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管理組合の運営

少額訴訟と支払督促の違い

管理費等の滞納回収では、通常訴訟のほかに、簡易・迅速な「少額訴訟」と「支払督促」という手続がよく使われます。少額訴訟は60万円以下の金銭請求を原則1回の期日で審理する訴訟、支払督促は書類審査だけで督促を発する手続です。「金額の上限の有無」と「相手が争ったときの展開」で区別しましょう。

比較表で見る違い

観点少額訴訟支払督促
請求できる金額60万円以下の金銭の支払請求に限られる金額の上限はない(金銭等の支払請求一般)
手続の場所簡易裁判所での訴訟(口頭弁論)簡易裁判所の書記官への申立て(書類審査のみ)
審理の方法原則として1回の期日で審理し即日判決を目指す債務者の言い分を聞かず書面審査で支払督促を発する
相手が争った場合被告の申述により通常訴訟へ移行することがある債務者が督促異議を申し立てると通常訴訟へ移行する
利用回数の制限同一簡易裁判所で同一年に10回までの利用制限がある回数制限は特にない

それぞれの詳しい解説

A少額訴訟

少額訴訟は、訴額が60万円以下の金銭の支払請求について、原則として1回の期日で審理を終えて即日判決を目指す簡易な訴訟手続です(民事訴訟法368条以下)。管理費の滞納回収のように比較的少額で争いの少ない事件に向いています。被告が通常の手続による審理を求める旨を申述すると通常訴訟に移行します。なお、同一の簡易裁判所において同一年に少額訴訟を求めることができる回数は10回までに制限されています。

  • 60万円以下の金銭請求に限られる訴訟手続

  • 簡易裁判所で原則1回の期日・即日判決を目指す

  • 被告の申述により通常訴訟へ移行することがある

  • 同一簡易裁判所で同一年に10回までの利用制限

B支払督促

支払督促は、金銭その他の代替物等の給付を目的とする請求について、債権者の申立てに基づき、簡易裁判所の書記官が債務者の言い分を聞かずに書類審査だけで発する督促手続です(民事訴訟法382条以下)。請求金額に上限はなく、相手方が一定期間内に督促異議を申し立てなければ仮執行宣言を経て強制執行が可能になります。債務者が督促異議を申し立てると、請求は通常の訴訟手続へ移行します。

  • 金額の上限がない金銭等の支払請求手続

  • 簡易裁判所書記官が書類審査のみで発する

  • 督促異議がなければ仮執行宣言を経て強制執行が可能

  • 督促異議の申立てがあると通常訴訟へ移行する

試験対策のポイント

少額訴訟は「60万円以下・口頭弁論あり・年10回まで」、支払督促は「金額上限なし・書類審査のみ・異議で通常訴訟へ」。金額制限と審理方法の違いで使い分けを判断します。

理解度チェック(2問)

Q1. 管理費滞納の回収手段としての少額訴訟に関する記述として正しいものはどれか。

  1. 1少額訴訟は請求金額の上限がなく、何百万円の請求でも利用できる
  2. 2少額訴訟は訴額60万円以下の金銭の支払請求について、原則1回の期日で審理する手続である
  3. 3少額訴訟は地方裁判所に提起しなければならない
  4. 4少額訴訟は同一の簡易裁判所で同一年に何度でも無制限に利用できる
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正解:2. 少額訴訟は訴額60万円以下の金銭の支払請求について、原則1回の期日で審理する手続である

少額訴訟は、民事訴訟法368条以下に定められた、訴額が60万円以下の金銭の支払請求について原則として1回の期日で審理し即日判決を目指す簡易な訴訟手続です。請求金額には60万円という上限があるため、何百万円の請求には利用できません。提起先は簡易裁判所であり地方裁判所ではありません。また同一の簡易裁判所において同一年に少額訴訟を求めることができるのは10回までと制限されているため、無制限に利用できるとする記述も誤りです。

Q2. 支払督促および少額訴訟に関する記述として正しいものはどれか。

  1. 1支払督促は債務者を呼び出して言い分を聞いたうえで発せられる
  2. 2支払督促に対し債務者が督促異議を申し立てると、通常の訴訟手続に移行する
  3. 3支払督促は請求金額が60万円以下の場合に限り利用できる
  4. 4少額訴訟では、被告が通常訴訟を求めても通常訴訟へ移行することはない
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正解:2. 支払督促に対し債務者が督促異議を申し立てると、通常の訴訟手続に移行する

支払督促は、簡易裁判所の書記官が債務者の言い分を聞かずに書類審査だけで発する手続であり、相手方が一定期間内に督促異議を申し立てると、請求は通常の訴訟手続へ移行します。債務者を呼び出して審理するわけではない点で最初の選択肢は誤りです。また支払督促には請求金額の上限がなく、60万円以下に限られるのは少額訴訟の方です。少額訴訟では被告が通常の手続による審理を求める旨を申述すれば通常訴訟へ移行するため、移行しないとする記述も誤りです。

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