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労働基準法・労働関係

労基法26条休業手当と労災休業補償給付の違い

労働者が休業する場合の経済的補償として、労基法26条の休業手当と労災保険法の休業補償給付の二つが存在します。両者はいずれも休業中の所得保障ですが、支給要件・支給率・財源・支給期間がまったく異なります。労基法26条は「使用者の責めに帰すべき事由による休業」(経営障害等)の場合に使用者が平均賃金の60%以上を支払う制度。労災休業補償給付は業務上の傷病による療養のための休業に対し、政府が給付基礎日額の60%(特別支給金併せ80%)を支給する制度です。社労士試験では給付率・待期期間・併給調整が頻出です。

比較表で見る違い

観点労基法26条休業手当労災休業補償給付
根拠法令労基法26条労災保険法14条
支給原因使用者の責めに帰すべき事由による休業業務上又は通勤による傷病療養のための休業
支給義務者・給付主体使用者政府(労働基準監督署長)
給付率平均賃金の60%以上給付基礎日額の60%+特別支給金20%=計80%
待期期間なし(休業初日から)3日間(4日目から支給)
支給期間休業期間中(事由が続く限り)療養のため労働できない期間(上限なし)
財源使用者の自己負担労災保険料(全額事業主負担)
社会保険料労働者負担分は控除対象休業補償給付は非課税・社会保険料賦課対象外

それぞれの詳しい解説

A労基法26条休業手当

労基法26条は「使用者の責めに帰すべき事由による休業の場合」、使用者は休業期間中労働者に平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならないと規定します。「使用者の責めに帰すべき事由」は民法536条2項より広く、経営障害・原材料不足・親工場の経営難等使用者側の経営上の原因が含まれます(昭和23.6.11基収1998号)。違反すると6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金(119条)。平均賃金は労基法12条で算定し、3か月間の総賃金÷総日数で計算します。

  • 使用者の責めに帰すべき事由が要件

  • 平均賃金の60%以上を使用者が支払う

  • 経営障害・原材料不足等が含まれる広い概念

  • 違反は6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金

B労災休業補償給付

労災保険法14条による休業補償給付は、業務上の傷病による療養のため労働できず、賃金を受けない日の4日目から支給されます。給付率は給付基礎日額(原則平均賃金)の60%、これに労働福祉事業として休業特別支給金20%が加算され実質80%が支給されます。最初の3日間(待期期間)は労基法76条により使用者が休業補償(平均賃金60%)を支払う義務があります。通勤災害の場合は休業給付として同条件で支給。療養のため労働できない限り支給期間に上限はなく、傷病補償年金への切替後は支給停止されます。

  • 業務上傷病による療養休業が要件

  • 給付基礎日額60%+特別支給金20%=80%

  • 待期3日間は使用者が労基法76条休業補償

  • 通勤災害の場合は休業給付として同条件

試験対策のポイント

労基法26条は経営障害等で「使用者責任」、労災休業補償は業務上傷病で「保険給付」。要件・給付率・財源で峻別しましょう。

理解度チェック(3問)

Q1. 労基法26条の休業手当の給付率として正しいものはどれか。

  1. 1平均賃金の40%以上
  2. 2平均賃金の60%以上
  3. 3平均賃金の80%以上
  4. 4平均賃金の100%
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正解:2. 平均賃金の60%以上

労基法26条は使用者の責めに帰すべき事由による休業の場合、平均賃金の100分の60以上の手当支払義務を定めます。労災休業補償給付の給付基礎日額60%+特別支給金20%=80%と混同しやすい論点です。社労士試験では数値の正確な記憶が問われます。

Q2. 労災休業補償給付の待期期間に関する記述として正しいものはどれか。

  1. 1待期はなく休業初日から支給される
  2. 2待期3日間で4日目から支給され、3日間は使用者が休業補償する
  3. 3待期7日間で8日目から支給される
  4. 4待期は労働者の選択により0〜7日間で設定可
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正解:2. 待期3日間で4日目から支給され、3日間は使用者が休業補償する

労災休業補償給付は労災保険法14条により待期3日間を経た4日目から支給されます。待期期間中の3日間は労基法76条により使用者が平均賃金の60%以上の休業補償を支払う義務があります。通勤災害の休業給付では待期3日間の使用者補償義務はありません(重要な相違点)。

Q3. 労基法26条の「使用者の責めに帰すべき事由」に該当しないものはどれか。

  1. 1親工場の経営難による下請工場の操業停止
  2. 2原材料不足による休業
  3. 3天災事変による事業場の損壊
  4. 4機械の検査による休業
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正解:3. 天災事変による事業場の損壊

天災事変等の不可抗力は「使用者の責めに帰すべき事由」に該当せず、休業手当の支払義務は生じません(昭和23.6.11基収1998号)。親工場の経営難・原材料不足・機械の検査等は使用者側の経営上の事由として含まれます。民法536条2項より広い概念であることが社労士試験頻出論点です。

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