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第3章 主な医薬品

生薬と漢方処方の違い

第3章後半の生薬・漢方分野は登録販売者試験で必ず出題される重要テーマです。「生薬」とは植物・動物・鉱物などに由来する薬効を持つ天然物そのもの、または簡単な加工品を指し、「漢方処方」は複数の生薬を一定の理論(証や八綱弁証など)に基づいて組み合わせた処方を指します。例えばカンゾウは生薬、葛根湯はカンゾウを含む7種の生薬から構成される漢方処方です。しばり表現や安全性の理解にも違いがあります。

比較表で見る違い

観点生薬漢方処方製剤
定義植物・動物・鉱物等に由来する天然由来の薬効物質複数の生薬を漢方医学の理論に基づき組み合わせた処方
構成基本的に単一素材(カンゾウ、ダイオウ、マオウ等)複数の生薬の配合(例:葛根湯=7生薬)
理論的背景個々の薬効が中心証(虚実・寒熱・表裏)など漢方理論に基づき組み立てられる
代表例カンゾウ、マオウ、ダイオウ、ショウキョウ、ニンジン葛根湯、小青竜湯、麦門冬湯、芍薬甘草湯、防風通聖散
しばり表現通常はしばり表現は付かない「体力中等度以上」「体力虚弱で〜」など体質指標が添付文書に記載
リスク区分第2類・第3類が中心、配合や用量で異なる第2類・第3類が多く、製剤により異なる
副作用・相互作用カンゾウ:偽アルドステロン症、マオウ:交感神経刺激配合生薬の重複(カンゾウ重複等)に注意
使用上の注意個々の生薬の特性を理解して使用体質(証)に合わない使用で効果不十分・副作用増

それぞれの詳しい解説

A生薬

生薬は植物・動物・鉱物などに由来する天然の薬効物質そのもの、または簡単な加工を施したものを指し、日本薬局方にも多数収載されています。カンゾウ(甘草)は抗炎症・鎮痙・グリチルリチン酸を含み、過剰摂取で偽アルドステロン症(浮腫・高血圧・低カリウム血症)を起こすおそれがあります。マオウ(麻黄)はエフェドリンを含み交感神経刺激作用、ダイオウ(大黄)は大腸刺激性下剤として作用します。漢方処方の構成成分としても重要です。

  • 単一の天然由来素材または簡単な加工品

  • カンゾウ:グリチルリチン酸、偽アルドステロン症に注意

  • マオウ:エフェドリン含有、交感神経刺激

  • ダイオウ:アントラキノン系で大腸刺激性下剤

  • ショウキョウ・ケイヒ:健胃・芳香性

  • 漢方処方の構成成分にもなる

B漢方処方製剤

漢方処方は中国医学に由来し、日本で独自に発展した医学体系で、複数の生薬を一定の理論(証)に基づいて組み合わせた処方です。葛根湯はカッコン・マオウ・ケイヒ・シャクヤク・タイソウ・カンゾウ・ショウキョウの7生薬から成り、感冒の初期に用いられます。添付文書には「体力中等度以上のもので、感冒の初期で汗をかいていないもの」のような「しばり表現」が記載され、これにより使用すべき体質を判断します。複数処方の併用時にはカンゾウ等の重複に注意が必要です。

  • 複数の生薬を漢方理論で組み合わせた処方

  • 葛根湯=カッコン+マオウ+ケイヒ等7生薬

  • 添付文書に「しばり表現」が記載される

  • 体質(証)に合った使用が原則

  • 構成生薬の重複(カンゾウ等)に注意

  • 間質性肺炎・肝機能障害の報告がある処方も

試験対策のポイント

「生薬は単独素材、漢方処方は複数生薬の組み合わせ」「漢方処方には体力○○等の『しばり表現』がある」と整理し、カンゾウは生薬・葛根湯は漢方処方という代表例で記憶を固めましょう。

理解度チェック(3問)

Q1. 生薬と漢方処方製剤の関係に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 1葛根湯は単一の生薬であり、カンゾウは漢方処方の名前である。
  2. 2カンゾウは生薬の一つであり、葛根湯はカンゾウを含む複数の生薬からなる漢方処方である。
  3. 3漢方処方は西洋医学的な診断に基づき、症状ごとに使い分ける製剤である。
  4. 4生薬は化学合成されたもののみが医薬品として認められている。
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正解:2. カンゾウは生薬の一つであり、葛根湯はカンゾウを含む複数の生薬からなる漢方処方である。

カンゾウは植物由来の生薬の一つで、葛根湯はカッコン・マオウ・ケイヒ・シャクヤク・タイソウ・カンゾウ・ショウキョウの7生薬を組み合わせた漢方処方です。漢方処方は漢方医学の理論(証)に基づき構成され、生薬は天然由来であり化学合成品ではありません。

Q2. 漢方処方製剤の添付文書に記載される「しばり表現」に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 1配合生薬の名称を列記したものである。
  2. 2使用すべき体質(証)や症状の指標を示すもので、「体力中等度以上」などの記載がある。
  3. 3すべての漢方処方で省略されており、登録販売者の判断で補う。
  4. 4製造販売業者が任意で記載してよいキャッチコピーである。
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正解:2. 使用すべき体質(証)や症状の指標を示すもので、「体力中等度以上」などの記載がある。

漢方処方製剤の添付文書には「体力中等度以上のもので…」「体力虚弱で…」のような『しばり表現』が記載され、その処方が適合する体質や症状の指標を示します。これは漢方医学の証の概念に基づく重要な使い分けの目安で、登録販売者が説明する際の根拠となります。

Q3. カンゾウを含む漢方処方を併用する際の注意として、最も適切なものはどれか。

  1. 1カンゾウは安全性が極めて高く、何剤併用しても問題ない。
  2. 2グリチルリチン酸の重複により偽アルドステロン症(浮腫・高血圧・低カリウム血症)のリスクが高まる。
  3. 3カンゾウは血液凝固を阻害するため、出血傾向に注意する。
  4. 4カンゾウは交感神経興奮作用があり、不眠の原因となる。
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正解:2. グリチルリチン酸の重複により偽アルドステロン症(浮腫・高血圧・低カリウム血症)のリスクが高まる。

カンゾウに含まれるグリチルリチン酸は、過剰摂取により偽アルドステロン症(浮腫・血圧上昇・低カリウム血症)を起こすおそれがあります。多くの漢方処方やかぜ薬等にカンゾウが配合されているため併用時の重複に注意が必要です。交感神経刺激はマオウの作用で、カンゾウに血液凝固阻害作用はありません。

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