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刑法難易度: 標準2024年度

司法書士 過去問刑法 第65問

問題

傷害の罪に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものの組合せは、後記 1 から 5 までのうち、どれか。 ア Aは、狭い四畳半の室内でBを脅かすために日本刀の抜き身を数回振り回した。この場合、Aの行為は暴行罪における暴行に該当する。 イ Aは、Bの頭部を多数回殴打する暴行を加え、意識消失状態に陥らせたBを放置したまま立ち去ったところ、Bは死亡した。Aの暴行によりBの死因となった傷害が形成されたが、Aが暴行を加えてからBが死亡するまでの間に、何者かがBの頭部を殴打する暴行を加え、当該暴行はBの死期を早める影響を与えるものであった。この場合、Aには傷害致死罪は成立しない。 ウ Aは、Bに対し、はさみを用いてその頭髪を根元から切断した。この場合、Aには傷害罪は成立せず、暴行罪が成立する。 エ Aは、隣家に居住するBに向けて、精神的ストレスによる障害を生じさせるかもしれないことを認識しながら、連日連夜にわたりラジオの音声及び目覚まし時計のアラーム音を大音量で鳴らし続け、Bに精神的ストレスを与え、慢性頭痛症、睡眠障害及び耳鳴り症の傷害を負わせた。この場合、Aには傷害罪が成立する。 オ Aは、Bの身体を圧迫する暴行を加え、その結果、Bを死亡させたが、暴行を加えた当時、Bが死亡することは予見していなかった。この場合、Aには傷害致死罪は成立しない。

選択肢

  1. 1アエ
  2. 2アオ
  3. 3イウ
  4. 4イオ
  5. 5ウエ

正解

4. イオ

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解説

正解は「イオ」。ア=正しい。最高裁は、狭い四畳半の室内で被害者を脅かすために日本刀の抜き身を数回振り回した行為について、暴行罪にいう暴行に当たるとした(最判昭39・1・28)。暴行は人の身体に対する不法な有形力の行使をいい、身体への直接の接触を要しない。イ=誤り。大阪南港事件で最高裁は、犯人の暴行により被害者の死因となった傷害が形成された場合には、仮にその後第三者により加えられた暴行によって死期が早められたとしても、犯人の暴行と死亡との間の因果関係を肯定することができるとした(最決平2・11・20)。したがってAには傷害致死罪が成立する。ウ=正しい。傷害とは人の生理的機能に障害を加えることをいう。毛髪を根元から切断する行為は生理的機能に障害を与えるものではないから傷害罪は成立せず、身体に対する不法な有形力の行使として暴行罪が成立するにとどまる(大判明45・6・20参照)。エ=正しい。最高裁は、隣家の被害者に向けて連日連夜にわたり大音量で騒音を鳴らし続け、精神的ストレスにより慢性頭痛症、睡眠障害、耳鳴り症の傷害を負わせた事案について、傷害罪の成立を認めた(最決平17・3・29)。無形的方法によっても傷害罪は成立する。オ=誤り。判例は、傷害致死罪のような結果的加重犯について、基本犯である暴行・傷害と加重結果との間に因果関係があれば足り、加重結果についての予見可能性を要しないとする(最判昭32・2・26)。死亡の予見がなくても傷害致死罪が成立する。したがって誤っているのはイとオである。(出典: 令和6年度 司法書士試験 午前の部 第25問)

一問一答

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