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健康保険・年金

老齢基礎年金と老齢厚生年金の違い

老齢給付の中核をなす2つの年金は、根拠法・対象者・算定方式が大きく異なります。老齢基礎年金は国民年金法26条以下に定められた全国民共通の1階部分で、保険料納付済期間と免除期間の月数を基に定額計算されます。老齢厚生年金は厚生年金保険法42条以下の2階部分で、報酬比例方式により計算され、加給年金・経過的加算・在職老齢年金など独自論点が豊富です。2017年8月から受給資格期間が25年から10年に短縮され、繰上げ減額率も2022年4月から月0.4%に変更されました。両者の差異を体系的に整理します。

比較表で見る違い

観点老齢基礎年金老齢厚生年金
根拠法国民年金法26条厚生年金保険法42条
対象者国民年金被保険者全員厚生年金被保険者期間を有する者
受給開始年齢原則65歳原則65歳(特別支給は段階的に廃止)
受給資格期間10年(2017年8月〜)1月以上+老齢基礎年金の受給資格
年金額の算定満額813,700円×納付月数/480(2025年度)平均標準報酬額×5.481/1000×加入月数(本来水準)
加給年金なし(振替加算は対象)あり(要件:240月以上+扶養家族)
在職老齢年金対象外(全額支給)対象(基本月額+総報酬月額相当額の合計51万円超で調整)
繰上げ・繰下げ60〜75歳(減額0.4%/月、増額0.7%/月)同左(一部例外あり)

それぞれの詳しい解説

A老齢基礎年金

国民年金法26条により、保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した受給資格期間が10年(120月)以上ある者が、原則65歳から受給できます(2017年8月1日施行)。年金額は2025年度の満額813,700円を基準に、納付済月数を480月で除して比例計算します。免除期間は全額免除2分の1、4分の3免除8分の5、半額免除8分の6、4分の1免除8分の7(2009年4月以降の国庫負担2分の1反映後)として算入されます。繰上げ請求は60歳から可能で2022年4月以降の請求者は月0.4%減額、繰下げ請求は66歳から75歳まで可能で月0.7%増額(最大84%)となります。20歳前傷病による障害基礎年金受給歴がある場合の振替加算等の付加的給付もあります。

  • 満額813,700円(2025年度)

  • 受給資格期間10年(2017年8月〜)

  • 繰上げ減額率0.4%/月(2022年4月〜)

B老齢厚生年金

厚生年金保険法42条により、老齢基礎年金の受給資格期間を満たし、かつ厚生年金被保険者期間が1月以上ある者が、原則65歳から受給できます。報酬比例部分は「平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の被保険者期間月数」+「平均標準報酬月額×7.125/1000×2003年3月以前の月数」で算定されます(本来水準)。被保険者期間20年(240月)以上で、生計維持される65歳未満の配偶者または18歳年度末までの子がいる場合、加給年金額が加算されます。65歳以後の在職老齢年金は2024年4月から支給停止調整額が51万円となり、基本月額と総報酬月額相当額の合計が51万円を超える場合、超過額の2分の1が支給停止されます。経過的加算(差額加算)により、20歳前・60歳以後の厚年加入期間相当の老齢基礎年金不足分が補填されます。

  • 報酬比例:平均標準報酬額×5.481/1000×月数

  • 加給年金:240月以上+扶養家族

  • 在職老齢年金51万円基準(2024年4月〜)

試験対策のポイント

「基礎は定額・厚生は報酬比例」。受給資格期間は基礎10年で完結、厚生は1月でOK(基礎の資格があれば)。在職老齢・加給年金は厚生のみと押さえます。

理解度チェック(3問)

Q1. 老齢基礎年金の受給資格期間として正しいものはどれか。

  1. 15年
  2. 210年
  3. 320年
  4. 425年
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正解:2. 10年

2017年8月1日施行の改正で、受給資格期間は25年から10年に短縮されました。保険料納付済期間と免除期間の合計で判定します。

Q2. 2024年4月以降の在職老齢年金の支給停止調整額として正しいものはどれか。

  1. 128万円
  2. 247万円
  3. 350万円
  4. 451万円
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正解:4. 51万円

2024年4月から在職老齢年金の支給停止調整額は51万円に引き上げられました。基本月額+総報酬月額相当額が51万円を超える場合、超過額の2分の1が支給停止されます。

Q3. 老齢厚生年金の加給年金額の加算要件として正しいものはどれか。

  1. 1被保険者期間120月以上
  2. 2被保険者期間240月以上+生計維持される65歳未満の配偶者または子
  3. 3被保険者期間300月以上
  4. 4受給権者が60歳以上
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正解:2. 被保険者期間240月以上+生計維持される65歳未満の配偶者または子

加給年金額は厚生年金被保険者期間が原則240月以上で、生計維持される65歳未満の配偶者または18歳年度末までの子(障害等級1・2級は20歳未満)がいる場合に加算されます。

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