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刑法難易度: 2025年度

司法書士 過去問刑法 第63問

問題

背任罪に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記 1 から 5 までのうち、どれか。 ア Aが、自己が所有する不動産に抵当権を設定した後にその旨の登記がされていないのを奇貨として、更に他の者に対して抵当権を設定し、その旨の登記を完了させた。この場合、 1 番抵当権者に対するAの抵当権設定の登記義務は設定者であるA固有の事務であって他人の事務ではないから、Aに背任罪は成立しない。 イ 任務に違背して担保を徴せずに回収見込みのない者に貸付けを行った場合には、当該貸付けに係る貸金債権の返済期限が到来し、現実に回収不能であることが明らかとなった時点で、初めて背任罪における「財産上の損害」が認められる。 ウ 「自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的」については、意欲ないし積極的認容まで必要である。 エ 「自己若しくは第三者の利益」における「利益」には、自己の信用・面目が失墜することを防止することも含まれる。 オ 自己又は第三者の利益を図る目的と本人の利益を図る目的が併存する場合であっても、本人の利益を図る目的が決定的な動機でなく、主として自己又は第三者の利益を図る目的で行われたものであれば、「自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的」があったと認定するのを妨げない。

選択肢

  1. 1アイ
  2. 2アウ
  3. 3イエ
  4. 4ウオ
  5. 5エオ

正解

5. エオ

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解説

正解は「エオ」。ア=誤り。最高裁は、いわゆる二重抵当の事案について、抵当権設定者は抵当権者に対して登記に協力する義務を負い、この義務は「他人の事務」に当たるとして背任罪の成立を認めた(最判昭31・12・7)。登記義務を自己固有の事務にすぎないとする本記述は判例に反する。イ=誤り。背任罪の「財産上の損害」は経済的見地から判断され、不良貸付の事案では、貸付けの時点で回収の見込みに乏しく債権の経済的価値が減少したと評価できれば、その時点で損害が発生したものと認められる(最決昭58・5・24等)。返済期限の到来や現実の回収不能の確定を待つ必要はない。ウ=誤り。図利加害目的について、判例は意欲ないし積極的認容までは必要でなく、未必的な認識があれば足りるとする(最決昭63・11・21)。エ=正しい。図利目的にいう「利益」は財産上の利益に限られず、身分上の利益も含まれる。判例は、自己の信用や面目が失墜することを防止する目的も自己図利目的に当たるとしている。オ=正しい。最高裁は、本人の利益を図る目的と自己または第三者の利益を図る目的が併存する場合について、本人図利の点が決定的な動機ではなく、主として自己または第三者の利益を図ることにあったと認められるときは、図利加害目的があったと認定することを妨げないとした(最決平10・11・25)。したがって正しいのはエとオである。(出典: 令和7年度 司法書士試験 午前の部 第26問)

一問一答

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