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第3章 主な医薬品

酸化マグネシウムと水酸化マグネシウムの違い

酸化マグネシウム(MgO)と水酸化マグネシウム(Mg(OH)₂)はいずれもマグネシウム塩で、制酸薬と緩下薬の両方に用いられます。実は酸化マグネシウムは胃の中で水と反応して水酸化マグネシウムに変化し、さらに胃酸と中和することで作用するため、両者の薬理作用は本質的に近いものです。一方で配合製剤での主用途や濃度、副作用として共通する高マグネシウム血症のリスクなど、試験で問われる細かい違いを理解しておきましょう。

比較表で見る違い

観点酸化マグネシウム水酸化マグネシウム
化学式MgO(酸化物)Mg(OH)₂(水酸化物)
胃内での変化水と反応してMg(OH)₂となり、さらに胃酸を中和するすでに水酸化物の形で、直接胃酸を中和する
主な用途(OTC)緩下剤としての使用が中心、制酸剤にも配合制酸剤としての配合が中心
作用機序(緩下)腸内で炭酸水素塩に変化し浸透圧で水分を引き寄せる同様に浸透圧性の緩下作用を示すが配合量は少なめ
作用機序(制酸)胃酸を中和し胃内pHを上げる胃酸を中和し速やかに制酸効果を発揮
副作用長期・高用量で高マグネシウム血症(特に腎機能低下例)同様に高マグネシウム血症、軟便・下痢
相互作用テトラサイクリン系、ニューキノロン系の吸収低下同様にキレート形成による吸収低下
配合製剤の例マグミット、緩下剤・複合胃腸薬制酸目的の胃腸薬・複合胃酸過多薬

それぞれの詳しい解説

A酸化マグネシウム

酸化マグネシウム(MgO)は白色の粉末で、水と反応して水酸化マグネシウムを生じ、これが胃酸と中和反応を起こします。胃で中和された塩化マグネシウムは腸に達して炭酸水素塩となり、浸透圧によって腸管内に水分を引き寄せ便を軟化させるため、OTCでは便秘薬(緩下剤)としての使用が中心です。腎機能低下例では排泄が遅れ高マグネシウム血症のリスクが高まる点は両者共通の重要事項です。

  • 化学式はMgO(マグネシア)

  • 胃内で水酸化マグネシウムに変化してから作用

  • OTCでは緩下剤としての使用が中心

  • 腎機能低下例で高マグネシウム血症に注意

  • テトラサイクリン系等とのキレート形成で吸収低下

  • 習慣性が少なく長期使用しやすい

B水酸化マグネシウム

水酸化マグネシウム(Mg(OH)₂)はすでに水酸化物の形で存在し、胃酸と直接中和反応を起こすため即効性のある制酸作用を示します。OTCでは制酸目的の胃腸薬に配合されることが多く、緩下剤としても用いられますが、酸化マグネシウムよりも配合量は少なめです。両者ともに過剰摂取や腎機能低下時には高マグネシウム血症(嘔吐・徐脈・血圧低下・意識障害)を起こすおそれがあり、定期的な確認が必要です。

  • 化学式はMg(OH)₂

  • 胃酸を直接中和、即効性のある制酸作用

  • OTCでは制酸薬への配合が中心

  • 緩下作用も併せ持つ

  • 腎機能低下例では高マグネシウム血症のリスク

  • 抗菌薬との併用で吸収低下

試験対策のポイント

「酸化Mgは胃で水酸化Mgに変わって働く=便秘薬が中心」「水酸化Mgはそのまま中和=制酸薬が中心」と用途で覚えると整理しやすく、両者とも腎機能低下で高Mg血症に注意です。

理解度チェック(3問)

Q1. 酸化マグネシウムに関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 1胃内で水と反応して水酸化マグネシウムに変化し、胃酸を中和する。
  2. 2腸内で吸収されず、糞便中にそのまま排泄される。
  3. 3腎機能低下例でも高マグネシウム血症のリスクは少ない。
  4. 4アントラキノン誘導体として大腸を直接刺激する。
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正解:1. 胃内で水と反応して水酸化マグネシウムに変化し、胃酸を中和する。

酸化マグネシウムは胃内で水と反応して水酸化マグネシウムとなり、胃酸を中和します。中和産物の塩化マグネシウムは腸で炭酸水素塩に変化し浸透圧で便を軟化させます。腎機能低下例では排泄遅延により高マグネシウム血症のリスクが高まり、アントラキノン作用は持ちません。

Q2. 水酸化マグネシウムを配合した胃腸薬の使用上の注意として、最も適切なものはどれか。

  1. 1便秘改善が主な目的であり、胃酸過多には効果がない。
  2. 2テトラサイクリン系抗菌薬との併用で抗菌薬の吸収が低下することがある。
  3. 3腎機能低下時にも特別な注意は必要ない。
  4. 4小児の急性下痢に第一選択で用いられる。
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正解:2. テトラサイクリン系抗菌薬との併用で抗菌薬の吸収が低下することがある。

マグネシウム塩はテトラサイクリン系やニューキノロン系抗菌薬とキレートを形成し、抗菌薬の吸収を低下させるおそれがあります。水酸化マグネシウムは胃酸を直接中和して制酸作用を示し、腎機能低下例では高マグネシウム血症に注意が必要で、止瀉薬ではありません。

Q3. マグネシウム塩の副作用に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 1高マグネシウム血症は中枢興奮を起こし不眠の原因となる。
  2. 2高マグネシウム血症の症状として嘔吐・徐脈・血圧低下が挙げられる。
  3. 3腎機能が正常であれば、いくら多量に服用しても安全である。
  4. 4マグネシウム塩は妊婦に対し原則禁忌である。
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正解:2. 高マグネシウム血症の症状として嘔吐・徐脈・血圧低下が挙げられる。

高マグネシウム血症では嘔吐、徐脈、血圧低下、筋力低下、意識障害などが現れます。中枢興奮や不眠は誘発されません。腎機能が正常でも高用量では蓄積するリスクがあり、妊婦には比較的安全とされ原則禁忌ではありません。

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