問題
下図は、労働市場の開放に伴う2国間の労働移動の効果を示したものである。なお、生産要素は労働と資本であり、労働移動が生じた場合でも労働者の国籍は変わらないものとする。ここでMPLは労働の限界生産物を、Wは労働1単位あたりの賃金率を表している。当初、Ⅰ国の労働量はO₁C、Ⅱ国のそれはO₂Cであり、Ⅰ国の賃金率はW₁、Ⅱ国のそれはW₂である。さらに、Ⅰ国の労働の限界生産物はMPL₁、Ⅱ国のそれはMPL₂である。 この図の説明として最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。 a 賃金格差からCDの労働量がⅡ国からⅠ国に移動し、2国間の賃金は均等化(W*₁=W*₂)する。 b 労働移動の結果、Ⅰ国では資本のレンタル所得が三角形AEW*₁に減少し、Ⅱ国では資本のレンタル所得が三角形BEW*₂に増加する。 c 労働移動の結果、Ⅰ国の労働者の賃金所得が増加し、反対にⅡ国の労働者の賃金所得が減少する。 d 労働移動の結果、世界全体で三角形EFGの所得が増加し、そのうち、三角形EFHはⅠ国の国民所得の純増に、三角形EGHはⅡ国の国民所得の純増に等しい。

選択肢
- 1aとc
- 2aとd
- 3bとc
- 4bとd
正解
3. bとc
詳しい解説を見る解説を閉じる
解説
正解はウ(bとc)である。労働開放前、Ⅰ国は労働量 O₁C で賃金 W₁ が低く(労働豊富)、Ⅱ国は労働量 O₂C で賃金 W₂ が高い(労働希少)と読める。市場開放後は労働が低賃金国Ⅰから高賃金国Ⅱへ移動し、Ⅰ国の労働量が CD だけ減って Ⅱ国の労働量が CD だけ増え、E 点で賃金が均等化(W*₁ = W*₂)する。 a は誤り。CD はⅠ国からⅡ国への移動であり、方向が逆である。 b は正しい。Ⅰ国は労働量が減って賃金が上昇するため、資本のレンタル所得(MPL₁ 曲線と W*₁ 線で挟まれる三角形)は三角形 AEW*₁ に「減少」する。Ⅱ国は労働量が増えて賃金が下落するため、資本のレンタル所得(MPL₂ 曲線と W*₂ 線で挟まれる三角形)は三角形 BEW*₂ に「増加」する。 c は正しい。Ⅰ国の労働者(残った労働者)は賃金 W₁ から W*₁ へ上昇するため賃金所得が増加し、Ⅱ国の労働者は賃金 W₂ から W*₂ へ下落するため賃金所得が減少する。 d は誤り。労働者の「国籍」は変わらない設定なので、移動労働者(CD)はⅠ国民のまま、Ⅱ国で生産しても所得はⅠ国民の所得になる。世界全体の所得は三角形 EFG だけ増加するが、その配分は「三角形 EFH がⅡ国の国民(資本)所得の純増、三角形 EGH がⅠ国の国民(移動労働者の追加所得)の純増」となり、dの記述は逆である。 (出典: 一般社団法人 中小企業診断協会 平成23年度 中小企業診断士1次試験 経済学・経済政策 第10問)
中小企業診断士トップ
一問一答・予想問題・まとめノート