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健康保険・年金

任意継続被保険者と特例退職被保険者の違い

健康保険の被保険者資格を喪失した後も、引き続き同じ保険者の保険給付を受けられる制度として、任意継続被保険者(健保法3条4項)と特例退職被保険者(健保法附則3条)があります。前者はすべての健康保険被保険者が対象となる一般制度で加入期間は最長2年、後者は厚生労働大臣の認可を受けた「特定健康保険組合」の組合員のみが対象で75歳まで加入可能な特例制度です。保険料の算定方式や傷病手当金等の給付範囲にも差があり、社労士試験ではこれらの相違点が頻出します。本記事では両制度を体系的に比較します。

比較表で見る違い

観点任意継続被保険者特例退職被保険者
根拠条文健保法3条4項健保法附則3条
保険者すべての健康保険組合・協会けんぽ特定健康保険組合のみ
加入要件資格喪失日前2か月以上の被保険者期間組合員期間20年以上または40歳以後10年以上等
申出期限資格喪失日から20日以内老齢厚生年金等の受給権取得から3か月以内
加入期間最長2年75歳到達まで(後期高齢者医療制度移行まで)
保険料退職時の標準報酬月額(上限あり)×保険料率(全額自己負担)前年9月の組合平均標準報酬月額×保険料率(全額自己負担)
傷病手当金原則支給されない(資格喪失時継続給付除く)原則支給されない
埋葬料・出産育児一時金支給される支給される

それぞれの詳しい解説

A任意継続被保険者

健康保険法3条4項により、適用事業所に使用されなくなった等の事由で被保険者資格を喪失した者が、資格喪失日前日まで継続して2か月以上の被保険者期間を有する場合に、資格喪失日から20日以内に保険者へ申出することで加入できます。加入期間は最長2年で、保険料は全額自己負担となります。標準報酬月額は退職時の標準報酬月額または当該保険者の前年9月30日における全被保険者の平均標準報酬月額のいずれか低い方が用いられます(協会けんぽは2025年度月額34万円が上限)。2022年1月の改正で本人申出による任意の資格喪失が可能となりました。傷病手当金・出産手当金は原則支給されませんが、資格喪失時の継続給付要件を満たす場合は引き続き受給できます。埋葬料・家族埋葬料・出産育児一時金・家族出産育児一時金は支給されます。

  • 加入期間最長2年

  • 保険料全額自己負担

  • 2022年1月から任意の資格喪失可

B特例退職被保険者

健康保険法附則3条により、厚生労働大臣の認可を受けた「特定健康保険組合」(特退組合)の被保険者であった者で、(1)組合員期間20年以上または40歳以後10年以上、(2)老齢厚生年金等の受給権者であること、(3)後期高齢者医療制度の被保険者でないこと、を満たす者が老齢厚生年金等の受給権取得日から3か月以内に申出して加入します。加入期間は75歳到達日(後期高齢者医療制度の被保険者となる日)まで継続でき、退職後の長期にわたる医療保険を確保できる点が大きな特徴です。保険料は当該特定健保組合の前年9月における全被保険者の平均標準報酬月額に保険料率を乗じた額の全額自己負担で、任意継続より高額になることが多くあります。傷病手当金・出産手当金は支給されませんが、その他の保険給付は通常の被保険者と同様に受けられます。

  • 特定健康保険組合のみ運営

  • 75歳到達まで継続加入可

  • 組合員期間20年以上等の要件

試験対策のポイント

「任継は2年・誰でも、特退は75歳まで・特定組合員のみ」。保険料はいずれも全額自己負担、傷病手当金は原則支給されない点は共通と覚えます。

理解度チェック(3問)

Q1. 任意継続被保険者の加入期間として正しいものはどれか。

  1. 1最長1年
  2. 2最長2年
  3. 3最長5年
  4. 475歳到達まで
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正解:2. 最長2年

任意継続被保険者の加入期間は最長2年です。75歳到達まで加入できるのは特例退職被保険者です。

Q2. 任意継続被保険者の申出期限として正しいものはどれか。

  1. 1資格喪失日から10日以内
  2. 2資格喪失日から20日以内
  3. 3資格喪失日から30日以内
  4. 4資格喪失日から3か月以内
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正解:2. 資格喪失日から20日以内

任意継続被保険者になろうとする者は、被保険者資格喪失日から20日以内に保険者へ申出をしなければなりません(健保法37条1項)。正当な理由があれば期限後でも認められる場合があります。

Q3. 特例退職被保険者制度を運営できる保険者はどれか。

  1. 1すべての健康保険組合
  2. 2協会けんぽ
  3. 3厚生労働大臣の認可を受けた特定健康保険組合
  4. 4国民健康保険組合
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正解:3. 厚生労働大臣の認可を受けた特定健康保険組合

特例退職被保険者制度は、厚生労働大臣の認可を受けた「特定健康保険組合」(特退組合)のみが運営できる制度です(健保法附則3条)。協会けんぽや一般の健保組合では運営できません。

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