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労災・雇用関連

一般被保険者と高年齢被保険者の違い

雇用保険の被保険者は一般被保険者・高年齢被保険者・短期雇用特例被保険者・日雇労働被保険者の4種類に区分されます(雇保法60条の2等)。社労士試験では特に65歳到達による一般被保険者から高年齢被保険者への切り替え、求職者給付の名称・支給形態の違いが頻繁に問われます。一般被保険者は離職時に基本手当(所定給付日数90〜360日)を受給できる一方、高年齢被保険者は高年齢求職者給付金(30日分または50日分の一時金)を受給します。本記事では年齢要件・給付・保険料を整理します。

比較表で見る違い

観点一般被保険者高年齢被保険者
年齢要件65歳未満65歳以上
根拠条文雇保法6条雇保法37条の2
求職者給付の名称基本手当高年齢求職者給付金
給付形態日々支給(4週間ごと認定)一時金
給付日数所定給付日数90〜360日被保険者期間1年未満:30日分、1年以上:50日分
受給要件離職前2年に被保険者期間12か月以上離職前1年に被保険者期間6か月以上
受給期間原則1年離職翌日から1年
保険料労働者0.55%・事業主0.9%(2025年度・一般事業)労働者0.55%・事業主0.9%(2025年度・一般事業)

それぞれの詳しい解説

A一般被保険者

雇用保険法6条に基づく被保険者で、65歳未満の常用的雇用者が原則対象です。週所定労働時間20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがあれば適用されます。離職した場合、離職日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上(特定受給資格者・特定理由離職者は1年間に6か月以上)あれば基本手当の受給資格を得て、所定給付日数90日〜360日の範囲で支給されます。給付は4週間に1回の失業認定により日々支給され、受給期間は原則離職翌日から1年です。なお、2025年4月施行改正により自己都合離職の給付制限期間は原則1か月(5年以内に2回まで、3回目以降は3か月)となりました。教育訓練を受講する場合は給付制限が解除されます。雇用保険料率は2025年度で一般事業1.45%(労働者0.55%+事業主0.90%、事業主負担には雇用保険二事業分を含む)です。

  • 65歳未満が対象

  • 基本手当(日々支給)

  • 所定給付日数90〜360日

B高年齢被保険者

雇用保険法37条の2に基づく被保険者で、65歳以上で雇用される者が対象です。65歳未満から雇用継続している者は65歳到達時に一般被保険者から自動的に高年齢被保険者に切り替わります。2017年1月から適用範囲が拡大され、65歳以降の新規雇用も対象となりました。離職した場合、離職日以前1年間に被保険者期間が通算6か月以上あれば高年齢求職者給付金の受給資格を得ます。給付は基本手当日額相当額×30日分(被保険者期間1年未満)または50日分(1年以上)の一時金で、年金との併給が可能です。受給期間は離職翌日から1年で、その期間内に求職申込みと失業認定を受ければ支給されます。なお、2022年1月から「複数事業労働者の特例(マルチジョブホルダー制度)」が施行され、2つの事業所の労働時間を合算して20時間以上となる65歳以上の労働者は、本人申出により特例高年齢被保険者として加入できます。

  • 65歳以上が対象

  • 高年齢求職者給付金(一時金)

  • 年金との併給可

試験対策のポイント

「65歳が境目」で覚える。一般は基本手当(日数勝負)、高年齢は一時金(30日 or 50日)で年金と併給可。被保険者期間要件も12か月→6か月と緩和。

理解度チェック(3問)

Q1. 雇用保険の高年齢被保険者に関する記述として正しいものはどれか。

  1. 1高年齢求職者給付金は基本手当と同じく日々支給される。
  2. 2高年齢求職者給付金は被保険者期間1年以上で50日分、1年未満で30日分の一時金として支給される。
  3. 3高年齢被保険者は老齢厚生年金との併給ができない。
  4. 4高年齢被保険者は65歳以降の新規雇用は対象外である。
解答・解説を見る

正解:2. 高年齢求職者給付金は被保険者期間1年以上で50日分、1年未満で30日分の一時金として支給される。

雇保法37条の4により、高年齢求職者給付金は基本手当日額相当額の30日分(被保険者期間1年未満)または50日分(1年以上)の一時金として支給される。年金との併給可能。2017年改正で65歳以降の新規雇用も対象。

Q2. 一般被保険者の基本手当の受給要件として正しいものはどれか。

  1. 1離職日以前1年間に被保険者期間が通算6か月以上あること。
  2. 2離職日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上あること(特定受給資格者等を除く)。
  3. 3離職日以前3年間に被保険者期間が通算24か月以上あること。
  4. 4離職日に65歳未満で被保険者期間が1年以上あること。
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正解:2. 離職日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上あること(特定受給資格者等を除く)。

雇保法13条により、一般被保険者の基本手当は離職前2年間に被保険者期間(賃金支払基礎日数11日以上または賃金支払時間80時間以上の月)が通算12か月以上あることが要件(特定受給資格者・特定理由離職者は1年に6か月以上)。

Q3. マルチジョブホルダー制度に関する記述として正しいものはどれか。

  1. 140歳以上の労働者が複数事業所で働く場合に適用される。
  2. 265歳以上の労働者が2つの事業所で合計週20時間以上働く場合に本人申出により加入できる。
  3. 3事業主からの届出により自動的に加入する。
  4. 4一般被保険者にも適用される。
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正解:2. 65歳以上の労働者が2つの事業所で合計週20時間以上働く場合に本人申出により加入できる。

2022年1月施行の特例高年齢被保険者制度(マルチジョブホルダー制度)は、65歳以上で2事業所合計の労働時間が週20時間以上(各5時間以上)となる者が本人申出により加入する制度。

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