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刑法難易度: 2024年度

司法書士 過去問刑法 第66問

問題

毀棄及び隠匿の罪に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記 1 から 5 までのうち、どれか。おうそん ア Aは、Bの住居の玄関ドアを金属バットで叩いて凹損させた。同玄関ドアは、住居の玄関ドアとして外壁と接続し、外界との遮断、防犯、防風、防音等の重要な役割を果たしていたが、工具を使用すれば損壊せずに取り外すことが可能であった。この場合、Aには、建造物損壊罪が成立する。 イ Aは、抵当権の実行による競売を延期させようと考え、裁判所から競売事件の記録を持ち出してこれを隠匿したため、裁判所が一時的に競売を実施することができなくなった。この場合、Aには、公用文書等毀棄罪は成立しない。 ウ Aは、公衆便所の外壁にラッカースプレーで落書きをし、その結果、公衆便所の美観は著しく汚損され、原状回復に相当な困難が生じた。この場合、Aには、建造物損壊罪は成立しない。 エ Aは、現行犯人として逮捕され、警察署において、司法警察員から弁解録取書を読み聞かせられた際、同弁解録取書に署名する前に、これをひったくり、両手で破った。この場合、Aには、公用文書等毀棄罪が成立する。 オ Aは、A所有の甲土地とB所有の乙土地との境界に境界標として設置された有刺鉄線張りのB所有の丸太をのこぎりで切り倒し、境界標を壊したが、その境界は認識することが可能であった。この場合、Aには、境界損壊罪が成立する。

選択肢

  1. 1アエ
  2. 2アオ
  3. 3イウ
  4. 4イエ
  5. 5ウオ

正解

1. アエ

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解説

正解は「アエ」。ア=正しい。最高裁は、住居の玄関ドアについて、外壁と接続して外界との遮断、防犯、防風、防音等の重要な役割を果たしていることから、建具でありながら建造物損壊罪にいう建造物の一部を構成するとして、これを凹損させた行為に建造物損壊罪の成立を認めた(最決平19・3・20)。工具を用いれば損壊せずに取り外せることは結論を左右しない。イ=誤り。公用文書等毀棄罪(刑法258条)にいう「毀棄」には、文書を物理的に破壊する場合のみならず、隠匿してその効用を失わせる場合も含まれる。裁判所から競売事件の記録を持ち出して隠匿し競売の実施を妨げた以上、同罪が成立する。ウ=誤り。最高裁は、公園の公衆便所の外壁にラッカースプレーで大書した事案について、建物の外観ないし美観を著しく汚損し、原状回復に相当の困難を生じさせたものとして、建造物損壊罪の成立を認めた(最決平18・1・17)。エ=正しい。判例は、署名押印前の弁解録取書であっても、公務所において作成中の文書として公務所の用に供する文書に当たるとして、これを破棄する行為に公用文書等毀棄罪の成立を認めている。オ=誤り。境界損壊罪(刑法262条の2)は、境界標を損壊等することにより「土地の境界を認識することができないようにした」ことを要件とする。境界標を壊しても他の方法により境界を認識することが可能であった場合には同罪は成立せず、器物損壊罪の成否が問題となるにとどまる。したがって正しいのはアとエである。(出典: 令和6年度 司法書士試験 午前の部 第26問)

一問一答

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