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健康保険・年金

遺族基礎年金と遺族厚生年金の違い

遺族給付は被保険者等の死亡時に遺族の生活を保障する制度ですが、対象遺族の範囲が大きく異なります。遺族基礎年金は国民年金法37条以下に基づき「子のある配偶者」または「子」のみが対象で、子が18歳年度末(障害1・2級は20歳)に達するまでの限定給付です。遺族厚生年金は厚生年金保険法58条以下を根拠とし、配偶者・子・父母・孫・祖父母まで広く対象とし、中高齢寡婦加算など独自の加算制度を持ちます。短期要件と長期要件の区別、300月みなし計算、生計維持要件の年収850万円基準など、社労士試験では論点が豊富です。

比較表で見る違い

観点遺族基礎年金遺族厚生年金
根拠法国民年金法37条厚生年金保険法58条
対象遺族子のある配偶者・子配偶者・子・父母・孫・祖父母(順位制)
子の年齢要件18歳年度末・障害1・2級は20歳未満同左
年金額基本額813,700円+子の加算報酬比例×3/4(短期要件は300月みなし)
中高齢寡婦加算なしあり(40〜65歳の妻に610,300円)
寡婦年金との関係別制度(第1号独自給付)直接関係なし
夫の年齢要件なし(子のある夫も対象)55歳以上(支給開始は60歳から)
生計維持要件年収850万円未満等同左

それぞれの詳しい解説

A遺族基礎年金

国民年金法37条により、被保険者または被保険者であった者で老齢基礎年金の受給資格期間25年以上を満たす者等が死亡した場合、その者により生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」に支給されます。子は18歳年度末までの未婚の子(障害等級1・2級は20歳未満)に限られ、子が要件を欠くと配偶者の受給権も消滅します。2025年度の年金額は基本額813,700円に、子の加算(第1・2子各234,800円、第3子以降78,300円)が加わります。配偶者が受給する場合は基本額が支給され、子のみが受給する場合は1人目の子が基本額分を受け、加算は2人目以降に加わります。保険料納付要件は障害基礎年金と同様に3分の2要件または直近1年要件です。2014年4月から父子家庭にも支給対象が拡大されました。

  • 対象は「子のある配偶者」または「子」のみ

  • 基本額813,700円+子の加算

  • 父子家庭も対象(2014年4月〜)

B遺族厚生年金

厚生年金保険法58条により、(1)被保険者の死亡、(2)被保険者であった者が資格喪失後に被保険者期間中の傷病で初診日から5年以内に死亡、(3)障害厚生年金1・2級受給権者の死亡(短期要件)、または(4)老齢厚生年金の受給資格期間25年以上を満たす者の死亡(長期要件)の際に支給されます。遺族の順位は配偶者・子>父母>孫>祖父母で、夫・父母・祖父母は55歳以上に限り受給権者となり支給は60歳から開始されます。年金額は報酬比例×3/4で、短期要件の場合は被保険者期間300月未満でも300月とみなして算定されます。子のない40歳以上65歳未満の妻、または子が要件を欠いて遺族基礎年金が支給されなくなった40〜65歳の妻には中高齢寡婦加算610,300円(2025年度・老齢基礎年金満額×3/4)が加算されます。

  • 短期要件は300月みなし計算

  • 報酬比例×3/4

  • 中高齢寡婦加算610,300円(40〜65歳の妻)

試験対策のポイント

「基礎は子のある配偶者と子のみ・厚生は遺族範囲が広い」。年金額は基礎が定額+加算、厚生が報酬比例×3/4。短期要件300月みなしと中高齢寡婦加算は厚生独自と押さえます。

理解度チェック(3問)

Q1. 遺族基礎年金の受給対象者として正しいものはどれか。

  1. 1子のない配偶者
  2. 2子のある配偶者または子
  3. 3父母・祖父母を含む全遺族
  4. 4兄弟姉妹
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正解:2. 子のある配偶者または子

遺族基礎年金の対象は「子のある配偶者」または「子」のみです。父母・祖父母・兄弟姉妹は対象外で、これらは遺族厚生年金の対象遺族(兄弟姉妹は除く)に含まれます。

Q2. 遺族厚生年金の中高齢寡婦加算の支給対象として正しいものはどれか。

  1. 120歳以上40歳未満の妻
  2. 240歳以上65歳未満の妻
  3. 365歳以上の妻
  4. 4夫を含むすべての配偶者
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正解:2. 40歳以上65歳未満の妻

中高齢寡婦加算は、夫の死亡時40歳以上65歳未満で子のない妻、または40歳到達時に遺族基礎年金を受給していた妻が、子の要件喪失後65歳までの間に加算されるものです(妻のみ対象)。

Q3. 遺族厚生年金の短期要件における年金額算定の月数最低保障はどれか。

  1. 1240月
  2. 2300月
  3. 3480月
  4. 4実際の月数のみ
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正解:2. 300月

短期要件(被保険者死亡等)に該当する場合、被保険者期間が300月未満であっても300月とみなして報酬比例部分を計算します。長期要件にはこの最低保障はありません。

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