問題
不完全競争市場における多くの企業は、標準的な平均費用に一定の比率を乗じた上で価格を設定している。いま、生産費用が労働に対する報酬のみであるとした場合、次の式が成り立つ。 P = (1+m)× WL/Y ここで、Pは価格、mはマークアップ率、Wは労働1単位当たりの名目賃金、Lは雇用量、Yは生産量である。また、ここでは限界生産物が逓減する生産関数を仮定する。 マークアップ率に基づく価格形成に関する説明として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。 a 生産量が増加するにつれて、労働に関する平均生産物が上昇するために価格は下落する。 b 生産量が増加するにつれて、労働に関する平均生産物が低下するために価格は上昇する。 c 需要の価格弾力性が大きい財ほど、マークアップ率を高くし、企業は収入の増加を図る。 d 需要の価格弾力性が大きい財ほど、マークアップ率を低くし、企業は収入の増加を図る。
選択肢
- 1aとc
- 2aとd
- 3bとc
- 4bとd
正解
4. bとd
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解説
価格式 P =(1+m)× WL/Y は、P =(1+m)× W/(Y/L) と書き直せる。ここで Y/L は労働の平均生産物である。 限界生産物が逓減する生産関数のもとでは、Lの増加(≒生産量の増加)に伴って労働の平均生産物 Y/L も低下するため、分母が小さくなり価格Pは上昇する。よって生産量の増加で平均生産物が上昇するとしたaは誤りで、平均生産物が低下するとするbが正しい。 マークアップ率と需要の価格弾力性の関係は、独占企業のラーナー指数 (P−MC)/P = 1/|ε| と等価で、(1+m)=ε/(ε−1) で表される。需要の価格弾力性εが「大きい」ほどマークアップ率mは「小さく」、価格弾力性が小さい(必需品的)ほどマークアップ率は高くなる。これは弾力性が高い財に高マークアップを乗せると需要が逃げて収入が減るためであり、企業は収入最大化のために弾力性に応じてマークアップ率を逆方向に調整する。よってcは誤りでdが正しい。 したがって正しい組み合わせはbとd、すなわちエが正解である。 (出典: 一般社団法人 中小企業診断協会 平成22年度 中小企業診断士1次試験 経済学・経済政策 第7問)
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