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刑法難易度: 2024年度

司法書士 過去問刑法 第64問

問題

刑法における違法性阻却事由に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記 1 から 5 までのうち、どれか。 ア 他人に対し権利を有する者がその権利を実行する行為は、その権利の範囲内であり、又はその方法が社会通念上一般に許容されるものと認められる程度を超えない場合には、違法の問題を生ずることはない。 イ 行為者が、単に予期された侵害を避けなかったというにとどまらず、その機会を利用し積極的に相手に対して加害行為をする意思で侵害に臨んだときは、侵害の急迫性の要件を充たさず、正当防衛は成立し得ない。 ウ 急迫不正の侵害に対し自己又は他人の権利を防衛するためにした行為と認められる限り、その行為は、同時に侵害者に対する攻撃的な意思に出たものであっても、正当防衛が成立し得る。 エ 過失による事故であるかのように装い保険金を騙し取る目的をもって、被害者の承諾を得てその者に故意に自己の運転する自動車を衝突させて傷害を負わせた場合には、被害者の承諾が保険金を騙し取るという目的に利用するために得られたものであっても、その承諾が真意に基づく以上、当該傷害行為の違法性は阻却される。 オ いわゆる喧嘩闘争については、闘争のある瞬間においては闘争者の一方がもっぱら防御に終始し、正当防衛を行う観を呈することがあっても、闘争の全般からみて防衛行為とみることはできず、正当防衛は成立し得ない。

選択肢

  1. 1アイ
  2. 2アエ
  3. 3イウ
  4. 4ウオ
  5. 5エオ

正解

3. イウ

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解説

正解は「イウ」。ア=誤り。最高裁は、他人に対して権利を有する者がその権利を実行することは、その権利の範囲内であり、かつその方法が社会通念上一般に忍容すべきものと認められる程度を超えない限り、何ら違法の問題を生じないとした(最判昭30・10・14)。二つの要件は「かつ」の関係にあり、いずれか一方を満たせば足りるとする本記述は誤りである。イ=正しい。最高裁は、当然またはほとんど確実に侵害が予期されたとしてもそのことから直ちに急迫性が失われるわけではないが、単に予期された侵害を避けなかったというにとどまらず、その機会を利用し積極的に相手に対して加害行為をする意思で侵害に臨んだときは、侵害の急迫性の要件を充たさないとした(最決昭52・7・21)。ウ=正しい。最高裁は、防衛に名を借りて侵害者に対し積極的に攻撃を加える行為は防衛の意思を欠くが、防衛の意思と攻撃の意思とが併存している場合には、防衛の意思を欠くものではないとした(最判昭50・11・28)。エ=誤り。最高裁は、過失による事故を装って保険金を詐取する目的で被害者の承諾を得て傷害を負わせた事案について、当該承諾は保険金を詐取するという違法な目的に利用するために得られた違法なものであって、これによって当該傷害行為の違法性を阻却するものではないとした(最決昭55・11・13)。オ=誤り。最高裁は、喧嘩闘争は闘争の全般からみて判断すべきであるとしつつ、闘争の状況によっては正当防衛が成立する余地を認めている(最判昭32・1・22)。喧嘩闘争であれば一律に正当防衛が成立し得ないとする本記述は誤りである。したがって正しいのはイとウである。(出典: 令和6年度 司法書士試験 午前の部 第24問)

一問一答

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