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労災・雇用関連

特定受給資格者と特定理由離職者の違い

雇用保険の基本手当を受給する離職者は「一般の離職者」「特定受給資格者」「特定理由離職者」に区分され、所定給付日数や被保険者期間要件が異なります。特定受給資格者は倒産・解雇等会社都合の離職者で、所定給付日数が手厚く設定されています。特定理由離職者は有期雇用の雇止めや正当な理由のある自己都合離職者で、被保険者期間要件は緩和されますが所定給付日数の優遇は限定的です。社労士試験では離職理由の具体例や所定給付日数の差異が頻出です。本記事では雇保法23条・13条2項を中心に整理します。

比較表で見る違い

観点特定受給資格者特定理由離職者
根拠条文雇保法23条2項雇保法13条3項
主な離職理由倒産・解雇・退職勧奨等雇止め(特定理由Ⅰ)/正当な自己都合(Ⅱ)
受給要件離職前1年に被保険者期間6か月以上離職前1年に被保険者期間6か月以上
所定給付日数90〜330日(年齢・被保険者期間で変動)原則一般と同じ/特定理由Ⅰは特定受給資格者と同じ(暫定)
給付制限なしなし
国保軽減措置対象(前年所得を30/100とみなす)対象(特定理由Ⅰのみ)
受給期間延長通常通り通常通り
個別延長給付対象になり得る対象になり得る

それぞれの詳しい解説

A特定受給資格者

雇用保険法23条2項に定める、倒産・解雇等の事業主都合により離職を余儀なくされた者をいいます。具体的には事業所の倒産・廃止、大量雇用変動による離職、解雇(重責解雇を除く)、退職勧奨、賃金未払い・大幅減額、過度の時間外労働、ハラスメント等が含まれます。受給要件は離職日以前1年間に被保険者期間が通算6か月以上で、一般の離職者(2年に12か月)より緩和されます。所定給付日数は離職時年齢と被保険者期間に応じて90日〜330日と手厚く、最高は45歳以上60歳未満・被保険者期間20年以上で330日(35歳以上45歳未満・20年以上は270日、60歳以上65歳未満・20年以上は240日)まで支給されます。給付制限期間(自己都合の1か月)は適用されず、待期7日間経過後すぐに基本手当が支給されます。国民健康保険料は前年所得を30/100に軽減する措置の対象です。

  • 倒産・解雇等が対象

  • 所定給付日数最大330日

  • 給付制限なし+国保軽減対象

B特定理由離職者

雇用保険法13条3項に定める、特定受給資格者以外で正当な理由のある自己都合離職者をいいます。「特定理由離職者Ⅰ」は有期労働契約が更新されないことにより離職した者(雇止め)で、暫定措置として特定受給資格者と同じ所定給付日数(90〜330日)が適用されます(2027年3月末まで)。「特定理由離職者Ⅱ」は体力の不足・心身の障害、妊娠・出産・育児、家族の介護、配偶者の転勤等、本人または家族の事情による正当な理由のある自己都合離職者で、所定給付日数は一般の離職者と同じ(90〜150日)です。受給要件は両者とも離職前1年間に被保険者期間6か月以上に緩和され、給付制限期間(自己都合1か月)は適用されません。国民健康保険料の軽減措置は特定理由離職者Ⅰのみが対象です。

  • 雇止め(Ⅰ)と正当自己都合(Ⅱ)

  • Ⅰは暫定で特定受給資格者と同日数

  • 給付制限なし

試験対策のポイント

「特定受給は会社都合、特定理由は雇止め+正当な自己都合」と覚える。所定給付日数は特定受給と特定理由Ⅰが同じ(暫定)、特定理由Ⅱは一般と同じ。給付制限はどちらもなし。

理解度チェック(3問)

Q1. 特定受給資格者と特定理由離職者の違いに関する記述として正しいものはどれか。

  1. 1特定受給資格者は給付制限期間1か月が適用される。
  2. 2特定理由離職者Ⅰ(雇止め)は暫定措置として特定受給資格者と同じ所定給付日数が適用される。
  3. 3特定理由離職者Ⅱは特定受給資格者より所定給付日数が長い。
  4. 4両者とも被保険者期間要件は2年で12か月である。
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正解:2. 特定理由離職者Ⅰ(雇止め)は暫定措置として特定受給資格者と同じ所定給付日数が適用される。

特定理由離職者Ⅰ(雇止め)は暫定措置として2027年3月末までは特定受給資格者と同じ所定給付日数(最大330日)が適用される。両者とも給付制限なし、被保険者期間要件は1年に6か月。

Q2. 次のうち特定受給資格者に該当するものはどれか。

  1. 1配偶者の転勤に伴って通勤困難となり離職した者
  2. 2事業所の倒産により離職した者
  3. 3体力不足を理由に自己都合退職した者
  4. 4結婚を機に自発的に退職した者
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正解:2. 事業所の倒産により離職した者

事業所の倒産は雇保法23条2項の特定受給資格者の典型例。配偶者転勤・体力不足は特定理由離職者Ⅱ、結婚退職は一般の自己都合離職。

Q3. 特定受給資格者の所定給付日数として正しいものはどれか(離職時45歳以上60歳未満、被保険者期間20年以上)。

  1. 1180日
  2. 2240日
  3. 3330日
  4. 4360日
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正解:3. 330日

雇保法22条・23条により、特定受給資格者で離職時45歳以上60歳未満・被保険者期間20年以上の場合の所定給付日数は330日(最大)。一般の離職者は150日。

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