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株式会社の組織と運営

取締役と監査役の違い

株式会社のガバナンスは「業務執行」と「監査」の分離を基本とする。取締役は会社の業務を執行・決定し、監査役はその職務執行が適法・適正かをチェックする。両者とも株主総会で選任される役員だが、果たす機能・任期・責任の負い方が大きく異なる。機関設計の組み合わせとあわせて両者の役割分担を理解することが2級では問われる。

比較表で見る違い

観点取締役監査役
基本的役割会社の業務執行・意思決定取締役の職務執行の監査
権限業務執行権・代表権(代表取締役)業務監査・会計監査、報告徴収・調査権
任期(原則)原則2年(非公開会社は最長10年に伸長可)原則4年(短縮不可、非公開会社は最長10年)
兼任使用人を兼ねることが可能会社・子会社の取締役・使用人を兼任できない
主な対会社責任善管注意義務・忠実義務に基づく任務懈怠責任監査に関する任務懈怠責任

それぞれの詳しい解説

A取締役

取締役は株主総会で選任され、会社に対して善管注意義務および忠実義務を負って業務執行に関する意思決定を担う役員である。取締役会設置会社では取締役会の構成員として重要な業務執行を決定し、代表取締役が対外的な代表権を持つ。競業取引・利益相反取引には取締役会等の承認が必要であり、任務を怠って会社に損害を与えれば任務懈怠責任を負う。任期は原則2年だが、非公開会社では定款で最長10年まで伸長できる。

  • 善管注意義務・忠実義務を負う

  • 競業取引・利益相反取引には承認が必要

  • 任期は原則2年(非公開会社は最長10年)

  • 使用人(従業員)を兼ねる使用人兼務取締役が認められる

B監査役

監査役は株主総会で選任され、取締役の職務執行を監査する役員である。原則として業務監査と会計監査の双方を担い(非公開会社では定款で会計監査に限定可能)、いつでも取締役等に事業の報告を求め、会社の業務・財産の状況を調査できる。独立性を確保するため、会社・子会社の取締役や使用人を兼任できない点が大きな特徴である。任期は原則4年で、独立性確保の観点から短縮は認められない。

  • 取締役の職務執行を監査する(業務監査・会計監査)

  • 独立性確保のため会社・子会社の取締役・使用人を兼任不可

  • 取締役・使用人等への報告徴収権・業務財産調査権を持つ

  • 任期は原則4年で短縮できない(非公開会社は最長10年)

試験対策のポイント

取締役は「攻め(業務執行)」、監査役は「守り(監査)」。任期は取締役2年・監査役4年、監査役は独立性確保のため兼任禁止と短縮不可がポイント。

理解度チェック(3問)

Q1. 監査役の独立性に関する次の記述のうち、会社法上正しいものはどれか。

  1. 1監査役は当該会社の取締役を兼任できる
  2. 2監査役は当該会社の子会社の使用人を兼任できる
  3. 3監査役は当該会社およびその子会社の取締役・使用人を兼任できない
  4. 4監査役は親会社の取締役のみ兼任できない
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正解:3. 監査役は当該会社およびその子会社の取締役・使用人を兼任できない

監査役は取締役の職務執行を監査する立場であり、被監査者と一体化すると監査の実効性が失われる。そのため会社法335条2項は、監査役は会社およびその子会社の取締役・支配人その他の使用人、または子会社の会計参与・執行役を兼ねることができないと定め、独立性を制度的に担保している。当該会社の取締役や子会社の使用人を兼ねることはできない。したがって、会社およびその子会社の取締役・使用人を兼任できないとする記述が正しい。

Q2. 取締役と監査役の任期に関する次の記述のうち、公開会社における原則として正しいものはどれか。

  1. 1取締役・監査役ともに原則4年である
  2. 2取締役は原則2年、監査役は原則4年である
  3. 3取締役は原則4年、監査役は原則2年である
  4. 4取締役・監査役ともに原則2年である
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正解:2. 取締役は原則2年、監査役は原則4年である

公開会社における取締役の任期は原則として選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結時までである。一方、監査役は独立性確保の趣旨から長めに設定され、原則4年とされ、かつ取締役と異なり任期の短縮は認められない。非公開会社では定款によりいずれも最長10年まで伸長できる点は共通する。よって、取締役2年・監査役4年とする記述が正しい。

Q3. 取締役の利益相反取引に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

  1. 1取締役が自己のために会社と取引する場合、何らの承認も不要である
  2. 2取締役が自己または第三者のために会社と取引するには、取締役会(非設置会社では株主総会)の承認が必要である
  3. 3利益相反取引は会社法上一律に禁止されている
  4. 4監査役の承認があれば足りる
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正解:2. 取締役が自己または第三者のために会社と取引するには、取締役会(非設置会社では株主総会)の承認が必要である

取締役が自己または第三者のために会社と取引する直接取引、および会社が取締役の債務を保証するなどの間接取引は、会社の利益を害するおそれがあるため利益相反取引として規律される。会社法356条・365条は、取締役会設置会社では取締役会、非設置会社では株主総会の承認を要すると定め、取引後は重要事実の報告も求める。承認を得れば取引自体は可能であり一律禁止ではない。承認機関は監査役ではない。よって取締役会等の承認が必要とする記述が適切である。

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