定するための計画です。国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインでは、新築マンションは30年以上、既存マンションは25年以上の計画期間を確保し、概ね5年程度ごとに調査・診断を行って見直すことが望ましいとされています。計画自体は工事ではなく、資金計画と一体で管理組合の合意形成の土台となります。

  • 将来の修繕時期・費用を見通す書面上の計画

  • 計画期間は新築30年以上・既存25年以上が目安

  • 概ね5年ごとに見直すことが望ましい

  • 修繕積立金の額の根拠となる

B大規模修繕

大規模修繕は、長期修繕計画に基づき、外壁の補修・塗装、屋上やバルコニーの防水、鉄部塗装、給排水管の更生・更新などを一斉に行う大がかりな工事です。一般に12〜15年程度の周期で実施されます。建物の形状や効用を著しく変えずに行う通常の修繕は普通決議で実施できますが、共用部分の形状や効用を著しく変更する場合には区分所有法上の特別決議(区分所有者および議決権の各4分の3以上)が必要になります。

  • 計画に基づき実際に行う大規模な修繕工事

  • 一般に12〜15年程度の周期で実施されることが多い

  • 工事ごとに劣化診断・設計・施工を行う

  • 形状・効用を著しく変える変更は特別決議が必要

試験対策のポイント

長期修繕計画は「30年を見通す紙の計画(5年で見直し)」、大規模修繕は「12〜15年周期の実工事」。計画と工事を取り違えないこと、変更を伴う工事は特別決議になる点が要注意です。

理解度チェック(2問)

Q1. 長期修繕計画作成ガイドライン等を踏まえた長期修繕計画に関する記述として正しいものはどれか。

  1. 1長期修繕計画の計画期間は、新築マンションでは10年程度あれば十分とされている
  2. 2長期修繕計画は一度作成すれば見直す必要はない
  3. 3長期修繕計画は、推定修繕工事の項目・周期・概算費用を見通し、修繕積立金の額の根拠とする計画である
  4. 4長期修繕計画は実際の修繕工事そのものを指す
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正解:3. 長期修繕計画は、推定修繕工事の項目・周期・概算費用を見通し、修繕積立金の額の根拠とする計画である

長期修繕計画は、推定される修繕工事の項目・周期・概算費用を見通し、これに対応する修繕積立金の額を設定するための計画です。国土交通省のガイドラインでは、新築は30年以上、既存は25年以上の計画期間を確保し、概ね5年程度ごとに調査・診断を踏まえて見直すことが望ましいとされています。10年程度で十分とする記述や見直し不要とする記述は誤りであり、また計画は工事そのものではなく将来の修繕を見通す書面である点で、実際の修繕工事を指すとする記述も誤りです。

Q2. 大規模修繕工事と区分所有法上の決議に関する記述として最も適切なものはどれか。

  1. 1建物の形状や効用を著しく変えない通常の大規模修繕は、普通決議で行うことができる
  2. 2どのような大規模修繕であっても、必ず区分所有者および議決権の各4分の3以上の特別決議が必要である
  3. 3大規模修繕は管理者が単独で決定でき、総会の決議は一切不要である
  4. 4共用部分の形状を著しく変更する工事であっても、普通決議で実施できる
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正解:1. 建物の形状や効用を著しく変えない通常の大規模修繕は、普通決議で行うことができる

区分所有法では、共用部分の変更のうちその形状または効用の著しい変更を伴わないもの(軽微変更)は普通決議で行うことができ、外壁補修や防水のように形状等を大きく変えない通常の大規模修繕はこれに当たるため普通決議で実施できます。一方、共用部分の形状や効用を著しく変更する場合には、区分所有者および議決権の各4分の3以上の特別決議が必要です。すべての大規模修繕に特別決議が必要とする記述や、形状を著しく変える工事を普通決議でできるとする記述は誤りで、管理者が単独で決められるわけでもありません。

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