問題
平成21年8月1日、国際物品売買契約に関する国際連合条約(通称:ウィーン売買条約、CISG)が日本について発効した。この条約は、国際物品売買契約に関し、契約の成立及び当事者(売主・買主)の権利義務を規定するものであり、主に、異なる締約国に営業所を有する企業間の物品売買契約に適用されるとされている。 この条約と日本の民法・商法その他の契約に関する規定との共通点・相違点についての記述として、最も適切なものはどれか。
選択肢
- 1隔地者間の契約について、日本の民法では、承諾の意思表示が発信された時に契約が成立するとされているが、この条約では、承諾の意思表示が申込者に到達した時に契約が成立するとされている。
- 2この条約は、営業所が異なる国に所在する当事者(売主・買主)間の物品売買契約において、この条約を適用する旨定めた場合にのみ適用されるのに対して、日本の民法・商法は、日本に営業所が所在する当事者間の契約である限り、常に適用される。
- 3日本の民法・商法では、契約の解除ができる場合が「重大な契約違反」がある場合に限られているが、この条約にはそのような制限がない。
- 4日本の民法では、申込みと承諾が完全に一致しなくても、その違いが実質的なものでない場合には、契約が成立するとされているが、この条約では、申込みと承諾が完全に一致しなければ契約は成立しないとされている。
正解
1. 隔地者間の契約について、日本の民法では、承諾の意思表示が発信された時に契約が成立するとされているが、この条約では、承諾の意思表示が申込者に到達した時に契約が成立するとされている。
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解説
アが正解です。当時の日本の民法では隔地者間契約の成立は「発信主義」(旧民法第526条第1項)を採用していましたが、ウィーン売買条約(CISG)第23条では「到達主義」を採用しており、承諾が申込者に到達した時点で契約が成立します。イについて、CISGは締約国に営業所を有する当事者間の物品売買契約に原則として自動適用され(第1条)、適用排除を明示的に合意した場合のみ排除されるため不適切です。ウについて、CISGは「重大な契約違反」がある場合に契約解除を認め(第49条、第64条)、むしろ日本の民法・商法より要件が厳しい面があり、逆の説明であり不適切です。エについて、当時の日本民法では申込みと承諾が完全に一致しないと契約成立しないのに対し、CISGは実質的でない変更を含む承諾でも申込者が遅滞なく異議を述べなければ契約成立とする(第19条)ため、逆になっており不適切です。(出典: 一般社団法人 中小企業診断協会 平成23年度 中小企業診断士1次試験 経営法務 第11問)
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