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法務難易度: 標準

中小企業M&A実務能力・倫理検定試験 一問一答|法務 第64問

問題

定款に株券を発行する旨の定めがあるのに、実際には株券を一度も発行していない対象会社の全株式を譲り受ける案件の扱いとして、最も適切なものはどれか。

選択肢

  1. 1株券を発行していない以上、定款に株券を発行する旨の定めがあっても、株式の譲渡は当事者の合意のみで会社に対しても当然に効力を生じるため、株券の発行や定款変更などの特段の対応は不要である
  2. 2株主名簿の名義書換えをすれば、株券の交付がなくても株式の譲渡の効力が生じる
  3. 3株券の発行前にした譲渡は、当事者間では効力を生じ得るが株券発行会社に対しては原則として効力を生じないため、株券を発行して交付するか、定款を変更して株券不発行会社に移行するなどの対応が必要である
  4. 4株券を発行する旨の定款の定めは、株券を一度も発行しなければ自動的に効力を失う

正解

3. 株券の発行前にした譲渡は、当事者間では効力を生じ得るが株券発行会社に対しては原則として効力を生じないため、株券を発行して交付するか、定款を変更して株券不発行会社に移行するなどの対応が必要である

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解説

株券発行会社の株式の譲渡は、株券を交付しなければ効力を生じない(会社法第128条第1項)。ただし、最高裁令和6年4月19日判決は、同項は株券の発行後にした譲渡に適用される規定であり、株券の発行前にした譲渡は、株券の交付がないことをもって譲渡当事者間での効力が否定されることはないとした。一方で、株券の発行前にした譲渡は株券発行会社に対しては原則として効力を生じない(同条第2項)ため、譲受け側は会社に対して株主として権利を行使できない。ただし、会社が株券の発行を不当に遅滞している場合は、会社は株券発行前であることを理由に譲渡の効力を否定できないとされる(最大判昭和47年11月8日)。株券発行会社であるかどうかは登記事項であり、定款の定めは発行の実績がなくても自動的に失効しない。株主名簿の名義書換えは株券の交付に代わるものではない。法務DDでこの問題が見つかった場合は、株券を発行して交付する、株券を発行しない旨の定款変更を行うなどの対応をクロージングまでに完了させ、譲受け側が会社に対して株主であることを主張できる状態にする。

一問一答

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