問題
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。なお、以下では、市場は完全で、税金や取引コストは存在しないものとする。 E社では現在、今期の配当政策を検討中である。E社は、全額自己資本からなる企業で今期末において現金1,000万円と固定資産9,000万円を保有している。E社の固定資産からは毎期900万円の営業利益があげられており、次期以降も同額の営業利益が期待されている。E社では減価償却費を営業活動維持のために全額設備投資にあてており、また運転資本の増減もなく、減価償却費以外の費用はすべて現金支出であるため、上記の営業利益はフリーキャッシュフローに一致する。E社の現在の株価は100円であり、発行済み株式数は100万株である。 (設問2)E社が現在保有する現金を全額現金配当した場合と1株100円にて当該現金を自己株式の買戻しにあてた場合とでは、既存株主が得る価値にどのような影響があるか。既存株主が得る価値に与える影響の説明として、最も適切なものはどれか。
選択肢
- 1現金配当を行った場合と自己株式の買戻しを行った場合との間で、既存株主が得る価値に差異は生じない。
- 2現金配当を行った場合の方が自己株式の買戻しを行った場合よりも、およそ10%ほど既存株主が得る価値が高くなる。
- 3現金配当を行った場合の方が自己株式の買戻しを行った場合よりも、およそ10%ほど既存株主が得る価値が低くなる。
- 4現金配当を行った場合の方が自己株式の買戻しを行った場合よりも、およそ20%ほど既存株主が得る価値が高くなる。
正解
1. 現金配当を行った場合と自己株式の買戻しを行った場合との間で、既存株主が得る価値に差異は生じない。
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解説
MM配当無関連命題(完全市場・税金なし)では、現金配当と自己株式の買戻しは、株主価値に対して同等の効果をもたらす。 【現金配当を行った場合の既存株主価値】 株主は配当として10円/株(合計1,000万円)を受け取り、株価は90円に下落。1株あたりの価値=配当10円+配当後株価90円=100円(変化なし)。 【自己株式買戻しを行った場合の既存株主価値】 会社は1株100円で買戻しを行う。買戻し可能株数=1,000万÷100=10万株。 買戻し後の発行済株式数=100万−10万=90万株。 買戻し後の企業価値=固定資産9,000万円。 買戻し後の株価=9,000万÷90万株=100円(変化なし)。 買戻しに応じる株主は1株100円で売却し現金100円を取得(保有株式数は減少)。応じない株主は引き続き100円の株式を保有(保有数不変)。いずれにせよ、株主が保有する価値の合計は変化しない。 完全市場の前提では、配当と自己株式買戻しは株主価値において等価。 アは正しい。両者の間に差異は生じない。 イ・ウ・エは誤り。10%や20%の差は生じない。 よってアが正解。(出典: 一般社団法人 中小企業診断協会 平成23年度 中小企業診断士1次試験 財務・会計 第17問 設問2)
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