問題
内生的経済成長モデル(AKモデル)は次のように定義される。 いま、Y:GDPまたは生産量、K:資本ストック(人的資本や公共資本を含み、資本減耗は考えない)、A:資本の生産効率を示す定数とすれば、生産関数は、 Y = AK であり、これを労働1単位あたりで示せば、 y = Ak になる。ここで、y:労働1単位あたりの生産量、k:資本―労働比率である。 上記の生産関数から生産量の増加率と資本の成長率は同じになる。また、ΔKが投資に等しく、投資は貯蓄sY(s:貯蓄率)と一致することを考慮すれば、 ΔY/Y = ΔK/K = sY/K = sA が得られる。 さらに、労働人口の成長率をnとすれば、 Δy/y = Δk/k = sA − n が成立する。 ここから得られる記述として、最も不適切なものはどれか。
選択肢
- 1sA > n であれば、資本―労働比率と労働1単位あたりの生産量は(sA − n)の比率で永続的に成長する。
- 2政策的に資本の生産効率を高めることができれば、経済成長率も上昇する。
- 3生産関数は収穫逓減の特徴を持ち、長期的に経済成長は安定的な均衡成長の水準に収束する。
- 4貯蓄率が高まれば、経済成長率も上昇する。
正解
3. 生産関数は収穫逓減の特徴を持ち、長期的に経済成長は安定的な均衡成長の水準に収束する。
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解説
最も不適切なのはウである。AK モデル(内生的経済成長モデル)の生産関数 Y = AK は、資本 K に対する限界生産物が一定の A であり「収穫逓減」ではなく「収穫一定(不変)」を仮定する。これは人的資本や知識・公共資本など外部経済を取り込むことで実現される設定で、新古典派ソローモデルが想定する「資本のみの収穫逓減」を否定する点が特徴である。 また、新古典派モデルでは長期に定常状態(均衡成長経路)へ収束するのに対し、AK モデルでは sA − n が正である限り永続的に経済成長率が高水準で維持される(収束しない)。よってウの「収穫逓減」「均衡成長水準に収束する」という記述は AK モデルの特徴と逆である。 アは正しい。ΔY/Y = sA、Δk/k = sA − n より、sA > n なら一人当たり生産量が永続的に(sA − n)の率で成長する。イは正しい。A(資本の生産効率)の上昇は ΔY/Y = sA を直接押し上げるため、経済成長率を上昇させる。これはR&D 補助や人的資本投資など内生的経済成長政策の根拠となる。エは正しい。貯蓄率 s の上昇も成長率 sA を高める(新古典派モデルでは一時的な水準効果に留まるが、AK モデルでは持続的な成長率上昇となる)。 (出典: 一般社団法人 中小企業診断協会 平成23年度 中小企業診断士1次試験 経済学・経済政策 第9問)
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