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健康保険・年金

傷病手当金と出産手当金の違い

健康保険の所得保障給付として中核をなす2つの手当金は、支給事由が「傷病による労務不能」と「出産前後の労務休業」で異なります。傷病手当金は健康保険法99条、出産手当金は同法102条が根拠で、いずれも標準報酬日額の3分の2が支給されますが、支給期間や調整規定に大きな違いがあります。2022年1月施行改正により傷病手当金の支給期間が「支給開始日から通算1年6ヶ月」へ変更され、出社復帰期間を除外できるようになりました。本記事では両者の差異を体系的に整理し、社労士試験での横断学習を支援します。

比較表で見る違い

観点傷病手当金出産手当金
根拠条文健保法99条健保法102条
支給事由療養のため労務不能出産日以前42日(多胎98日)〜出産後56日の労務休業
待期期間連続3日(4日目から支給)なし
支給期間支給開始日から通算1年6ヶ月(2022年1月〜)産前42日(多胎98日)+産後56日
支給額標準報酬日額(直近12月平均)×2/3同左
報酬との調整報酬支給額が手当金以上で不支給、未満で差額支給同左
出産手当金との調整出産手当金優先(差額のみ傷病手当金)優先(2016年4月〜)
退職後継続給付継続給付要件を満たせばあり同左

それぞれの詳しい解説

A傷病手当金

健康保険法99条により、被保険者が療養のため労務に服することができず、その労務不能日が連続3日継続した後の4日目から支給されます。最初の3日間は「待期期間」として支給されません。2022年1月の改正により支給期間は「支給を開始した日から通算1年6ヶ月」となり、途中で出勤して報酬を受けた期間は除外して通算できるようになりました(旧制度は同一傷病で支給開始日から1年6ヶ月の暦日通算)。1日当たりの支給額は支給開始日以前12か月間の各月の標準報酬月額の平均額を30で除した「標準報酬日額」の3分の2に相当する額(10円未満四捨五入)です。報酬の一部が支払われた場合は差額調整、出産手当金が同時に支給される場合は出産手当金が優先(2016年4月〜)し、傷病手当金は差額のみ支給されます。任意継続被保険者には原則支給されません。

  • 待期3日後の4日目から支給

  • 支給期間:通算1年6ヶ月(2022年1月〜)

  • 標準報酬日額×2/3

B出産手当金

健康保険法102条により、被保険者が出産(妊娠4ヶ月以上の分娩)のため労務に服さなかった期間について、出産日(出産予定日より遅れた場合はその日)以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から出産日後56日までの間で労務に服さなかった日に支給されます。待期期間はなく、休業初日から支給対象となります。1日当たりの支給額は傷病手当金と同様に支給開始日以前12か月間の標準報酬月額の平均を30で除した額の3分の2です。報酬の一部が支払われた場合の調整も同様で、出産手当金額より低い場合は差額が支給されます。資格喪失日の前日まで継続して1年以上の被保険者期間があり、資格喪失時に出産手当金を受けているか受ける条件を満たす者は、退職後も継続して受給できます(健保法104条)。同一期間に傷病手当金の事由が生じた場合、出産手当金が優先されます。

  • 産前42日(多胎98日)+産後56日

  • 待期期間なし

  • 出産手当金は傷病手当金に優先

試験対策のポイント

「傷病は3日待期+通算1年6ヶ月、出産は産前42日(多胎98日)+産後56日で待期なし」。支給額はどちらも標準報酬日額×2/3、出産手当金が優先と整理します。

理解度チェック(3問)

Q1. 2022年1月以降の傷病手当金の支給期間として正しいものはどれか。

  1. 1支給開始日から1年6ヶ月(暦日)
  2. 2支給開始日から通算1年6ヶ月
  3. 3支給開始日から2年
  4. 4支給開始日から通算1年
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正解:2. 支給開始日から通算1年6ヶ月

2022年1月施行の改正により、傷病手当金の支給期間は「支給開始日から通算1年6ヶ月」となり、途中で出勤して報酬を受けた期間は除外して通算できるようになりました。

Q2. 出産手当金の支給対象期間として正しいものはどれか(多胎妊娠でない場合)。

  1. 1出産日以前28日から出産日後42日
  2. 2出産日以前42日から出産日後56日
  3. 3出産日以前56日から出産日後42日
  4. 4出産日以前98日から出産日後56日
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正解:2. 出産日以前42日から出産日後56日

出産手当金は出産日以前42日(多胎妊娠は98日)から出産日後56日までの労務に服さなかった日に支給されます。

Q3. 傷病手当金と出産手当金の支給額(1日あたり)の算定基礎として正しいものはどれか。

  1. 1標準報酬月額×3/4
  2. 2標準報酬日額×1/2
  3. 3標準報酬日額×2/3
  4. 4標準報酬日額×3/4
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正解:3. 標準報酬日額×2/3

いずれも支給開始日以前12か月間の標準報酬月額の平均を30で除した「標準報酬日額」の3分の2が1日当たりの支給額です。

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